Compiler Construction Lecture 10/30
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先週の復習
先週はさまざまなCPUのレジスタアーキテクチャ(Register architecture)について学んだ。例えば Intel 386 ならば、 このようなレジスタを持っている。そして、 これ がアセンブラの命令表である。
i386のアセンブラ
i386 は比較的、対称性に欠ける命令体系を持ち、レジスタも少ない。しかし、可変長の命令を持つので、コードが若干コンパクトになるという特徴がある。アドレッシングモードも少ない。例えば、
negl %eax レジスタEAXのnegativeを取る negl a 大域変数aのnegative を取る negl (%eax) レジスタEAXの指すメモリのnegativeを取る negl (%ebx+%eax) EAX+EBXの指すメモリのnegativeを取る間接参照には、さらにオフセットを付けることができる
negl 4(%eax) レジスタEAXの指すメモリから4byteずれたところのnegativeを取る negl 4(%ebx+%eax) EAX+EBXの指すメモリから4byteずれたところのnegativeを取る
問題1
i386はlittle-endianであり、メモリにはメモリのアドレスが小さい方に、 数値の小さい桁から格納される。また、%eaxレジスタは、高い方の桁が8bit %ahレジスタ、低い方の桁が8bit レジスタ%alとなっている。以下の数値は16進表記とする。
メモリの内容が以下のようになっているとき、
0000100: 23 0000101: 45 0000102: 56 0000103: 78 0000104: 90 0000105: 12
- movl 0x100,%eaxは、memory 0x100 の値を%eaxレジスタに格納する。この命令を実行した時、 %eaxレジスタの値はいくつになるか? %ahレジスタは? %alレジスタは?
- movl $0x100,%ebxは、0x100 の値を%ebxレジスタに格納する。
- %ebx レジスタが、0x100の時に、movl (%ebx),%eax を実行すると %eax レジスタの値は?
- incl %ebx を実行したあとに、movl (%ebx),%eax を実行すると %eax レジスタの値は?
- その後、movl 4(%ebx+%eax),%ecx を実行すると %ecx レジスタの値はどのアドレスのメモリからロード(取得)されるか?
- movb 2(%ebx),%al を実行すると %eax レジスタの値はどうなるか?
- movsbl 2(%ebx),%eax を実行すると %eax レジスタの値はどうなるか?
- movsbl 4(%ebx),%eax を実行すると %eax レジスタの値はどうなるか?
- leal 8(%ebx+%eax),%ecx を実行すると %ecx レジスタの値は?
さらにgdbの使い方を追求する
BSD/OS の gdb の man ページには、ほとんどなんの記述もない。その代わりに、info ページが充実している。mule の info か、または、info コマンドを用いて、GDB の情報を調べてみよ。gdb には、i386 のレジスタ一覧を表示する機能はない。gdb のaliases 機能を用いて、gdb にその機能を追加するには、
define regs printf "%%eip=%08x: %%eax=%08x %%ebx=%08x %%ecx=%08x %%edx=%08x %%edi=%08x %%esi=%08x %%ebp=%08x %%esp=%08x\n", $eip,$eax,$ebx,$ecx,$edx,$edi,$esi,$ebp,$esp endを.gdbinitに追加する。
stepi disass $eip $eip+1は何をするコマンドが調べよ。
アセンブラのシングルステップが便利になるようなaliasを定義してみよ。
アセンブラ(Assembler)を使った計算
i386では、基本的に演算は、register to register で行われる。ここでは、以下のプログラムを使おう。
int a=4,b=3; main() { a = a+1-(b-123); return a; }これを gcc -S でコンパイルしてみると、.s というファイルに以下の内容がかかれる。(コメントはでないが...)
.file "tmp.c" .version "01.01" gcc2_compiled.: .globl a .data .align 4 .type a,@object .size a,4 a: .long 4 .globl b .align 4 .type b,@object .size b,4 b: .long 3 .text .align 4 .globl main .type main,@function main: pushl %ebp movl %esp,%ebp movl b,%eax # 変数bの値を %eax にロードする addl $-124,%eax # -124 を %eax に加算する movl a,%edx # 変数aの値を %edx にロードする subl %eax,%edx # %edx から %eax の内容を引く movl %edx,%eax # %edx の内容を %eax に移す movl %eax,a # %eax の値を変数aに格納(ストア)する leave ret .Lfe1: .size main,.Lfe1-main .ident "GCC: (GNU) 2.8.1"となる。a: などが大域変数の場所を表している。
問2
a = 5+(6+(7+b));をコンパイルした結果はどうなるかを、自分の頭で考えて示せ。
a = 0+(1+(2+(3+(4+(5+(6+(7+b)))))))-(0+(1+(2+(3+(4+(5+(6+(7+b))))))));は、どうなるだろうか? 自分が、どのように考えて、その結果を出したのか、そして、それをアルゴリズムにするにはどうすれば良いのかを考えよう。
ヒント まず式を木の形に書いて、構造を調べる push, pop を使ってスタックを使う方法もある実際のコンパイラの出力と比較してみよう。
問2
上のプログラムをIntel CPU上で、gcc -O -S test.c を使ってコンパイルすると最適化がかかる。最適化した場合としない場合で、どのような違いが出るか? (ヒント diff を使うと簡単...)問1で、これらの結果を実際のアセンブラで実行しテストするには、どうすれば良いか考えて実行せよ。
これらの命令が実際に生成されるCのソースコードを考えて、それをコンパイラに通し、実際に命令が生成されることを確認せよ。(ただし、データのアドレスは、変わっても良いとする)
Tokenizer 字句解析
手で木に変換する
いままでに出た式を木に変換して見よう。- 3-(4-2)
- 0+(1+(3-2))-(0+(1+(2-3)))
まず必要なのは、木にする時の一番基本的な単位を決めることである。これは単語の切り分けにという。または、Tokenizer 字句解析という。
字句解析のルールは簡単で、
- 数字の続き
- 一文字の英字
- その他の記号((+,-,*,/,>)
- [0-9][0-9]*
- [a-zA-Z]
- [()=+-*/> ]
Tokenizer は、通常、そのtokenの型(type)と値(value)を返す。プログラムは、 この ような感じになる。
実際には、適当な状態遷移(state transition)を作ってやれば良い。より複雑な例は、また、あとで見ることにしよう。
このプログラムでは、token()を呼びだすことにより以下ようにtypeとvalue が返る。
- value 数値や変数に対応する値が入る大域変数
- last_token tokenの型が入る。token()は、この型を返す。
- 'v' ... 変数
- '0' ... 数値 (int)
- '*'など ... その他のtoken
例えば、 (2+1030/a)-2 という式は以下のように分解される。
宿題
Subject: Report on Compiler consturction Lecture 11/1というSubjectのメールにして、kono@ie.u-ryukyu.ac.jp まで送ること。また授業を受けなかったものは、課題を、
Subject: Practice on Compiler consturction Lecture 11/1というサブジェクトで送ること。
だいぶ先のことですが、11/20, 12/4 の授業は休講とします。