第十一話 あと少し・・・
乱馬:「な、なんで・・・・・。」
良牙:「なんであんたがあかねさんや右京が来てるって知ってるんだよ!?」
興奮した良牙は、乱馬を突き飛ばし弥勒に食い入るように聞く。
乱馬:「良牙、てめ~いきなり何しやがる!?」
良牙:「やかましい、貴様はそこで黙っていやがれ!」
乱馬:「なんだと~?人を突き飛ばしておいて言うセリフがそれか?」
弥勒:「まぁまぁ、落ち着きなさい。順を追って説明してあげますから。」
弥勒は初めて会うはずなのに、絶妙なタイミングで仲裁に入った。
乱馬:「そ、そうだな。お、落ち着いて話を聞こうじゃねえか。なぁ?」
良牙:「お、おぅ。」
二人とも心を落ち着かせようとしているが、まだ動揺しているのが良く分かる。
弥勒:「では、その前に・・・・・。何か縄のような物は持っているか?」
良牙:「ムース、お前出してやれよ。持ってんだろ?」
ムース:「人を便利屋の用に使うでない。・・・まぁ、持っておるが。」
ぶつくさ言いながらもムースは袖の中に手を入れ、中をさぐって縄を取り出した。
ムース:「何に使うんじゃ?」
弥勒:「私の連れの犬夜叉が起きてまた、お前達に襲い掛からないように縛っておくのです。
縄を受け取ると、気絶している犬夜叉に縄を巻きつけて身動きを取れないようにする。
良牙:「いいのか?仲間なんだろ?」
弥勒:「これで良いのです。人の話も聞かないような馬鹿はこうしておくのが手っ取り早い。」
乱馬:「でも、こいつかなりの力があるぜ。こんなんで平気なのか?」
先ほどの戦闘で犬夜叉の威力から考えるともっともな意見だ。
弥勒:「多少でしょうな。半妖とは言え妖怪ですから。」
良牙:「なんだ・・・・・その半妖ってのは?」
弥勒:「半妖とは妖怪と人間の間に生まれた者の事です。犬夜叉は妖怪の父と人間の母を持つ半妖なのです。」
乱馬:「通りでただ者じゃねえ理由だ。」
ムース:「そんな事より、良いのか?天道あかねと右京の話を聞かんでも?」
妙に冷静なムースが話の主旨を戻す。
弥勒:「そうでしたな。では、説明するとしましょう。」
七宝:「まったく、犬夜叉にはもう呆れて物も言えん。あいつ何考えておるんじゃろうか?
最初はおらも戸惑ったが、あれはどう見ても人間にしか見えなかったではないか。
弥勒が止めたにもかかわらず突っ走って行きおって。少しは耳を貸したらどうじゃ!」
七宝は、弥勒からかごめ達を呼びに行くように頼まれて走っていた。しかし、七宝は小さくて
走るのがただでさえあまり速くないのに加え、犬夜叉への愚痴をこぼしながら走っているので
歩いている速度と何の代わりもなかった。
七宝:「そもそも犬夜叉が・・・ん?」
しばらくすると、七宝は何かに気付き走っていた足をとめ道の真ん中に立ち止まった。
七宝がそれからじっと前を見ていると、砂煙を上げてこちらに向かって走ってくる人影が見えるが
はっきりと姿を見る事は出来ない。そのままじ~っと見ていると・・・・・・
七宝:「ぎゃん!」
避ける事を忘れていたので七宝はその走ってきた人物に踏み潰されてしまった。
???:「あいやぁー、大丈夫か?」
七宝:「だ、大丈夫な分けなかろう!一体どこ見・・・・・て。」
七宝は声のするほうに起き上がり文句の一つでもいってやろうと振り返ってみるとそこには
髪の長いかわいらしい少女が自分の事を心配そうに見ている姿が目に映った。
少女:「どうした?どこか痛めたのか?」
七宝:「い、いや、なんでもない///////し、心配無用じゃ。別にどこも痛くなんかないぞ。」
七宝は顔を赤くしながら、少女にそう答えた。すると、その少女も安心したように微笑んだ。
少女:「そうか、それはよかったね。私とても大事な用があるからこれで。再見♪」
そう言ってその場を少女は離れようとしたが、後から少女を追う声が聞こえてきた。
???:「シャンプー!待たんかい!」
少女:「もう追いついたか。まったく、うるさい女ね。」
七宝:「おぉ、右京ではないか。」
シャンプー:「え?」
そう思った、少女もといシャンプーはその場を立ち去ろうとしたが、今偶然あったばかりの七宝が
右京の事を知っているのが気になり、足をとめた。
シャンプー:「お前、右京を知っているのか?」
七宝:「知っとるがそれが?と言うか、なんでおぬしも知っておるのじゃ?」
シャンプー:「なぜって、それは・・・・・・」
シャンプーが言いかけたところに丁度、話の的である右京が二人の前にやってきた。
右京:「こらぁ、シャンプー!一人で行くなっ!」
七宝:「なぁ右京。このおなごは誰なんじゃ?右京を知っておるようじゃが。」
右京:「あぁ!?そんなもん後や!・・・・・って、七宝いたんか?」
一人で先走っていたシャンプーに頭に来ていた右京だったので、七宝の事が眼中にまったくなく
ここで話し掛けられてようやく七宝の存在に気付いた。
七宝:「なんじゃその言い方は?」
右京:「まぁ、ええやないか。せやけど、何で七宝はこんなとこにおるん?」
七宝:「おお、それはじゃのぉ・・・・・と言うか、お主ら知り合いなのか?」
右京:「あ~そうか。七宝にはまだ説明しとらんかったなぁ。・・・・・とりあえず、今は急いでるさかい、
また後でゆっくり教えたる。せやから、今は簡単に説明しとくわ。」
と言うと、右京は七宝にシャンプーの事を説明し始めた。
右京:「こいつはなシャンプーと言って、うちの・・・・・友達ってとこやな。」
七宝:「ほ~、そうか。(シャンプーと言うのか。良い名前じゃ。)」
右京:「でもなぁ、こいつはうちの許婚の乱ちゃんに付きまとってしょうがない。」
右京がそう言う風に言うと、シャンプーは今の言葉に不満があるようで少し怒った口調で
文句をいってきた。
シャンプー:「乱馬は右京の許婚違う。私の婿ね。それに誰が付きまとってるか!?
付きまとってるのは右京の方ね。でたらめな事教える良くない。」
右京:「そっちこそ嘘やないか。うちはれっきとした真実を述べただけや。言いがかりは止めてくれへん。」
シャンプー:「何が言いがかりね!?」
右京:「だってそやろ?乱ちゃんがあんたに追い掛け回されて困ってるってのは事実やで。」
シャンプー:「私を侮辱する気か?もしそうならここで・・・・」
シャンプーの身の回りに青白い炎のようなものが浮かび上がってくる。
右京:「ここで?」
シャンプー:「さっきの決着をつけるね。勝負するよろし!」
右京:「臨むところや。今度こそ決着つけたる!」
両者、そう言い放つと臨戦態勢をとってお互いに牽制しあう。
そこに、もはや存在を忘れ去られてしまった七宝が二人をなだめようと間に入ろうとした。
だが・・・・・・
七宝:「これ、二人とも。何があったかはおらは知らんが、ケンカは良くないぞ。とにかく、ここは
落ち着いて話し合ってだなぁ・・・・・。」
シャンプー:「うるさいねっ!部外者は黙ってるよろし!これは私と右京の問題ね。」
右京:「そうやで七宝。怪我したくなかったら邪魔せんといてや!」
七宝:「は、はいぃ!」
七宝は女のケンカなら容易く仲裁する位は出来ると思い口を挟んだが、もはや犬夜叉とかごめのケンカより
数倍に激しくなった二人のケンカを七宝が止められる程容易いものではなかった。
シャンプー:「右京!覚悟するねっ!!」
右京:「それはこっちの台詞やぁ!!」
そんな七宝を尻目に、二人のケンカ(どっちかと言うと戦闘)が開始された。
両者の勢いは凄まじく、両者を中心とした約20m四方は一瞬にして荒野と化した。
七宝:「(だ、誰でもいいから・・・お、おらを助けてくれぇ~!)」
珊瑚:「ん?」
珊瑚はふと何かに気付いたように辺りの様子を伺った。今、かごめ・あかね・珊瑚の三人は
シャンプーと右京の姿を見失ってしまい、とりあえず犬夜叉達と乱馬達が向かったとされる
男性専用の温泉浴場に向かって歩いているところだ。
かごめ:「珊瑚ちゃんも感じた?」
珊瑚:「かごめちゃんも?」
かごめ:「うん。これって邪気よね。」
珊瑚:「確かにそうみたいだけど、でも違う気がする。邪気特有の禍々しさが感じられないから。
一体なんだろう?こんなに強い感じだから妖怪に決まってるけど・・・・・」
あかね:「ねぇ、二人ともどうしたのよそんなに真剣な顔しちゃって?」
あかねは二人が感じているモノが感じ取れないでいるので、二人が真剣な表情になっているのを
不思議に思い声をかけた。
かごめ:「え~っとね、今何か邪気みたいなのを感じたんだけど、それがどうも違うみたいで
何かなって考えてたの。」
あかね:「ふ~ん。ところで、その邪気ってどんな感じがするの?」
珊瑚:「邪気は妖怪が発する『気』の事さ。どんな感じって言うと・・・・・難しいね。
まぁ、息苦しさと不快感が一緒に感じたら邪気だと思ってよ。」
あかね:「じゃあ、今は息苦しさや不快感はあるの?」
珊瑚:「いや、それが無いんだよね。私もこんな感じは退治屋をやるようになって
初めての事だから良くは分からない・・・ん?あれは・・・」
珊瑚がそう言いかけたとこで、進行方向から大勢の町の人たちが何かに追われるように
必死に逃げてくるのに遭遇した。とっさに、珊瑚はその中の一人を捕まえて何が起こったかを
聞き出した。
珊瑚:「どうした?何が起こった?」
町人:「き、急に起こったから何がなんだか・・・。た、ただ言えるのは、あの二人の女は
絶対にただの人間じゃねえってことだけだ!」
男は恐怖に陥ってるのか、パニック状態に陥っているため震えながら見た事を話す。
かごめ:「あの二人の女?」
町人:「ああそうだ。一人は妙な訛りがある女で、もう一人は変な武器を持ってる女だ。そいつらが
今、向こうで何でか知らんが争ってるんだ。」
あかね:「・・・・・・・・・」
あかねはその話の中に出てきた『妙な訛りのある女』と『変な武器を持ってる女』と聞いて
すぐにある二人の人物像が頭の中をよぎって行った。
町人:「と、とにかく、あんた達も早く逃げたほうがいいぜ!」
そう告げると、男は凄まじい速さで逃げ去っていった。
珊瑚:「とにかく、行ってみよう。放っておくわけにもいかないし。」
かごめ:「そうね。」
あかね:「う、うん。」
三人は先ほどの男が話していた場所へと急いで向かった。
さほど進んでいくと、いきなり周囲の景色とは全く異なった場所についた。
辺りを見回すとそこには、ビクビクと震えうずくまっている七宝の姿が目に入ってきた。
かごめ:「七宝ちゃん!!」
七宝:「か、かごめー!!」
かごめは、七宝を見つけるとすぐに側に駆け寄り、七宝もかごめの姿を確認すると安心したのか
眼に涙を浮かべながら側に駆け寄ってきた。
七宝:「わーん、かごめ~。おらこわかったぞ~。」
かごめ:「もう大丈夫よ七宝ちゃん。だけど・・・どうしたのこの有様は?」
かごめは、七宝を抱き上げると周囲を見ながらそう尋ねた。
七宝:「これか?これは・・・・・」
あかね:「右京とシャンプーでしょ?」
あかねは七宝が言い始めるとに確信を持った口調で先に答えた。
七宝:「そうじゃ。そのシャンプーとか言うおなごと右京の仕業じゃ。」
珊瑚:「で、でもあの二人は人間でしかも女だよ。そんな二人がどうやって・・・・・?」
あかね:「確かに信じられないとは思うけど、あの二人は特別なのよ。」
七宝:「(確かに普通のおなごではなかった。)」
七宝はそう思いながら、記憶に残っていたシャンプーと右京の姿を思い出してそう納得した。
あかね:「二人を早く止めなきゃ。下手したらこれ以上に被害が出るかも知れないわ。」
かごめ:「そ、そうね。ここで、疑ってても仕方ないわ。とにかく行ってみましょう。七宝ちゃんどっち?」
七宝:「さっきのとこから動いていなければこっちじゃ。」
七宝はかごめの腕から飛び出し、トコトコと走り三人を案内する。
珊瑚:「あかねちゃん。本当にあの二人だと思うの?」
あかね:「多分ね。そうだ珊瑚ちゃん、一度手合わせしてみるといいわ。きっといい勝負になるわよ。」
かごめ:「それ、おもしろそ~。珊瑚ちゃんがんばってね。」
珊瑚:「あ・・・う、うん。がんばってみるよ。(って、私まだ何も言ってないんだけど・・・・・)」
そんな風にしていると、シャンプーと右京がさっきまでいたと思われる場所についた。
そこには、いつもの小競り合いと大して変わらないが、激しい戦闘が繰り広げられていた。
珊瑚:「す、すごい・・・。」
かごめ:「た、確かに珊瑚ちゃんといい勝負が出来そうだわ。」
かごめと珊瑚は、あっけに取られて呆然と立ちすくんでしまっている。そんな、二人を尻目に
シャンプーと右京を止めようと声をかけてみる。
あかね:「何やってんのよあんた達!この辺の人に迷惑でしょ、すぐに止めなさいよ!」
シャンプー:「あかね!?・・・あかねは引っ込んでるね!邪魔すると痛い目にあうぞ!」
右京:「そうやであかねちゃん!これはうちらの問題や!邪魔せんといてくれへん!」
しかし、全く聞き入れる気配も無くそのまま戦闘は続く。
あかね:「まったく~、少しはこっちの話を聞いたらどうなのよ。」
かごめ:「どうするのあかねさん?」
あかね:「どうするったって、あの二人止めなきゃ町の人に迷惑でしょ。」
珊瑚:「でもとめるったって・・・・・簡単にはいきそうにもないよ。」
珊瑚はまだ続いている二人の戦闘を見て、高等位の妖怪退治に匹敵する様な危険を伴うと直感で判断した。
珊瑚:「二人の気を落ち着かすかそらせれば良いんだけど・・・・・。」
あかね:「あの二人の気をそらすものね~・・・・。」
七宝:「取り込んでるところで悪いんじゃけど、ちょっといいかの?」
少し遠慮がちにして七宝が尋ねてきた。
かごめ:「ん、どうかした七宝ちゃん?」
七宝:「いやな、おら達かけらを持った連中を追っていたじゃろ。」
珊瑚:「あぁ、そうだったね。それがどうかした?」
七宝:「今その連中を犬夜叉と弥勒が追いかけておるんじゃ。」
あかね:「え!?本当なの七宝ちゃん!?」
七宝:「そ、そうじゃが。どうしたんじゃいきなり?あかねが驚く事ではないと思っておったが・・・・。」
七宝があかねがいきなり食い入るように聞いてきたので少し引き気味である。
あかね:「じ、実はね。その連中ってのが・・・・・・・。」
かごめ:「ええ~!?その人達があかねさん達の探してる乱馬さん達なの!?」
その驚愕の事実にかごめだけではなく珊瑚も七宝も驚いている。
珊瑚:「だったら、なんでもっと早くに言わなかったのさ。」
あかね:「え~っとね、それはちょっと言わないでいた方が早くにみつかるかな~って思って・・・。」
珊瑚:「そんな事考えなくてもちゃんと探すの手伝ってあげたよ。」
七宝:「と言うか、早く行かんでいいのか?おら弥勒はともかく犬夜叉が心配じゃと思うんじゃが。」
かごめ:「そ、それもそうね。でも、・・・・・どうする?」
かごめは困ったように右京とシャンプーの方を見た。
あかね:「きっと乱馬達がいるって分かればこんな事してる場合じゃないって気が付くわ。」
珊瑚:「とてもそうには思えないんだけど・・・・・。」
あかね:「大丈夫よ。これでもあの二人とは長い付き合いなんだから。すぐ追いかけるから三人は先に行って。」
かごめ:「うん、わかったわ。珊瑚ちゃん、ここはあかねさんに任せて行きましょ。」
珊瑚:「そうだね。ここはあかねちゃんに任せてみよう。」
ここはあかねに任せ、二人は雲母に乗って七宝の先導で犬夜叉等がいる場所へと向かった。
あかね:「さてと・・・・・。とりあえず、あの二人を止めなきゃね。」
あかねは二人のすぐ間近まで近づいていき、二人に話しかけた。
あかね:「ちょっと、本当にいい加減にしたらどうなのよ!?」
あかねは大声で呼びかけるが、やはりちっとも聞こうとしない。
あかね:「あっそ。じゃあ、あんた達は乱馬達が見つかったって言うのにそうやってるのね?」
シャンプー:「え?」
右京:「な、なんやて?」
「乱馬達が見つかった」、そう聞いた途端に二人はあかねに近寄っていった。
右京:「あかねちゃん、それはほんまかいな?」
あかね:「え、ええ。さっき七宝ちゃんがそう言ってたわ。」
シャンプー:「なぜそれを早く言わないか。」
あかね:「それは、あんた達が聞こうとしないから・・・・・。」
あかねがそう言う前に二人は競うようにかごめ達が向かった方向へと走り去っていった。
あかね:「ちょ、ちょっと~。まったく、あの二人は・・・・・。」
あかねもすぐに後を追いかけて走っていく。
犬夜叉:「おいっ!弥勒!!なにそんなやつ等とくつろいでんだよ!?それになんだこの縄は!?
さっさと、解きやがれ~~~!!」
良牙:「すげぇ~。全くの予想通りの行動だ。」
弥勒:「だから言ったでしょう。犬夜叉は単純だと。」
ムース:「じゃが、これだけ行動が簡単に読めるやつもなかなかおらんぞ。」
縄で縛られて、身動きの取れない犬夜叉を見て言いたい放題言っている。
犬夜叉:「ってめ~ら、好き勝手言いやがって。ゆるさねぇ!ふんっ!!」
犬夜叉は渾身の力をこめ、縄を力ずくで打ち破ろうとする。
弥勒:「落ち着きなさい。」
犬夜叉:「いって~!何すんだ弥勒!?」
弥勒は縄を力ずくで解こうとしている犬夜叉の頭をもっていた錫杖で殴った。
弥勒:「犬夜叉・・・・・、いいから黙って落ち着きなさい。」
犬夜叉:「だったら、なんでそいつらと呑気につるんでるんだよ?」
弥勒:「それは、この三人があかね様と右京様の探し人だからだ。」
それを聞いた犬夜叉だったが、乱馬たちを勘違いして見ているので受け入れる事がなかなか出来ない。
犬夜叉:「はぁ?あかねと右京が探してるのは人間だぞ。こいつ等みてぇな妙な連中のはずねえだろ。」
乱馬:「妙な連中だぁ!?」
犬夜叉:「そうじゃねえか。女になったり、猫になったりする時点で人間かも疑わしいぜ。」
大木に縛り付けられていても、強気な口調でそういい捨てる。
ムース:「確かにそうかもしれないが、おら達は好きでこうなった訳じゃねえだ!?」
犬夜叉:「じゃあ、なんでそう言う風になったか教えてくれよ。それによっては信じてもいいぜ。」
弥勒:「信じる信じないは別として、私も是非聞きたい。」
弥勒もやはり人間が容姿を変えることができると言う事は興味があるようだ。
乱馬:「まぁ、そのうち話す事になるだろうし、今のうちに話しておくのもいいかもな。」
良牙:「そうだな。とりあえずこれを見てくれ。」
と、良牙はどこから取り出したのかも分からない水の入ったバケツを取り出し、入っている水を乱馬に被せた。
らんま:「つめてぇ~~。良牙、おれじゃなくてもいいだろ!って、そのバケツどこから出したんだよ。」
良牙:「いいじゃねえか別に。気にすんなって。」
弥勒:「ほぉ~、外見はおなごのそのものか・・・・・。どれどれ。」
そう言いながら弥勒は、珊瑚にしている様にらんまの尻を撫でた。
弥勒:「っ!?こ、これは!!」
らんま:「って、おい・・・・・。なに人の尻を撫でてやがるんだ!?」
拳を握り締め、引きつった顔でらんまは弥勒に問い掛ける。
弥勒:「いやいや、こうして触ってみて本当におなごになったのか試してみたんですよ。」
らんま:「そうか・・・・・。って、それで済むと思ってんか。」
らんまは、弥勒の胸倉をつかんですごんで見せた。
弥勒:「まぁ、それよりもどうしてこのような変化が出来るのか教えていただけませんか?」
犬夜叉:「そうだぜ、さっさと教えろ。」
身動きの取れないためか不機嫌そうに犬夜叉は口をだす。
良牙:「てめぇ、それが人にもの聞く態度か?」
ムース:「良牙、放っておくだ。おら達がこうなったのは呪泉郷という泉に落ちたせいじゃ。」
弥勒:「呪泉郷・・・・・聞いたことありませんね。」
らんま:「呪泉郷に落ちた物はそれぞれの泉の呪いで変身体質になるんだ。」
弥勒:「呪い・・・・・ですか。」
呪いと聞いて、弥勒は風穴のある自分の右手を見つめた。
らんま:「まぁ、おれ達が言えるのはこんなくらいだ。」
良牙:「どうだ?まだ何か疑う事でもあるか?」
犬夜叉:「ん~、よく分かんねえけどお前らも大変なんだな~ってのが分かった。」
ムース:「・・・・・なんも理解しとらんな。」
ムースは鋭い突っ込みを放った。
犬夜叉:「うっ・・・。ベ、別にいいじゃねえか。とにかく、お前らは敵じゃないってのは信じてやるから
早くこの縄を解け!!」
弥勒:「はいはい。」
犬夜叉にせかされて、弥勒は犬夜叉を縛っている縄を解き始めた。
らんま:「ところで、あかねとうっちゃんはなんでこっちに来たか知ってるか?」
弥勒:「いや、存じませんが。犬夜叉は知ってるか?」
犬夜叉:「おれもそういや聞いてなかったな~。かごめなら知ってるんじゃねえか?」
弥勒は縄を解きながら、犬夜叉は解くのを待ちながら答える。
らんま:「かごめって言うのは?」
犬夜叉:「お前等と一緒で、向こうの世界から来た女だ。」
良牙:「へ~、こっちにくる方法が他にもあるのか。」
弥勒:「でも、それはかごめ様と犬夜叉しか通れないようで・・・・・。」
犬夜叉:「ふぅ~、やっと動けるぜ。」
縄を解かれると、体を慣らしはじめた。
犬夜叉:「あかね達はお前等を追いかけて来たのが目的だけどよ、お前等は何が目的なんだ?」
らんま:「おれ達の目的は、四魂の玉とか言うのを手に入れてこの変身体質を直したいんだ。」
弥勒:「そうですか・・・・・。ですが、それは無理ですな。」
弥勒の口から無理だといわれると三人は熱くなってそれぞれに弥勒に問い詰める。
良牙:「無理って・・・それはどういうことだ!?」
ムース:「ここまで来てそれはねえだ!」
らんま:「どういう事なんだよそれは!?」
弥勒:「それはですね・・・・・。」
と、弥勒が説明しようとした時にどこからか声が聞こえてきた。
????:「犬夜叉~、弥勒様~・・・・。犬夜叉~、弥勒様~・・・・。」
(第十一話・完)
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