No. 1053/1090 Index Prev Next
Path: ie.u-ryukyu.ac.jp!u-ryukyu.ac.jp!news1.oix.u-ryukyu.ac.jp!newshost.ryukyu.ad.jp!karei.center.oitaweb.ad.jp!newsfeed7.infoweb.ne.jp!newsgate1.web.ad.jp!wnoc-tyo-news!yilnws!relay-yamaha-to-plala!news.plala.or.jp!not-for-mail
From: "Nakagawa" 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Fri, 6 Oct 2000 22:35:19 +0900
Organization: PLALA
Lines: 109
Message-ID: < 8rkk47$eop$1@pin2.tky.plala.or.jp> 
References: < 8qooh6$5p$1@neelix.mmtr.or.jp>  < 20000926205645'WzvQH4gCIi@news.nifty.com>  < 8qqedt$kb3$1@neelix.mmtr.or.jp>  < 8qv6nb$oeg$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>  < 8qvja7$inu$1@pin2.tky.plala.or.jp>  < 39D4AE27.A7D8E6AA@af.wakwak.com>  < 8r3it2$s8h$1@pin2.tky.plala.or.jp>  < m34s2v27h7.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>  < 8ra31i$kkv$1@pin2.tky.plala.or.jp>  < m3snqezfd6.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>  < 8rcpm1$au$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>  < m37l7qyn2t.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>  < m3vgv9xma3.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>  < 8rhl7f$ldu$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp> 
NNTP-Posting-Host: c236162.ap.plala.or.jp
Mime-Version: 1.0
Content-Type: text/plain;
	charset=" iso-2022-jp" 
Content-Transfer-Encoding: 7bit
X-Trace: pin2.tky.plala.or.jp 970838983 15129 210.150.236.162 (6 Oct 2000 13:29:43 GMT)
X-Complaints-To: abuse@plala.or.jp
NNTP-Posting-Date: 6 Oct 2000 13:29:43 GMT
X-Newsreader: Microsoft Outlook Express 4.72.3155.0
X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V4.72.3155.0
Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:12060

中川@つくば です

ueshiba wrote in message < 8rhl7f$ldu$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp> ...
> 岩田さんが「著作権のノウハウ」を引用されたので、私は
> 加戸 守行「著作権法逐条講義」から・・・
> 
> 「私的使用のために作成した複製物につきましては、・・・、その
> 目的外使用を複製権侵害とみなすことにしております。個人的な
> 目的で作成したコピーをほかの目的に使えば、その段階で複製
> 行為があったものと評価するわけであります。」(改訂新版、p.181)

これが岩田さんが引用している審議会報告書の見解、すなわち

「事後に私的使用目的以外の目的に使用する場合」は
「著作権者等の許諾を得ずに行われるときには
著作権等の侵害(違法)となる」

と同じ意味であり、共に岩田さんが主張している意味だとして…

Riier ABCさんとH-OGURAさんは、46条には公衆要件があり、
公衆要件に該当しない目的外使用は複製権侵害に
当たらないとして、その理由を説明されています。
いうならば、目的外使用すなわち複製権侵害とするのが、
如何に不適切であるかを説明されています。
上に引用した文から、逆に、目的外使用すなわち複製権侵害
としないのが如何に不適切かの理由が読み取れますか?
それは書かれていません。
何故なら、上の文章は説の結論であって、説自体、
すなわち、条文の解釈から上の結論に至るまでの説明は
書かれていないからです。
著作権法専門家であり、起草者でもあろう加戸守行氏が、
その説明を省略するわけはありません。
氏が岩田さんの解釈通りの内容を上の文章に盛り込んだならば
おそらく法律関係の膨大な文献のどこかに、
理路を整えて説明が書かれているはずです。
私が説を紹介してくださいと岩田さんにお願いしているのは、
その文献のことなのです。

それがない限り、Ritter ABCさんの説明に抗して、
上の文章を妥当と評価するわけにはいきませんね?

今の状態で上の文章の肩を持つならば、それは、
「具体的な説明はわからないけれど、超有名な加戸先生の
説を信ずる」ということにしかなりません。

それは、岩田さんが奇しくも正しく表現されたように、
信じる信じないの問題であって、議論とはいえません。

ISHIBASHIさんは、上の文章と殆ど同じことを、
ちゃんと説明をつけて主張されてます。
それをISHIBASHIさんは珍妙な説と謙遜されていますが、
骨格は明らかで、きっと腕の立つ法律家が肉付けすれば、
素人には反論の余地のないものになるのでしょう。

でも、それは加戸守行氏の説とは理路が異なるかも知れず、
理路が異なれば別の説です。

でもね、そもそも、そういうふうに結論付ける前に、
作花文雄氏の著書の49条に関する二文を見てください。

「私的使用のために複製したものを他人に譲渡したり、
盲人向け貸出し用に作製した録音テープを一般人に
貸出したりすることは許容されないということである。」
    (詳解著作権法p335)

「本条で規制を受ける行為は、複製物の「頒布」又は
「公衆への提示」であり、特定少数人への譲渡又は提示
行為は、目的外であっても規制を受けないこととなっている。」
    (詳解著作権法p336)

最初の文は、加戸守行氏の文と殆ど同じことを言ってますね。
そして、二番目の文で、公衆要件があることを明言している。
これをもって、作花氏が矛盾したことをいっていると
決め付けるのは、間違っていると思います。

端的に言うなら、条文を見れば公衆要件の存在は明かなので、
最初の分では、それをわざわざ書かなかっただけでしょう。
だから、最初の文を読んだときに、目的外使用が
一律に複製権侵害になると理解するのが間違いなのです。
つまり「行間を読む」たぐいの話だと思います。

自分の専門分野以外の本を読むときに苦しめられるのは、
行間を読めないことです。それは、その分野の教育を
正式に受けたものにとっては当然のことであり、
わざわざ文章にして書くと冗長なために、
専門書ではどんどん省かれる、前提条件、背景知識です。
そして解説書では、そもそも正確に書かれない…
私の専門分野(物理学)の本にしてからがそうです。

私は、「著作権法のノウハウ」の該当個所もしくは
審議会報告書に対する岩田さんの読み方は、
行間を読みきっていないがための
誤読の可能性があるのではないか、と考えています。

# そして、誤読を避ける一番の方法は、
# 詳細な説明を手に入れることです。

> Nakagawaさん, 「私的使用のために作成された録音物を他人に譲
> 渡したり貸与したりしてもいい」と*明示した*書物を紹介していただ
> ければと思うのですが・・・

上の作花文雄氏の引用の二番目が、それに当たります。

もちろん、「私的使用のために作成された録音物を
他人に譲渡したり貸与したりすることは、一律に適法だ」
と読んだら、誤読となるでしょうが。



Next
Continue < 20001007140849?+b4?d4gI0w@news.nifty.com>
< 8rmr2h$476$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>
< 8rnd01$5lq$1@pin2.tky.plala.or.jp>