No. 746/1090 Index Prev Next
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From: Hideaki Iwata
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: fj 社会での公正
Date: Mon, 11 Sep 2000 19:29:08 +0900
Organization: WAKWAK Internet service
Lines: 158
Distribution: fj
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NNTP-Posting-Date: 11 Sep 2000 10:29:17 GMT
To: Hideaki Iwata
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Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:11745
ひで@自宅、です。この話、もう少し続けます。
Hideaki Iwata wrote:
> ひで@自宅、です。
> 自分自身の頭の整理のために、状況をまとめてみます。ご異論がありましたら
> お申し出下さい。
> 説1:「fj知人」は「公衆」に含まれる。
> 説2:「fj知人」は「公衆」に含まれず、「家庭内準拠」に含まれる
> 説3:「fj知人」は「公衆」にも「家庭内準拠」にも含まれない
それぞれの説の妥当性を考える場合、以下の著作権審議会資料が役立つと
考えます。
昭和48年3月報告 第三小委員会(ビデオ関係)
http://www.cric.or.jp/houkoku/s48_3.html
第2章 著作権に関する諸問題
1 ビデオ機器による著作物等の複製
(1)家庭用ビデオ機器によるテレビ番組等の私的複製
(2)生テレビ番組を第三者が録画したものの取扱い
昭和56年6月報告 第5小委員会(録音 録画関係)
http://www.cric.or.jp/houkoku/s56_6.html
III 法第30条に関連する録音・録画に関する著作権問題について
1.法第30条の許容範囲を超える録音・録画問題
(1)法第30条の許容範囲を超える録音・録画の実態等
(2)法第30条の許容範囲を超える録音・録画に対する対応策
1)著作権思想の普及徹底
2)著作権等の集中的権利処理
2.法第30条の許容範囲内の録音・録画問題
(1)録音・録画機器の普及と経済的不利益の発生
1)実態についての評価
2)経済的不利益の立証の問題
3)録音・録画機器の普及と経済的不利益の発生との因果関係の問題
(2)補償の必要性に対する一般国民の意識等
1)著作権者等が被る経済的不利益に対する意識
2)著作権者等に対する補償の必要性の意識
(3)家庭内録音・録画問題に関する解決方法と問題点
1)家庭内録音・録画問題に関する解決方法
ア 著作物等の放送使用料等に補償費を加算することによる解決方法
イ 著作権法改正による解決方法
ウ 他の立法による解決方法
エ 当事者間の話し合いによる解決方法
2)仮に補償を行う場合の補償義務者の問題
3)仮に補償を行う場合の補償を受けるべき者の問題
平成3年12月報告 第10小委員会(私的録音 録画関係)
http://www.cric.or.jp/houkoku/h3_12.html
第1章 これまでの経緯等
第1節 現行第30条制定当時における議論
第2節 第5小委員会における検討
第3節 著作権問題に関する懇談会における検討
第4節 本小委員会における検討とそれに関連する技術の発達の動向
特に平成3年モノは、同報告に基づいて行政府が30条2項の新設を決定し、
国会における審議を経て可決・成立していますので、行政府と立法府におけ
る正式な見解と考えて特に不都合はないでしょう。また、司法による判断が
未だ示されていない現状では、同報告の解釈が通説として妥当だと考えます。
# まあ、最高裁判所で著作権法30条に違憲判決でも下されない限り、司法は
# この通説を最大限尊重すると見なして問題はないでしょう。
# 「告訴した判例がない」などという日本語にもならない反論は受け付けま
# せん:-)
その上で、平成3年モノを読めば判りますが、同報告は昭和56年モノを前提と
して議論を進めています。
# 出来れば上記3つの報告全てに目を通した上で以下を読んでいただきたい
# んですけどね。
まずは昭和56年6月の報告書から長めの引用をします。
-----------------------
そこで、以上の趣旨を踏まえ、改めて法第30条の解釈を説明することとする。
まず第一に、複製できる者(複製主体)については、「使用する者が複製する
ことができる」と規定し、複製主体を使用者本人に限定している。もっとも家庭
内においては、例えば、親の言い付けに従ってその子が複製する場合のように、
その複製行為が実質的には本人(親)の手足としてなされているときは、当該使
用する者(親)による複製として評価することができる。しかしながら、いわゆ
る音のコピー業者のような複製を業とする者に依頼する複製は、この要件に該当
しないものと解する。
(略)
第三に、使用目的は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲
内において使用することを目的」とする場合でなければならない。個人の娯楽や
学習などのために録音したり、家族で楽しむために録画したりする場合などが典
型例である。また「これに準ずる限られた範囲内」とは、人数的には家庭内に準
ずることから通常は4〜5人程度であり、かつ、その者間の関係は家庭内に準ずる
親密かつ閉鎖的な関係を有することが必要とされる。したがって、例えば、親密
な特定少数の友人間、小研究グループなどについては、この限られた範囲内と考
えられるが、少人数のグループであってもその構成員の変更が自由であるときに
は、その範囲内とはいえないものと考える。
この記述で注目すべきは、家庭内準拠の範囲は別にして、その範囲内で著作物
を融通しあう行為(敢えて貸与とは書かない)は、30条における「使用」に含
まれている、と判断している点です。
またこの様な記述もあります。
-----------------------
実際に家庭内で行われている録音・録画については、それが法第30条の許容範
囲内のものかそれともその範囲を超えるものなのかは、外形上明らかとはいえな
い。例えば、ある音楽番組の放送を家庭内で録音する場合を考えてみると、それ
が個人で使用するため、あるいは家庭内で使用するための録音なのか(これらで
あれば、法第30条の許容範囲内)、それとも第三者の依頼による録音なのか(法
第30条の許容範囲外)については、一般的に録音者本人以外の者には明らかでは
ない。
また、このように家庭内録音・録画によって作成された録音物・録画物が貸借、
譲渡、交換等に供されているのかどうか等については、貸借等の事実は一部には
あるものの、それが法第30条の許容範囲内のものかどうかについては明らかとは
いえない実情にある。
このように、家庭内録音・録画の実態を把握することは相当難しいことではあ
るが、家庭内録音・録画の問題に対処するためには、法第30条の許容範囲内の録
音・録画とその範囲を超える録音・録画とを区別することが必要である。すなわ
ち、これらは問題の性格が異なり、その問題解決の方法も異なってくるものと考
えられるからである。
法第30条の許容範囲を超える録音・録画問題を考えるにあたっては、次のよう
に三つの類型に分けることが重要であると思われる。
1)そもそも法第30条の許容範囲を超える録音・録画の場合(例えば、使用目的と
しては営利目的、業務上使用するため、多数の者の間で使用するためなど、複製
手段としては、他人の機器を使用するときなど、複製主体については第三者に複
製を委託するように主体が使用者でないときなど)
2)法第30条の許容範囲内での録音・録画によって作成された物を事後に私的使用
の目的以外の目的に使用する場合( 3)の場合を除く。)(例えば、個人使用の
ために録音したテープを事後に事業のために使用したり、第三者へ貸与したりす
るなど)
3)2)と同様の場合であるが、その録音・録画が他の著作権の制限規定に該当する
と評価できる場合(例えば、教員が自己の私的使用のために作成した録音物・録画
物を、自己が担任するクラスの授業において使用するときなど)
以上のうち、1)及び2)の場合には著作権者等の権利が及ぶこととなり、著作権
者等の許諾を得ずに行われるときには著作権等の侵害(違法)となるが、3)の場
合には、制限規定によって著作権等が制限されるので、著作権等侵害の問題は生じ
ないところから、両者を区別して論ずることが適切である。
ここで注意すべきなのは、2)における「30条の許容範囲内で作成された物を事後
に私的使用の目的以外の目的に使用する場合(49条適用との注意書きはなく、あく
までも30条における私的使用目的以外と定義している点に注目)」でも「著作者等
の許諾を得ずに行われるときは著作権等の侵害(違法)となる」と明記している点
です(ケース3を除いて)。
つまり、先の分類における説2α及び説3αは、この報告書の記述を見る限り、成
立する余地はないと考えます。
また、1)から判る通り、家庭内準拠の範囲内で複製物を融通する以外の「使用
(含む貸与行為)」を目的として複製行為を行うことは、例えそれが公衆に含ま
れない場合であっても、家庭内準拠外であれば「著作者等の許諾を得ずに行われ
るときは著作権等の侵害(違法)となる」と明記しています。
従って、家庭内準拠に含まれない人間関係から録画を依頼された場合、例えそれ
が少数であり公衆に含まれなくても、依頼に答える行為は「著作者等の許諾を得
ずに行われるときは著作権等の侵害(違法)」と判断しています。
以上より、この問題の中心点は、「fj知人」が「公衆」に含まれるのか、あるいは
「家庭内準拠」に含まれるのか、はたまたいずれにも含まれないのか、という部分
へと収束することができると考えますが、如何でしょう?
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