No. 767/1090 Index Prev Next
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From: "Nakagawa" 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: fj 社会での公正
Date: Wed, 13 Sep 2000 01:14:17 +0900
Organization: PLALA
Lines: 111
Message-ID: < 8plkge$al5$1@pin2.tky.plala.or.jp> 
References: < 39B78F85.73D1754E@af.wakwak.com>  < 8p86ru$s3j$1@news.trc.rwcp.or.jp>  < 39BA5527.891A79C6@af.wakwak.com>  < 39BB513B.EC06798D@af.wakwak.com>  < 39BCB3F4.F5C866F2@af.wakwak.com> 
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中川@つくば です(なぜかうまく出ていかなかったみたいなので2度目)

以前私が書いた、
Nakagawa wrote in message < 8pb55r$edc$1@pin2.tky.plala.or.jp> ...
> まず、亀山さんの引用された審議会報告は、いつのものなのでしょうか。
> それは、昭和45年の著作権法改正における…

の答は、亀山さんが紹介してくださった、そして岩田さんが引用した、
Hideaki Iwata wrote in message < 39BCB3F4.F5C866F2@af.wakwak.com> ...
> 昭和56年6月報告  第5小委員会(録音 録画関係)
  :
>  第三に、使用目的は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲
> 内において使用することを目的」とする場合でなければならない。個人の娯楽や
> 学習などのために録音したり、家族で楽しむために録画したりする場合などが典
> 型例である。また「これに準ずる限られた範囲内」とは、人数的には家庭内に準
> ずることから通常は4〜5人程度であり、かつ、その者間の関係は家庭内に準ずる
> 親密かつ閉鎖的な関係を有することが必要とされる。したがって、例えば、親密
> な特定少数の友人間、小研究グループなどについては、この限られた範囲内と考
> えられるが、少人数のグループであってもその構成員の変更が自由であるときに
> は、その範囲内とはいえないものと考える。

にあっさり見つかりました。
# 検索かけて、「ない」と判断していたのですが、やりかたが悪かったみたい。

亀山さん、お騒がせしました。

結局、問題の審議会報告書は
>Hideaki Iwata wrote in message < 39B7AD0F.744F00AD@af.wakwak.com> ...
> > 審議会報告の提出 ->  政府による立法化作業 ->  国会審議 ->  可決成立
> 
> に位置付けられる…
のではないことが、はっきりしました。
それにしても、昭和56年に「小研究グループ」なんて言葉が出るとはねえ…
# 「小研究グループ」の言葉を初めて目にしたときは、
# グループ内での配布を前提にしていると推測していましたが、
# そうではないみたいです(考えようによっては、いよいよ不可解)。

上の文言は、審議会小委員会の公式見解とも取れるし、
世間の通説の(肯定的)紹介とも取れる文章で、
これが「立法趣旨」と理解される可能性はないものの、
どのように司法が扱うかは、良く分かりません。
もっとも、小委員会はメディア別に編成されているので、
30条のように、全著作物対象の条文に対して、
小委員会が初めて公式見解を出すというのもおかしい。

また、この解釈の根拠については、審議会報告の常でしょうが、
何も書かれていません(判断が書かれているだけ)。

というわけで、私の疑問への解答は再び闇の中に消えていきます。

「木(目前のスレッド)を見て森(大量の過去記事)を見ず」はいけないかと、
アーカイブを覗いてみたのですが、
私の疑問に答える記事はなさそうです。

もっとも、私が考えていた他の論点は、
何度も何度も何度も何度も繰り返されていて、
結局、結論が出ていない状態であることを認識しました。

私は、30条の条文が、あらゆるメディア、あらゆるコンテンツにとって
等しく適用されるものであるからこそ、
それはむしろ厳格に解釈されるべきであって、
また同時に、30条違反が、直ちに著作権侵害となるのもおかしい、
と考えて、30条違反かどうかは、著作権問題の入口問題である、
と位置付けていたのですが、
むしろ、入口論だけで片をつけたい人が多いようです。

河野さんの論点は、30条に形式的に違反しても、
「公正利用」の観点から、違反でないと判断される場合がある、
そしてその判断の際にメディア・コンテンツの個別事情が考慮される、
というものだと理解していますし、
また何人かの人は、「実際問題として」の前置きの元に、
30条に形式的に違反しても、
可罰的違法性(刑事)や損害の少なさ(民事)の観点から、
問題なしの判断が下されるであろうこと、
そしてメディア・コンテンツの個別事情が考慮されるであろうこと
等を論じているようですが、
どちらの論も、議論の主題にはならなかったようです。
# 主題にすべきでない、という議論も見かけませんでした、
# どちらかというと、入口論で全部解決しているのに、
# それ以上の議論が必要なわけない、という論調に見れました。

審議会報告書にも目を通してみました、
審議会がメディア別の小委員会に編成されていることから、
30条の解釈一辺倒で著作権問題を解決するアプローチを取っていないことは
ほぼ自明といえますが、実際の著作権侵害の事例と、被害の実証
などというくだりを読んでいくと、著作権問題として、
映画等の放送の録画と、それの複製・貸与などの行為について
もっぱら関心を持っていて、fjで一番問題になる、
ビデオを買うことが出来ない普通の放送の録画については、
殆ど考慮されていないようです。
つまり、全てのコンテンツを平等に扱っているようで、
実際には、一分野のコンテンツだけに議論が集中している。

映画の放映がテレビの第一使命とは誰も思わないでしょうから、
これは、とても変なテレビ放送著作権議論になるとおもいます。

報告書では、家庭にある録画装置などの発展によって、
著作権侵害となる行為がどんどん行われるようになる、
それにより実質損害が著作権者に発生するなら、
それは補償されるべきである、と論を立てています。

報告書では、家庭にある録画装置などの発展にもかかわらず、
実質損害が著作権者に発生しないような行為についても、
国民は著作権への考慮から、
装置発展の利益を享受するのをためらう、
というシナリオについては、何の考察も加えていないようです。

これは、現在の日本国民の脱法感覚についての、
正確な認識なのかもしれませんが、
皮肉を感じます。

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