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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 質問です……(長文注意)
Date: 13 Sep 2000 16:20:02 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 82
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ひで@和大、です。

"H. Tanaka"  writes:
>  (1) AはCを著作権法違反で告発できます。で、刑事訴訟に至ったとします。
>    そこにおいて、MaとMcとの類似性やら、いろいろ争いがもたれるでしょう。
>    その時、Cが「AがMbについて訴訟しなかったのだから、Maについて
>   Mbと同等の類似性を持つMcはMaの権利の及ばない作品であると信じた」
>    と述べた場合、何か影響はあるのでしょうか。
>    Mbが何曲もあった場合は、どうでしょう。

何の影響も与えないでしょうね。

>  (2) AはCを著作権侵害にあたるとして民事訴訟を起こせます。
>    その時、Cが「AがMbについて訴訟しなかったのだから、Maについて
>   Mbと同等の類似性を持つMcはMaの権利の及ばない作品であると信じた」
>    と述べた場合、何か影響はあるのでしょうか。
>    Mbが何曲もあった場合は、どうでしょう。

何の影響も与えないでしょう。

>  ところで、実は質問のポイントはここなのかもしれません。
>  
>  	訴訟を絶対に避ける方法は、ありません。
>  
>  …いかがでしょう。

あります。著作者の権利を侵害する行為に及ぶ場合は、事前に
権原者の許諾を得ておく、です。そうすることで、少なくとも
正常な状態においては「訴訟を絶対に避ける」ことはできるで
しょう。

# 道を歩いているだけで民事訴訟の被告となりうる確率は
# 常に存在します。0%ということは、まずありません。
# それと一緒でしょう。

>  あ、McがA氏の気分を害した場合にこの確率が上昇するのは、
>  まあ明らかでしょう。しかしC氏がいくらA氏に気を使おうと、
>  明に許諾を得ない限り、
>  上記(1)(2)を確実に避ける方法はないと言えます。

そうです。しかし一方で、A氏の主張がどれだけ正当か、という
問題は、裁判の中で議論の対象となる訳です。
それ以上は、個別のケース毎に判断する必要があるので、一般
論としては成立するだけです。

>  許諾を得ていれば、…
>   (1)はないかな。警察の方がとりあえずいらっしゃることは
>   避けられないにしても、訴訟に至らないでしょう。

あのー、民事訴訟と刑事訴訟をごっちゃにされてませんか?
別記事でも書きましたが、我が国では刑事訴訟法によって
国家訴追主義が取られています。また、公訴可能なのは検察官
のみです(同247条)。
それに対し、捜査権は一般司法警察職員、特別司法警察職員、
検察官、検察事務官に捜査権が認められています(刑事訴訟法
の189条から191条)。

>   (2)は、常にありえます。少なくともCの勝訴になるとは思いますが。

それは判りません。許諾自体が民法上、商法上無効である場合
も考えられますし、また、C氏が許諾の範囲を越えて著作物を
利用したと判断される可能性もあります。
そういった可能性を個別に考える場が裁判ですからね。

注意すべきは、著作権法が独立して存在する訳ではない、という
点です。我が国の刑法や民法、商法を中心とした法体系の中に
存在し、具体的なケースを考える場合はそれらに対し広い知識と
体系に則って考察する必要がある、という点です。

その問題と、著作権法の条文における解釈とは、いささか趣が
異なると考えますが、如何ですか?

# 何でもかんでもゴッチャにしたら、残るのは混沌だけ:-)

著作権法は、著作権の範囲とその権原者を規定しています。
従って、己が希望する行為が誰かの著作権を犯すことになるのか?
あるいは、事前に許諾を得る場合はいったい誰に接触したら良いの
か?を考える上で、著作権法は重要となります。

それ以外の場面では、他の法律の登場を待つしかありません。

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