No. 837/1090 Index Prev Next
Path: ie.u-ryukyu.ac.jp!agent
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 「貸してください」記事に関して
Date: 18 Sep 2000 17:41:57 GMT
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Lines: 116
Message-ID: < 9150.969298958@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
References: < 8q5hic$ivg$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp> 
Reply-To: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
NNTP-Posting-Host: rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp
Originator: agent@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp
Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:11838

河野 真治@琉球大情報工学です。

In article < 8q5hic$ivg$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>  , 
	"ISHIBASHI"  writes 
> 例えば、Aが「貸して下さい」記事を投稿して、Bが録画ビデオを
> 貸してあげた場合、Bの行為の違法性は色々議論されてる「グレー
> ゾーン」らしいけど、私の考えではBの行為は「黒」だ、と言いた
> かった訳です。

それが私的使用の範囲内だとされれば、それは合法的です。黒だと
するためには、岩田説の「fjで知り合った人は親密度が足りない」
とかいうのを採用しないとだめだよね。ちょっと口づけとかしてか
ら貸すのが良いのかも... 

> いや、しかし、今、現在に至る一連の記事を読み直してみたら、
> 「グレーゾーン」という用語はAの行為について使われていたみた
> いですね。これでは、Nakagawa さんが疑問に思われるのも当然で
> すよね。私の説明不足でした。申し訳有りません。

記事自体に関して、教唆がどうのこうのって話は、僕が岩田氏がそ
ういったと言ったら、かれは「僕は言ってない」怒ってました。
そりゃそうだよね。

> これも同様に、
>  民法第709条2項
>  「教唆者及び幇助者は之を共同行為者と看做す。」
> の「教唆者」に該当するとして告訴されます。

まず、そのためには、その記事への応答が犯罪でなければなりませ
ん。それがまず怪しい。

> 分かれているようですし、この点に関しては、私もあまり詳しくは
> ありません。

詳しくないけど「告訴されます」なんだよね。今まで一度もそんな
ことおきたことないのに。この議論って、ずーっとそんなのばっか
りです。瀬尾氏は、ようやっとトーンダウンしたようだけど。

> で、「教唆」の意味は、法律用語辞典等によると「人に犯罪を実行
> する決意を生ぜしめること。」です。さらに「教唆」に該当する為
> には「故意」が必要であるとか、実行者の特定は不要であるとか、
> 色々と判断基準があるようです。

記事に返事を書く人が、ちゃんと善悪の判断が付くような状況、つ
まり、自分のする事がどういうことかわかっている状況で、行なっ
たことは、他人の教唆によるものとされることはありません。

「単に、殺せと言われたから殺しました」だったら、単に殺した奴
が悪いわけでしょ? そうではなくて、「殺せと言われて断れない状
況にあった」とか「その行為の善悪の判断できない状況にあった」
とか、そんなことがあって始めて、そういう状況にした奴の責任が
問われます。

> しかし、法律論は別にして、以下、私見ですが、

そういう議論ならば話は別です。そういう話ならば、もっと直接的
に、権利者と使用者の利益のバランスみたいな視点で議論すべきな
のであって、「告訴しないから」とか「精神的な負担」とかの議論
は関係ないと思います。

> うーん。算定基準までは、私も詳しい知識が無いので分かりませ
> ん。

普通は、著作権者の得られたはずの利益が、その行為によって失わ
れた部分に対する損害を計算するのでしょう。この場合は、名誉とか
とは関係ないですし。ちなみに、この議論は、既に fj.soc.copyright
で議論されていて、0から数百万円までのさまざまな説がでました。

> でも実際、仮に著作権者が告訴する場合は、わずかな損害額などは
> 実は問題ではなく、今後はこのような事態が生じないようにする為
> のみせしめ的な意味あい(言葉が悪いのですが)での告訴になるの
> が現実だと思います。

そういうことは、個人対象の訴訟では普通はありません。むしろ、
わずかな損害額で罰すること自体の方に問題があります。みせしめ
とかいうならば、刑事罰の方が近いんじゃないですか? (岩田氏は
刑事罰はないとかいっているけど... 300万円の罰金なら十分でし
ょう。) 

> > 4.仮に損害賠償も慰謝料もなしだとすると、
> >  どのような事を要求したものになり得るのでしょうか?
> 特殊なケースでは謝罪の公表を要求する場合も有ります。例えば、
> 一般新聞紙等に謝罪記事を掲載することを要求するとか。でも、
> 今回の件では関係無いですね。

貸与とか譲渡だったら「返しなさい」、複製だったら「消しなさい」
と言われるってのがありそうな話... でも、それで回復される著作者
の権利ってのはいったいなんなのだろう? とか考えてみると、この
「貸してください」訴訟がばかげているのがわかります。

  ---- *---- *---- *---- *---- *---- *

自分の常識を疑うところからはじめた方が良いのかも知れないですね。
僕の考えは、こうです。

    「貸してください」という記事、そして、その「貸す」行為の犯罪
    性が、確実でもなければ、明確でもない。

    また、記事も行為も、どの時点でも著作者の許諾があれば合法的に
    確実になりうる。

なので、これらを法律上取り締まることはできない。

だとすると、ここで議論している人は、たぶん、理解しているだろ
うけど、「私的使用の範囲内でお願いします」とか「許諾をとるよ
うにしてください」とかそんなことを「お願い」するしかできませ
ん。

で、 ISHIBASHI氏は、それで満足なのか、安心して眠れるのかって
のを聞きたいです。やはり、法律を越えて「記事そのものをなんと
かしたい」のではないですか? そのためには、どうすれば良いと
思いますか?

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
Next
Continue