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From: Richter ABC 
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Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Wed, 20 Sep 2000 00:46:37 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 65
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こんにちは。

kameyama@trc.rwcp.or.jp (Toyohisa Kameyama) さん wrote:

>  前提として, 38 条 4 項による貸与は
>  A. すでに存在する複製物を貸与することを許諾するもので.
>     新たに複製物を作成してその複製物を貸与することまでを
>     許諾しているわけではない
>  ということは良いですよね?
>  
>  で, 30 条で作成された複製物があった場合,
>      新たに複製するわけではないから貸与することができる
>  と考えているのでしたら, そこから違ってきます.
>  
>  38 条 4 項は "頒布" にあたり, かつ "私的使用目的" とは言えないので,
>  まさに 49 条の目的外使用にあたります.
>  そのため, 複製を行なったとみなされ, この場合 A. のように複製が
>  認められてはいないので, 複製権侵害になるわけです.

38条4項は、貸与権(26条の3)の制限規定ですから、同項の要件を充た
す場合には、貸与権を侵害することにはならないとしているだけだと思います。

49条は、貸与行為等を複製とみなす要件を規定し、その要件を充たす場合に
は、貸与等が複製権の侵害となりうるようにした規定です。
21条、30条の関連規定です。

したがって、49条は、本来、30条等により「適法に複製された複製物」を
法が複製権を制限した趣旨に大きく反して使用する等の行為があった場合にそ
の行為を例外的に複製とみなすことにより、複製権の及ぶ範囲を拡大したもの
です。

これに対し、113条1項は、複製との関係で言えば、「複製権を侵害して複
製された複製物」の頒布(公衆への貸与を含む。)又は頒布目的の所持が複製
権の侵害とみなされる要件を規定しているものです。
この規定も、複製権の及ぶ範囲を拡大したものです。

>  > >  ちなみに、先に挙げた田村先生の「著作権法概説」のP.171にはこう記載
>  > >  されています。
>  > >  
>  > >  ----------------------------------------------------
>  > >    ちなみに、38条4項、5項は、複製物が適法に作成されたことを要件と
>  > >  していないので、各項所定の要件を満たす限り、著作権侵害により作成
>  > >  された海賊品の貸与行為にも著作権者の許諾を要しない。しかし、著作
>  > >  権侵害につき情を知った時点以降は、113条1項2号によりその頒布が禁
>  > >  止されることになると解される(加戸・前掲:筆者注/逐条講義のこと:
>  > >  222頁参照)。
>  > >  ----------------------------------------------------
>  
>  この文 (および逐条講義の該当部分) を読むと
>  適法に作成されていないことを知っている複製物を貸与する場合,
>  38 条 4 項を満たしていたとしても. 113 条 1 項 2 号により
>  著作権侵害となる, と読めますが...

先に説明しましたように、違法に複製された複製物を事情を知って公衆に貸与
した場合には、貸与権の侵害ではなく、113条1項2号により複製権の侵害
になると思います(当該著作権というのは、この場合、複製権です。)。

それでは。


法律論  大歓迎!

Richter ABC  
 

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