No. 851/1090 Index Prev Next
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From: Hideaki Iwata
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (
罰則関係)
Date: Wed, 20 Sep 2000 10:00:48 +0900
Organization: WAKWAK Internet service
Lines: 114
Distribution: fj
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ひで@自宅、です。
Richter ABC wrote:
>
> こんにちは。
> 一点述べますと、その委員会は、各界の代表者(利益代表者ともいうべきか)
> を集め、大局的な観点から著作権に関する重要な政策決定をするための委員会
> のようですね。
その点については異存ありません。
業界利益団体の代表、利用者の代表(と政府が考えた人々:-)、学識経験者に
よって構成されている、と言って良いと思います。
国民生活に非常に深い関わりを持つ著作権問題ですので、こういった幅広い
人達で審議会を形成するのは、妥当だと言えるでしょうね。
審議会制度が国家行政組織法に基づくってことは先に述べてます。
また、審議会報告が何らかの法的拘束力を一切有しないことも明記しています。
それでもなお、審議会の報告は往々にして国家の行く末を大きく左右します。
著作権は無体財産権であり、法に示された条文によってのみその客体と主体が
規定される点を考えれば、審議会が示している解釈論も、一つの「有力」な論
であると考えるのが、全体的な視点から見れば妥当でしょう。
また、審議会が法解釈を報告する以上、そのメンバーに含まれる法律関係の学
識経験者がイニシアチブを取っていると考えるのが妥当ですし、また、社会的
にそう見られることはご本人も良く承知していらっしゃるでしょう。
# 注意して欲しいのは、上記報告書の該当部分の記述は、現行法の解釈として
# 述べられています。未来に対する提言部分ではありません。現状分析の部分です。
著作権法が私法(経済法)の特別法の、そのまた特別法である、という位置付け
を考えると、その構図がかなり特殊である、という考えもまた成立しますよね。
> 法制審議会のように細かな法律論をするところではありません。著作権の専門
> 家である大学教授や元法制局長官が含まれていても、その報告書の提案と直接
> 結びつかない細かな記述にはクレームをつけないでしょう。
うーん、出来たら著作権審議会報告を続けて読んで頂きたいですね。
結構面白いですよ。
「あ、この部分は業界団体からの強力な申し出があったから、併論せざる得なく
なったんだなあ...」
ってところもありますしね。また、意見の遷移なども分析できます。
最近では、情報公開の流れを受けてか、文部省のWebで審議会の議事録(かなり簡
単なものだけど)も公開されてますので、そういったものを読むのもいいかも知れ
ません。多分、文化庁か文部省に頼めば、当時の議事録も閲覧させてもらえると
思うんですけどね。さすがにそこまでする時間と気力がない:-)
# 現状ではサイドワークですからねえ...本職が忙しい:-)
# この議論に参加するのも、一種の息抜きだから...プログラムが出来ん!!:-)
> 間違っている理由は、すでに前の投稿で述べています。
> コンメンタール等で説明されている法改正の経緯、条文の構造からして明らか
> だと思います。
このコンメンタールが「著作権法コンメンタール 上巻」を指すのでしたら、その
368頁から373頁の解説に、ABC氏が述べる説に類する記述は見当たりません。
つまり、審議会報告を肯定する記述もない代わりに、否定する記述も見当たりま
せん。
> なお、法律専門家の基本書、論文等で岩田さんの御理解と同じ説を述べている
> ものがありましたら、是非、御教示下さい。
私は逆に、この問題に関する議論をしている書籍を知りません。
私が見た十数冊の書籍で、私的使用目的に複製された著作物の複製後使用について、
49条の適用以外に「私的使用目的以外への転用」を議論したものは知りません。
つまり、ABC氏の説も見たことはない、です。
唯一の文書は、先の昭和56年審議会報告のみ、です。
# だからこそ、家庭内準拠と公衆の間に中間層は存在しない、という岩田説を
# 打ち出している訳でして...:-)
ちなみに、先のコンメンタールは、この件以外は、ほぼ、昭和56年の報告書及び
昭和51年の著作権審議会第4小委員会(複写複製関係)報告書に沿った述べ方を
しています。
唯一、昭和56年でその可能性があると指摘されている家庭でのビデオライブラリの
違法性についてのみ、反論を加え違法性を否定しています。
# これは立法論ですべき議論であり、解釈論としては無理筋だ、と結論づけてい
# ます。
つまり、現在問題となっている件については、否定も肯定もしていません。
結局、この問題ってあまり面白くないんでしょうね。
私だって面白くない。今は詳細に法の条文を検討してますが、人間としては非常に
チャランポランでご都合主義で終わりよければ全て良し、ってタイプですからね:-)
一部にゴチャゴチャ言う人がいるのと、後は、「現状の著作権制度は制度疲労を起
こしており、早急に新制度を構築すべきだ」という信念のもと、現行制度の矛盾点
の洗い出しをしているだけですからね。
だから、著作権審議会が提示した論を学会が否定も肯定もできていない、って現象
は、私にとっては自説の補強証拠にしかならない訳です:-)
# 30条自体も次々と屋上屋されているから、全面的に見直すべきだと考えてます。
# その際、この様な解釈論の分裂が起きないように、きちんとした条文にする、と。
# つまるところ、立法論でやればいいじゃないか、ってのが私の考え。
一連の審議会報告および各種書籍の記述からも明らかな通り、30条の三条件にほんの
少し反しているからと言って、刑事上の責任を追及するというのは法体系上不適当で
しょう。また、民事上の責任追及に関しては、著作権者の意思に任すのが適当で
しょう。権利濫用に当たるか否か、については、識者の意見は分かれているみたいで
すしね。
しかし、「法律は最低限の道徳」という精神に則れば、上記報告書の記述も十分に
尊重すべきだ、という意見です。特に、fjというマスメディア上での言動に関して。
> そういう方は、各省庁の大臣の諮問委員会の委員には採用されていないのでは
> ないかと思います。
それって半田先生に対する宣戦布告って気もするなあ...:-)
# 著作権法の世界では、いい意味でも悪い意味でも、半田先生は巨人ですからね:-)
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