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From: Hideaki Iwata
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Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: 21 Sep 2000 15:49:54 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 150
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ひで@和大、です。
認識の違いって、何が原因なんだろうなあ......
Richter ABC writes:
> 現行法制の説明の部分ではなく、現状分析の部分ですよね。法律論を書いたと
> ころではなかったと思います。
え!
III 法第30条に関する録音・録画に関する著作権問題について
1.法第30条の許容範囲を超える録音・録画問題
って部分ですけど.....
# 今、(社)著作権情報センターのWebみたら全面的にリニューアル
# されている! http://www.cric.or.jp/
# すごく見易くなっている(^_^;;)
# 報告書の一覧も答申年度順に変わっている。この調子で48年以前の
# 報告書も載せて欲しいなあ(^_^;;)
# 担当者の皆様、お疲れ様です:-)いつも利用させて頂いてます。
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III 法第30条に関する録音・録画に関する著作権問題について
1.法第30条の許容範囲を超える録音・録画問題
実際に家庭内で行われている録音・録画については、それが法第
30条の許容範囲内のものかそれともその範囲を超えるものなのか
は、外形上明らかとはいえない。例えば、ある音楽番組の放送を
家庭内で録音する場合を考えてみると、それが個人で使用するた
め、あるいは家庭内で使用するための録音なのか(これらであれ
ば、法第30条の許容範囲内)、それとも第三者の依頼による録音
なのか(法第30条の許容範囲外)については、一般的に録音者本
人以外の者には明らかではない。
また、このように家庭内録音・録画によって作成された録音物・
録画物が貸借、譲渡、交換等に供されているのかどうか等につい
ては、貸借等の事実は一部にはあるものの、それが法第30条の許
容範囲内のものかどうかについては明らかとはいえない実情にあ
る。
このように、家庭内録音・録画の実態を把握することは相当難し
いことではあるが、家庭内録音・録画の問題に対処するために
は、法第30条の許容範囲内の録音・録画とその範囲を超える録
音・録画とを区別することが必要である。すなわち、これらは問
題の性格が異なり、その問題解決の方法も異なってくるものと考
えられるからである。
って、きちんと述べていますけど.......
> あの種の報告書は、その趣旨と記載されている箇所をよく検討しないといけな
> いのではないでしょうか。報告の結論に影響しないところだと思います。あの
> 報告書は、私的使用目的の複製そのものをどうするかを問題としているわけで、
> 私的使用目的で複製したものの使用をどうするかを論じているわけではなかっ
> たと思います。
いえ、そのー、平成3年報告でも昭和51年報告でもいいですけど、
いずれにしても、科学技術の発展によって法が従来認めてきた権
利の制限を引続き認めることによって、著作権者サイドに経済的
不利益が発生する事実が確認出来たから、私的録音録画補償金制
度を導入したり、公衆に供する目的で設置された自動複製機器を
使用した場合は権利の制限から外しましょう、と提案したりして
いるのです。30条の趣旨は維持したままでね。
その理論の中では、「当時の30条の存在によって著作権者が被って
いる経済的損失が、1条が述べるところの適正な文化的発展に寄
与する公正な利用の範疇に留まるのか?」を証明する必要が生じ
た訳です。つまり、損害額が軽微であり、文化的な発展の前では
公正な利用の範囲内である、と考えられるなら制度改正(条文改正)
は必要ない、となるはずです。
それ故、どういった状況が30条の認める「権利の制限」状態に
合致するのか、をきちんと議論する必要がある、と述べているの
です。
> ですから、問題の箇所は、判例でいえば「傍論」です。
????????????
「傍証」が否定されちゃったら、昭和51年や平成3年の報告書が
提案している制度改正は実施されなかったはずなんですけど....
実際には、両者とも実施されていますよね。昭和51年報告を受け
て30条(現在の30条1項)の一部改正が行なわれ、平成3年報告を
受けて30条2項が新設されている。
平成11年の技術的保護手段回避の禁止も、その流れで来ているん
ですけど.....
だから、30条の改正を答申している報告書の中で、昭和56年報告
の解釈を否定しているものが存在していない以上、審議会として
は引続き昭和56年報告の見解を受け継いでいる、と考えるのが
妥当でしょう。
> つまり、複製権は、「有形的な再製行為」にしか及ばないのです。
> 著作物の使用、複製物の貸与、譲渡などは、著作物の有形的な再製ではないの
> で、これに複製権が及ばないのは当然です。だから、それ以上記載していない
> のは当然です(なお、30条1項は、上記の複製権の制限の規定ですから、複
> 製権のことしか規定していません。また、同項のどの文言を見ても、複製権を
> 拡張することを認めていると読めるものはありません。)。
30条1項では、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた
範囲内において使用することを目的とするとき」に限り、「複製す
ることができる」と述べるに留まってますが。
つまり、事後に目的を変更して使用してもいいですよ、などとは書
かれていません。一種の「管理責任」を複製行為者に求めていると
も読みとれる条文です。
この記述を普通に理解すれば、
「使用目的が終了したのならば、速やかに複製物を処分しなさい」
と述べているのではありませんか?
# 利用目的が終った時点で、自己責任において複製物を転用できない
# 状態にする道義的責務を示している、と考えることは十分に可能。
ライブラリとして保存することが私的使用目的であったばあいは、己
が死亡でもしない限り、ライブラリの存在自体が使用目的となるで
しょう。しかし、だからといって家庭内に準ずる限られた範囲外の
者に同ライブラリを融通する行為は、「私的使用の目的」には合致し
ません。だから、そういったこと(家庭内準拠外に融通する行為)
をする場合は、著作者の許諾を得なさい、というのが、報告書の趣
旨ですよね。複製権か何かは明確にしてないけど、少なくとも著作権
を侵害していることになりますよ、と述べている。
これはこれで全うな解釈論ではありませんか?
# どうして「複製」に拘るんだろう?
> 特許権の場合には、68条、2条3項に規定されています。その規定の仕方と
> 比較すればお分かりになるでしょう。
特許権と比較するところがダウトですね:-)
特許権以下の工業所有権と著作権は決定的にその性質が異なっている、
ってのが通説ですから。同じ知的財産権であり無体財産権であったと
しても。
中には、現行の著作権のうち、財産権としての著作権を著作者人格権
と切り離し、工業所有権と同程度にまで扱うべし、って主張もありま
すが(実は私もその論者:-)、現行制度ではそれを是とは認めていま
せん。
# 中には著作者人格権の一部も切り離して工業所有権相当ににしよう、
# って論じている学者もいる訳ですが......
# そうじゃないと、著作者人格権を放棄可能、という考えも出てこな
# い訳で......
> 半田先生の教科書もずいぶん版を重ねていますね。
> もし、半田先生が報告書の記載と同じ意見をお持ちなら、大論文を書かれてい
> るはずです。
> しかし、複製権の解説は、基本的に昔と変わっていません。
だから、誰も「複製権」の議論をしているんではないんですってば。
30条によって制限されている「状況」を議論しているんですってば。
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