No. 892/1090 Index Prev Next
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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (
	罰則関係)
Date: Sun, 24 Sep 2000 01:31:21 +0900
Organization: WAKWAK Internet service
Lines: 152
Distribution: fj
Message-ID: < 39CCDAD9.4AAB2D7C@af.wakwak.com> 
References: < 39CCA3A3.B397806F@af.wakwak.com>  < 200009232346306#mX7x4s6zc@news.nifty.com> 
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ひで@自宅、です。
フォローした記事によって誤解を招いているかもしれないから、ちょっとだけ
補足。

Richter ABC wrote:

>  岩田さんが本当に著作権法を理解されたならば、多分、私の門をたたかれるだ
>  ろうと思います。

多分それはないでしょう:-)

>  なお、例の審議会の報告書の記載を通説などと言えないことは、すでに読者に
>  明らかになっています。

私は、審議会報告の記載を通説と考えている、との説を提示はしています。
また、そう考える理由を私は私なりに説明しているつもりです。

# 解釈論から離れ、立法論、あるいは政治論としてそう考えるのが妥当だ、って
# 説明です。

しかし、同時に、それに対する異論があることも認めています。

だから、審議会報告の記載の是非を議論する意思はありますが、私自身は、
その議論にすら入っていない、との認識をもっています。

# 自分の考えを述べただけ。だから、折に触れ、「審議会報告に則れば」
# と明記しているはず。

ABC氏は報告書の記載が法律論として不適当だ、との証明を既にしていると
考えている様ですが、それはABC氏の信じる前提に則った結果であり、ある
説を信じる以上、当然の帰着です。つまり、ある前提を提示し、その前提に
立って推論エンジンを動かせばその結論が導き出されたとして、エンジン部
分に問題がない場合、前提の真偽を議論しない以上、結論は合理的かつ論理
的帰着と判断できます。

しかし、前提の真偽を確認しないで求められた結論は、科学的には仮説に過
ぎません。仮説の是非を検討する方法はいくつもありますが、その際にも前
提が間違っている可能性を無視しては不可能です。

ある前提を無条件に信じるという行動は、ある主義を信じることから導き出
されます。私の基本的な態度は、「ある主義を信じればこういった結論が導
き出されるが、別の主義を信じればまた違った結論が導き出される」です。
その上で、個々の説の周辺情報を集めて、可能ならばどの主義を信じるのか
を決めようとしています。

実際問題として、私自身の中にはある一定の主義があり、当然、その主義に
基づいた主張もあります。しかし、分析の段階においては、その主義主張を
一旦横に置いておいて、諸主義を検討しよう、と考えています。

しかし、ABC氏自身においては、自分が信じる主義こそが真実である、との
立場を変えられていない様に私には見えます。
Message-ID: < 39CC2BCB.9CBE4E5E@af.wakwak.com> 
とそれに対するABC氏のフォロー
Message-ID: < 20000923181513Okq%rQzlRrX@news.nifty.com> 
からです。

「権利の制限」って部分に対し、私が問題としようとしている部分への理解を
示さず、ABC氏が自説を断固として主張する姿勢をもって、「合意は不可能」と
判断しています。

少なくとも、ABC氏が唱える「権利の制限」に対する説明は、私が私流に読
解する各種解説書及び各種審議会報告に反します。
しかし、ABC氏は自説とこれら記述との間に論理的矛盾は存在しないし、
立法趣旨に則れば自説が適切である、と述べています。

いくつかの文献では、立法趣旨についても論じていますが、少なくとも私は、
それら記述とABC氏の説明の間に、大きな溝があると考えています。

その溝の存在(私がなぜその溝を認識してているのか?)をABC氏が理解されな
い以上、私を説得することは絶対に不可能でしょうし(なぜなら、溝を埋める為
にはどこにどんな溝が存在するのかを正しく認識しないといけない)、また、
その溝を埋めるお気持ちはABC氏にはなさそうに見えるのです。

# ご自身が信じる主義を万人が受け入れるよう説得している姿勢は重々理解して
# いるつもりですけども:-)

>  法律論と離れても、学者なら、あのような記載をもって通説と言えないことは
>  明らかなはずです。

明らかかどうかの議論はまだした覚えがありません。
私の考える根拠は既に述べていますが、その点に対する議論にまでは至っていま
せん。なぜなら、その議論以前に得ておくべき(と私が考える)合意事項すら合
意を取れる状態にないから、です。

お互いの主義がどういった論拠で成立しているのか、を相互理解しない限り、
合意はおろか、きちんとした議論は出来ないでしょう。
また、fj上で法律論に決着をつけることなんてできないし、仮に決着が出たとし
ても、社会的に見ればほとんど何の影響も与えないでしょう。

だからこそ、fjでは相互理解が第一である、と、以前ABC氏に申した訳です。
ただ、どうやらその段階にまで進めそうにありません。それ故に、ABC氏との議論
からは撤退させていただきます。

# 少なくとも、「権利の制限」の存在理由に対し、各種解説書の記述とABC氏の
# 説明に違和感を抱いている理由をご理解頂けたら良かったんですけどね...

# 「貸与、譲渡等が複製権の侵害に当たるという見解をとるのであれば」ってまだ
# おっしゃっているけど、そんなことは誰も言ってない、って繰り返しているんだ
# けどなあ...

# 30条に限って言えば、「私的使用を目的とする場合に」「複製することができる」
# っていう「権利の制限」の理解の仕方だ、って言っているつもりなんだけど...

# その為に、「権利の制限」の概念上の対立を示しているんだが....

ま、無駄だった訳ですが....

最後に、コンメの366頁から367頁から引用(< 39CC2BCB.9CBE4E5E@af.wakwak.com> で
引用した続きです)

------------------------------------
1. 著作物利用の性質からして著作権が及ぶものとすることが妥当でないもの
2. 公益上の理由から著作権を制限することが必要と認められるもの
3. 他の権利との整合のため著作権を制限する必要があるもの
4. 社会慣行として行われており著作権を制限しても著作権者の経済的利益を
   不当に害しないものと認められるもの

  本項(筆者注:30条1項)は私的領域内で行われる複製までをも禁止してしまうと、
人間の行動の自由が過度に阻害されること、反面、そのような私的複製を著作権の
範囲内としたとしても権利の実効性は期待できないことから、著作物を私的に使用
する目的で行う複製について、著作権者に無断でこれを行うことができる旨を定め
たものであり、上記の1.または4,に該当するものである(上記4分類を提示する加
戸・前掲:筆者注/逐条のこと:179頁では、本項について「いわゆる著作物の通常
の利用と衝突せず、著作権者の経済的な利益を害するおそれがないと思われる態様
の典型例」としており、本項が上記4分類のいずれに該当するかについては必ずし
も明確にしていない)。

Message-ID: < 20000923181513Okq%rQzlRrX@news.nifty.com> 
でおっしゃっている

|この考え方は、我々法律専門家の間では共通したものであり、そのような認識
|の下に立法というのはされているのです。

ってのは、このコンメにおいては間違いみたいですね。
4つの類型を提示して、場合によっては「著作権を制限する必要がある」と明記
してますからね。2から4の類型は、いずれも「様々な理由により著作権を制限
するケース」ですからね。
その上で、30条に関しては1または4の類型に合致すると述べてますよね。
ABC氏の説によれば、30条から49条は全て1の類型でなきゃあいけないはず。

# 加戸先生の本は持ってないからなんともいえないけど、田村先生の本にも同様
# の記述があったことは、私も確認済み。今、手元にないけど:-)

それでもなお、「我々法律専門家の間では共通したもの」と主張されているから、
私は撤退する意思を表明しています。

# 確かコンメもお持ちだったはずですよね。この記述でも駄目?
# 私が盲目的に信じているのではない、って言っても信じてくれない?

# なるほど、そういう立場からも著作権法の解釈に努力してみる価値はあるな?
# とはお考えにならない?
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