Cisco Local Academy 00/04/19

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河野真治


この授業の目標

この授業は、基本的に、セメスターと呼ばれる半年の単位に分割されています。CCNA と呼ばれる CISCO の認定に相当する知識を得るためには、セメスター 1, 2,3,4 を受ける必要があります。

セメスター1 は、以下のような70レッスンに及ぶ目標があります。このうちテストなどを除くとだいたい55レッスン程度になります。これを14回で終らせるために、だいたい、一日に5 レッスンずつ進めていきます。ただし、多少時間を変更することがあります。

注意

この教材は、アメリカ向けのために少し実情に合わない部分があります。また、ネットワークの進歩はので、既に時代遅れになっている部分もあります。修正してお教えしますが、教材には間違っている部分もあると考えたほうが良いでしょう。

授業は、6:30から9:40ですが、授業は9:00とし、残りは自習あるいは実習の時間とします。

レッスン1

ネットワーキングとは何か、起源

ネットワーキングに標準が必要な理由

レッスン2,3

OSI参照モデルとは

レッスン4

インターネットワーキングデバイスとは何か

レッスン6

リピータ

ブリッジ

レッスン7

IPアドレスとは何か

レッスン8

ルータとは何か

レッスン9

IPアドレスをドット付き表記で表現する方法

レッスン11

IPアドレスが必要な理由

レッスン12

サブネットアドレスの作成方法

レッスン13

各サブネットワークに割り当て可能なホストアドレス数の決定方法

レッスン14

サブネットワークにおいてブロードキャスト用に予約されている番号

さまざまなサブネットマスクに応じた論理積演算(AND)

レッスン16

デバイスがデータを送信するためにARPテーブルを使用する方法

レッスン17

RARPとは何か

レッスン18

ARPテーブルを保持するインターネットワーキングデバイス

レッスン19

ルーティングプロトコル

レッスン21

LANを運用するために必要なハードウェア

レッスン22

各種ネットワークメディアが搬送する信号の種類

レッスン23

シールドなしツイストペアケーブルとは何か

光ファイバケーブルとは何か

レッスン24

LANの設計および実装プロセス

レッスン27

ネットワークメディアの標準が重要な理由

レッスン29

バス型トポロジとは何か

レッスン31

スター型トポロジとは何か

レッスン32

スター型トポロジを拡張する方法

レッスン33

イーサネットアーキテクチャの起源と歴史

CSMA/CDの目的

レッスン36

RJ-45ジャックの取り付け方法

レッスン38

UTPケーブルの配線時に注意すべき基本事項

レッスン39

もっとも簡単なケーブル配線方法

レッスン42

ワイヤリングクローゼットとは何か

レッスン43

敷設後のケーブルのテスト方法

レッスン46

ワイヤリングクローゼットに関する環境仕様

レッスン47

ワイヤリングクローゼットの設置場所の選択方法

レッスン48

LANを導入する建物に関する解説

レッスン49

複数のワイヤリングクローゼットを設置するもう1つの例

レッスン51

交流の電力線が起こすノイズによって発生する問題

コンピュータ機器内での電流のアース方法

レッスン52

アースが正しく取られていないことによって生じるその他の問題

レッスン56

信号用標準アースの実装場所

レッスン57

電力問題

サージとスパイクが及ぼす被害

レッスン58

UPSでサポートする必要のあるネットワークデバイス

レッスン61

ネットワーク管理の第一段階

SNMPとその動作方法

レッスン62

ネットワークの日次報告で提供すべき情報

効率監査とそこに含まれる情報

レッスン63

ネットワークパフォーマンスの評価の目的


レッスン1

ネットワーキングとは何か

ネットワーキングの起源

ネットワーキングに標準が必要な理由


レッスン1/1

ネットワーキングとは何か

ネットワーキングとは、ワークステーション、周辺機器、ターミナルやその他のデバイスを相互に接続することです。ネットワークの代表的なものの1つに、LAN(ローカルエリアネットワーク)があります。

ネットワーキングによって、異なる種類のコンピュータ間での通信が可能となります。ネットワーク上でどの種類のコンピュータが使用されているかは問題にはなりません。マッキントッシュでもPCでもメインフレームでもかまいません。ネットワーキングにおいては、すべてのデバイスが同じ言語、つまりプロトコルを使用する点が重要となります。


レッスン1/2

ネットワークの起源

PC業界は、業務用アプリケーションの普及によって促進されてきました。

初期のコンピュータはスタンドアロンデバイスでした。

つまり、各コンピュータは他のコンピュータとは独立し、単体で動作していました。まもなく、このような形態は、業務上、効率が悪くコスト効果も低いことが明らかになりました。そこで、機器やリソースが重複している、効果的なコミュニケーションできない、さらにネットワーク管理が欠落しているといった問題を解決するソリューションが必要とされました。

これらの問題を解決する初期のソリューションの1つが、LAN(ローカルエリアネットワーク)の構築でした。

LANを導入することで、単一の建物内のワークステーション、周辺機器、ターミナル、その他のデバイスを相互に接続できます。したがって、このコンピュータテクノロジを利用して、ファイルやプリンタなどを効率的に共有することができます。

しかし、ビジネスにおけるコンピュータの使用が普及するにつれ、LANでさえ不十分なことが明らかになりました。各部門や会社をまたがった情報の交換が必要になってきたからです。

情報を効率的かつ迅速に企業間でやりとりするための方法として生まれたのが、MAN (メトロポリタンエリアネットワーク)およびWAN(ワイドエリアネットワーク)の構築です。WANはネットワーク同士を接続し、地理的に広範なエリアにわたってユーザにサービスを提供するため、遠隔地にいるユーザとも相互に通信できるようになりました。


レッスン1/3

ネットワーキングに標準が必要な理由

LAN、MANおよびWANの開発の初期段階では、さまざまな点が混沌としていました。1980年代初頭にはネットワーキングは驚異的に普及しました。多くの企業がネットワークテクノロジを採用し大幅なコストの削減と生産性の向上を実現しました。新たなネットワークテクノロジや製品が次々に紹介されるようになると、各社とも既存ネットワークへの追加や拡張に追われるようになりました。しかし、1980年代の中頃には、このような拡張に疑問を抱く声が多くなりました。

新たに登場したネットワークテクノロジは、それぞれ異なるハードウエアやソフトウエアを採用して開発されていました。したがって、その多くには互換性がなく、異なる仕様のネットワーク同士を相互通信させることは困難になっていきました。


レッスン2

はじめに

ネットワーキングの基準として開発されたモデル

OSI参照モデルとは

OSI参照モデルで規定されているプロセス

ネットワーキングが必要な理由

カプセル化によるコンピュータのデータ通信方法


レッスン2/1

はじめに

レッスン1で学習したように、LAN、MAN、WANの開発の初期段階ではさまざまな点が混沌としていました。1980年代初頭に、ネットワークの開発分野は驚異的な拡張を遂げました。多くの企業がネットワークテクノロジを採用し大幅なコストの削減と生産性の向上を実現しました。新たなネットワークテクノロジや製品が次々に紹介されるにしたがって、各社とも既存ネットワークへの追加や拡張に追われるようになりました。しかし1980年代の中頃には、このような拡張に疑問を抱く声が多くなりました。異なる仕様や実装のネットワークが増加したために、ネットワーク間での相互通信が困難になってきたためです。


レッスン2/2

ネットワーキングの基準として開発されたモデル

このような問題を解決するため、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、DECNET、SNA、TCP/IPなどのネットワーク体系の調査を実施しました。

その調査の結果、各ベンダが開発するネットワーク間で互換性と相互運用性を確保するために、ネットワークモデルを策定する必要があると認識しました。そして1984年にISOは、OSI参照モデルを発表しました。OSI参照モデルを開発することで、ISOは世界中のベンダに標準を提供しています。つまり、各社が開発するさまざまなネットワークテクノロジの互換性と相互運用性をさらに高めることを保証しています。

 


レッスン2/3

OSI参照モデルとは

OSI参照モデルは、すぐにネットワーク通信の基本モデルとなりました。他のモデルも開発されましたが、今日、ほとんどのネットワークベンダは、ユーザ教育の際に、自社のネットワーク製品とOSI参照モデルを照らし合わせて説明しています。つまり、これはネットワークでのデータの送受信について学習しようとする人々にとって最適なモデルとなったのです。

OSI参照モデルには実体はなく、各層のネットワーク機能を指定した概念的な枠組みにすぎません。簡単に言うと、情報がネットワーク内をどのように伝送されていくかを示すための1つの手段です。

すべてのベンダがOSI参照モデルを採用したとしても、各社が実装するネットワーク間には依然としてかなりの違いが見られます。


レッスン2/4

OSI参照モデルで規定されているプロセス

OSI参照モデルでは、コンピュータ間での情報のやり取りに関する問題を7つに細分化しています。7つの領域はそれぞれ、物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、さらにアプリケーション層と呼ばれます。OSI参照モデルの下位層は、ネットワークを経由したメッセージの物理的な配信を制御するため、メディア層と呼ばれることもあります。また、OSI参照モデルの上位層は、ネットワーク上のコンピュータ間で信頼性の高いデータ配信を提供しているため、ホスト層とも呼ばれます。

OSI参照モデルは、情報やデータがアプリケーションプログラム(スプレッドシートなど)からネットワークメディア(ケーブルなど)を経由して、ネットワーク上の別のコンピュータに常駐する他のアプリケーションプログラムまで、どのように到達するかを示しています。送信される情報は、下位層にいくほど、人間の言語からは遠ざかり、コンピュータが解釈する1と0だけの記述に近づきます。

 
 


レッスン2/5

ネットワーキングが必要な理由

レッスン1で説明したように、ネットワーキング、つまりコンピュータ、プリンタ、ルータ、スイッチなどのデバイスを接続することによって、相互通信が可能になり、情報やリソースを共有したり、インターネットを利用したりできるようになります。


レッスン2/6

カプセル化によるコンピュータのデータ通信方法

ネットワークがどのように構成され、どのように機能しているかを理解するためには、ネットワーク上のすべての通信が送信元を起点とし、宛先に達するという目的を忘れてはなりません。ネットワーク上に送出された情報は、データまたはデータパケットと呼ばれます。

あるコンピュータ(ホストA)から別のコンピュータ(ホストB)へ送信されるデータは、まずはじめにカプセル化されます。

 

つまり、データはOSI参照モデルの各層を下位へ渡されるたびに、ヘッダが付加されます。


レッスン3

はじめに

OSI参照モデルの最下位層

コンピュータ内での情報の格納方法

OSI参照モデルの物理層のメディアの種類

物理的な接続に用いられるメディアの総称

使用するメディアの種類を決定する基準


レッスン3/1

はじめに

レッスン2で学習したように、OSI参照モデルはネットワーク通信の基本モデルとなりました。他のモデルも開発されましたが、今日、ほとんどのネットワークベンダは、ユーザ教育の際に、自社のネットワーク製品とOSI参照モデルを照らし合わせて説明しています。つまりOSI参照モデルは、ネットワークテクノロジについて学習しようとする人々にとって最適なモデルとなったのです。

OSI参照モデルには実体はなく、各層のネットワーク機能を指定した概念的な枠組みにすぎません。本レッスンおよび以降のレッスンでは、OSI参照モデルの各層のネットワーク機能について学習します。


レッスン3/2

OSI参照モデルの最下位層

ここでは、ネットワークがどのように機能するかをOSI参照モデルと照らし合わせて説明していきます。家を建てる時にまず土台が必要なように、ネットワークを構築する場合も基盤が必要となります。OSI参照モデルではその基盤のことを物理層と呼んでいます。

物理層の機能はデータの伝送です。通常、このようなデータ伝送を実現するためには、ワイヤ、コネクタ、電圧などが使用されます。


レッスン3/3

コンピュータ内での情報の格納方法

コンピュータ内の情報は2進法を使用して格納されます。つまり、使用可能な符号は、2進数の1と0だけです。これは、「ビット」と呼ばれています。一連のビットはデータと呼ばれ、テキスト、画像、サウンドなどの情報を表現するために用いられます。物理層において、1ビットは銅線上の電圧(電気的な圧力)または光ファイバ内の光波によって表されます。

ビットの理解を深めるため、一定期間ケーブル上の特定ポイントで電圧の変化を測定する場合を考えてください(光ファイバの場合、照度の測定)。この測定値を用いて、電圧と時間(光ファイバの場合は、照度と時間)の相関グラフを作成できます。これによって、ケーブル上でビット(1と0) がどのように現われるかを図示できます。ビットは、電圧を用いてさまざまな方法で表わすことができます。このプロセスは、符号化と呼ばれています。これから学習するほとんどのLANでは、「マンチェスタ符号化」を使用しています。この符号化方式では、ビットはグラフに示された以外にも、さまざまな電圧パターンで表わされます。


レッスン3/4

OSI参照モデルの物理層のメディアの種類

コンピュータ間で符号化された情報をやりとりするためには、物理的に相互接続されていなければなりません。コンピュータを接続するメディアはさまざまで、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル、光ファイバケーブルなどがあります。


レッスン3/5

物理的な接続に用いられるメディアの総称

物理的な接続に用いられるメディアは総称して、ネットワークメディアと呼ばれています。


レッスン3/6

使用するメディアの種類を決定する基準

ネットワークの接続に使用するメディアの種類の決定には、データ量やネットワークを経由するデータの伝送速度などが考慮されます。使用するネットワークメディアの種類を決定する際にこれらの要因は不可欠ですが、それ以外にも費用やケーブルの敷設場所なども重要になります。


レッスン4

 

はじめに

 
 

コンピュータが自分自身を認識する方法

 
 

NICのOSI参照モデルにおける位置付け

 
 

送信元が宛先への通信経路を確立する方法

 
 

この通信経路の確立方法によって大規模ネットワークにもたらされる問題
 
 

インターネットワーキングデバイスとは何か

 
 

OSI参照モデルの物理層(第1層)で動作するインターネットワーキングデバイス


レッスン4/1

はじめに

レッスン3で学習したように、OSI参照モデルの第1層は物理層です。物理層はエンドシステム間の物理リンクを確立、維持、切断するための電子的仕様、機械的仕様、手順の仕様、および機能の仕様を定義しています。コンピュータを接続するためのネットワークメディアとしては、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル、光ファイバケーブルなどが使用されます。ただし、どの種類のケーブルを使用するかは、データ伝送速度やコストなどのさまざまな条件によって決まります。

物理層において、データは銅線では電気的なパルスで、光ファイバでは光学的なパルスで表わされます。

レッスン2で学習したように、ネットワーク上のすべてのデータは送信元から宛先へ伝送されます。このレッスンでは、OSI参照モデルのデータリンク層で、ネットワークメディアへのアクセスがどのように行われるか、特にデータがネットワーク上の所定の宛先をどのように見つけ出すのかについて学習します。

また、大規模ネットワークに関するいくつかの問題とその解決方法についても学習します。


レッスン4/2

コンピュータが自分自身を認識する方法

各コンピュータは、独自の方法で自分自身を認識します。ネットワークに接続されているかどうかに関わらず、すべてのコンピュータが物理アドレスを持っています。物理アドレスはユニークです。メディアアクセス制御(MAC)アドレスとも呼ばれるこの物理アドレスは、ネットワークインタフェースカード(NIC)に割り振られています。各NICには、出荷前にハードウエアメーカによって物理アドレスが割り当てられます。このアドレスはNICのチップに組み込まれます。MACアドレスはNICに付随するため、コンピュータのNICを交換すると、ステーションの物理アドレスも新しいMACアドレスに変わります。

MACアドレスは、16進数(基数16)で表記されます。MACアドレスには、0000.0c12.3456 あるいは 00-00-0c-12-34-56 という2種類の表記形式があります。


レッスン4/3

NICのOSI参照モデルにおける位置付け

OSI参照モデルにおいて、MACアドレスは、物理層に隣接するデータリンク層(第2層)に位置づけられます。つまり、ネットワークでは、デバイスはNICによってメディアに接続されます。また、各NICはユニークなMACアドレスを持っています。


レッスン4/4

送信元が宛先への通信経路を確立する方法

イーサネットネットワークでは、あるデバイスが別のデバイスにデータを送信する際に、MACアドレスを使用して通信経路を開くことができます。その手順は次のとおりです。まず、送信元がネットワーク上にデータを送信する場合、データは宛先のMACアドレスもいっしょに搬送します。このデータがネットワークメディアを経由する際に、ネットワーク上の各デバイスのNICは、データパケットの宛先物理アドレスと自身のMACアドレスが一致するどうかをチェックします。一致しなければ、NICはデータパケットを無視し、データパケットはネットワーク経路上の次のステーションへ送られます。

一致した場合、NICはデータパケットのコピーを作り、それをコンピュータ内のデータリンク層に相当する場所に格納します。NICによってコピーが作成され、コンピュータに格納されても、元のデータパケットは、他のNICが一致しているかどうかを確認できるように、引き続きネットワーク経路に沿って送信されます。

  


レッスン4/5

この通信経路の確立方法によって大規模ネットワークにもたらされる問題

比較的小規模なネットワークでは、ネットワーク上のすべてのデバイスへデータを送信しても正常に動作します。しかし、イーサネットネットワークが大規模になれば、ネットワーク上のトラフィック量も膨大になることは明らかです。ケーブル上には1度に1つのデータパケットしか存在できないため、これは深刻な問題をもたらします。ネットワーク上の各デバイスを1本のケーブルだけで相互接続しているとしたら、ネットワーク上のデータフローは大幅に低下してしまうでしょう。


レッスン4/6

インターネットワーキングデバイスとは何か

インターネットワーキングデバイスとはネットワークを接続するために使用する装置です。

 

コンピュータネットワークの規模が拡大し、複雑さが増すにつれ、ネットワーク接続にインターネットワーキングデバイスが使用されるようになりました。これらのデバイスには、その種類に関わらず共通の目的があります。第1に、ネットワークに接続されるノード数の増大を許容できること、第2に、ネットワークの拡大に応じて距離を伸ばせること、第3に、ネットワーク上のトラフィックをローカルにとどめることができること、そして第4に、既存のネットワークと混在できることです。さらに、5番目の目的として、ネットワーク障害をより簡単に診断するための切り離しが可能であることが挙げられます。

LANデバイスとしては、ブリッジ、ハブ、イーサネットスイッチ、ルータ、ATMスイッチなどがあります。また、WANデバイスとしては、ATMスイッチ、モデム、通信サーバなどがあります。これらのデバイスについては以降のレッスンで学習します。

 


レッスン4/7

OSI参照モデルの物理層(第1層)で動作するインターネットワーキングデバイス

インターネットワーキングに共通するいくつかの問題があります。そのうち2つは、ノード数が多すぎる点と十分なケーブル長が得られない点です。リピータを使うことで、この2つの問題を簡単に解決することができます。

リピータの動作方法を理解するには、データが送信元からネットワーク上に送信される際に、電気的または光学的なパルスに変換され、ネットワークメディア内を伝送されるということを理解しておく必要があります。このパルスを、信号と呼んでいます。信号は、伝送ステーションから送出されるときには明瞭で、簡単に認識されます。しかし、ケーブル長が長くなると、ネットワークメディア内を進むにつれ信号は徐々に減衰します。たとえば、カテゴリ 5 ツイストペアイーサネットケーブルの仕様では、ネットワーク経由で信号を伝送できる最長距離は、100mと規定されています。信号がその距離を超えて伝送された場合、NICが信号を読み取れるという保証はありません。

リピータは、ネットワーク上の受信デバイスで信号が認識不能とならないように、弱まった信号を増幅して明確にし、ネットワーク上の経路に送信する装置です。リピータを使用することで、ネットワークが正常に動作する距離を伸ばすことができます。ネットワークメディアと同様、リピータはOSI参照モデルの第1層(物理層)で動作します。

ネットワークに接続されるデバイス数が増えた場合にも、同様に対処することができます。ネットワークメディアに接続されている各デバイスを経由するたびに、信号は少しずつ劣化していきます。信号が多数のステーションやノードを経由しなければならない場合、受信デバイスでは認識できないほど減衰してしまいます。前述したように、リピータは弱まった信号を増幅して明確にし、ネットワーク上の経路に送信します。このようにリピータを使用することで、より多くのノードをネットワークに接続することができます。

 

河野真治 / Fri Jun 16 10:03:31 2000