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Subject: 太陽の中の太陽 __
カール・シュレイダー
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
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Date: Sat, 18 Apr 2009 19:50:41 +0900
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河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
460ページ。これくらいが良いです。最近、少し癖のある話ばかり読んでいたので、ひさ
しぶりに、安心して読める本でした。名作だと思います。あと 二巻あるのが楽
しみ。中原尚哉の訳も安心して読める理由だと思う。
微重力下の世界という設定は、ニーブンにもあった気がしますが、こちらの方が良い意
味で荒唐無稽。艦隊戦と白兵戦、そしてバイクというのを、世界観に合わせて、うまく
再生していると思います。
物語の語り方が秀逸。無理な謎解きではなく、登場人物の立場から「これは今は話せな
い」的な謎を導入するので、自然に語られる感じです。人物の行動の背景に説得力があ
ります。エアリー、スリップストリーム、ファルコンの国レベルの戦い、それに対する
人々の立場、そして、復讐や愛、祖国愛、未来とかが、幾何学的ではない有機的な絵と
して描かれてます。
人工現実と言うヴァーガ世界の外の設定が荒唐無稽さに説得力を持たせているのも素晴
しい。仮想現実とかよりも、良く考えられていて、しかも、この話では「さらっと」し
か触れてない。そこに見える人工現実への恐れとか、人工現実から見た現実へのあこが
れとかを裏に織り込んだ手法も見事だと思います。
移動都市と読後感は似てますが、完成度と技術がはるかに上ですね。リンダ・ナガタの
ナノマシン・シリーズとも似た感触がありますが、物語と人物像が素直なだけ読みやす
いです。
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
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