抗体をつくらせるなど免疫反応を惹起(じゃっき;問題を引き起こすこと)するタンパク質や病原体などの物質.非自己の物質
抗原分子上の抗体が結合する部位.一つの分子上には多くの抗原決定基が存在し,お互いに異なるものであることが多いが,良く似たものあるいは全く同じもののこともある.
非自己由来の抗原に対し,その活性を中和することのできる物質.
特定の対象のみに反応すること.抗原Aが抗原決定基{a1,a2,...,an}を持ち,各々の抗原決定基が違うならば,抗原決定基a1に反応する免疫細胞は他の抗原決定基に反応しない.(ジフテリア菌の毒素に対する抗体と破傷風菌毒素に対する抗体は,それぞれの毒素に対してのみ結合して毒素活性を中和することができ,抗ジフテリア菌毒素抗体は破傷風菌毒素の活性を中和できないし,抗破傷風菌毒素抗体はジフテリア菌毒素の活性を中和できない)
リンパ球(T細胞,B細胞),抗体,T細胞の分泌する因子
食細胞(マクロファージ,好中球),NK細胞
それを持つ細胞の種類を決められる分子.
分裂して自分自身と同じ細胞を残す(self renewal).
特異的防御担当.一人あたり約1012個あり,大きくT細胞とB細胞に分けられる.
骨髄の多能性肝細胞肝細胞からリンパ球系肝細胞が分化し,胸腺で文化成熟したリンパ球.CD3をマーカーとする.そのT細胞に特有の(特異的な)抗原レセプター(T cell antigen receptor: TCR)を持つ.一つのT細胞上のTCRは全て同じ抗原結合部位を持つ.TCRは免疫グロブリンと類似の構造を持つ.
B細胞の抗体産生をヘルプする.αβTCR.Th1は細胞性免疫,Th2は体液性免疫にて関与する.
γδTCR.
骨髄の中でそのまま文化成熟したリンパ球.適切な刺激があれば抗体を産生する抗体産生前駆細胞.表面にはB細胞内で合成された免疫グロブリンがあり,抗原レセプターとして機能する.一つのB細胞の表面にあるIg(sIg, mIg)は全て同じ抗原結合部位を有する.成熟したB細胞の表面にはIgMとIgDがある.抗原刺激とT細胞からのシグナルで分化するとIgMの産生が増加し,C末端部の細胞膜結合部分が変わって分泌されるようになる.十分な刺激があると,表面の免疫グロブリンもIgGやIgE,IgAに変化すると共に,それぞれのクラスの免疫グロブリンを分泌するようになる.
抗原刺激なしに腫瘍細胞や感染細胞を傷害する能力がある.
骨髄の多能性肝細胞肝細胞から顆粒球と単球の前駆細胞が生まれ,一部が単球の前駆細胞へ分化し,さらに単球へと分化すると血流中に出てくる.単球は血流に乗って全身を循環し,さらに分化して各組織へ定着する.結合組織へ定着したものをマクロファージと称する.自分よりも大きく見えるものまで細胞内に取り込んで消化(貪食)してしまう.抗原にIgG抗体,さらに補体が結合していると効率良く貪食する.貪食の際,いろいろな液性因子を分泌し,それぞれの因子が生体の反応,特に炎症反応のメディエーターになっている.また,いろいろな酵素も分泌して最近の破壊などに役立てているが,生体自身の組織も破壊して組織破壊につながることもある.T細胞の抗原認識においても,抗原提供細胞として特異的免疫反応における重要な役割を果たしている.
いろいろな組織の間隙やリンパ節及び脾臓に著しい樹状の突起を持つ細胞.T細胞の抗原認識に深く関わっている.リンパ節や脾臓では,T細胞領域に多く存在している.TcレセプターやC3レセプターがあり,抗原抗体複合体を保持してB細胞の抗原認識を助けているといわれる(FDC?).
骨髄や胸腺のように主な任務がリンパ球を生み出すことにある.
リンパ節や粘膜下リンパ組織のように免疫反応の場を提供して防衛基地のような役割を果たす.
B細胞が抗体産生細胞に文化して抗体を分泌するようになると,そのV領域遺伝子にはしばしば突然変異が起こる.V領域遺伝子に突然変異が生じると,それによって抗原との結合力が強くなったものが選択されて,次第に抗体産生の中心になってくる.動物を同じ抗原で繰り返し免疫すると,当初産生された抗体のうちでも抗原との結合力が強い抗体が次第に優勢になってくる現象が知られており,アフィニティマチュレーションと呼ばれている.
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