ブール代数と組み合せ回路


1.ブール代数の定義

公理1 可換則 A・B=B・A
A+B=B+A
公理2 結合則 A・(B・C) = (A・B)・C
A+(B+C) = (A+B)+C
公理3 吸収則 A・(A+B) = A
A+(A・B) = A
公理4 分配則 A・(B+C) = (A・B)+(A・C)
A+(B・C) = (A+B)・(A+C)
公理5 相補則 最小限φと最大限Iが存在し、任意のAに対し
A・A'=φ
A+A'=I

A'(教科書の表記と異なる)はAの補元

2.ブール代数の公式集

1.可換則

A・B = B・A  (1−1)

A+B = B+A  (1−2)

 

2.吸収則

A+0 = A  (1−3)

A+1 = 1  (1−4)

A・0 = 0  (1−5)

A・1 = A  (1−6)

 

3.相補則

A+A' = 1  (1−7)

A・A' = 0  (1−8)

 

4.ニ重否定則

A'' = A  (1−9)

NOTゲート2段で、
信号は遅れるが、
元と同じ信号になる。

 

5.べき等則

A・A = A  (1−10)

A+A = A  (1−11)

 

6.分配則

A・(B+C) = (A・B)+(A・C)  (1−12)

A+(B・C) = (A+B)・(A+C)  (1−13)

 

7.結合則


2段の方が遅延時間小さい

A・(B・C) = (A・B)・C  (1−14)

A+(B+C) = (A+B)+C  (1−15)

 

8.吸収則1

AND-OR/OR-ANDで
同じ信号が入ると
おかしい!

A・(A+B) = A  (1−16)

A+(A・B) = A  (1−17)

A・(A'+B) = A・B  (1−18)

A+(A'・B) = A+B  (1−19)

 

9.ド・モルガンの定理

(A+B)' = A' ・B'  (1−20)

(A・B)' = A' + B'  (1−21)

3.例題

f = (A+B)・(A・B)' を実現すると トランジスタ数=
6(NOR)+6(AND)+2(NOT)+6(AND)
=20

式を変形する、

f = (A+B)・(A・B)'
= (A+B)・(A'+B')
=A・(A'+B') + B(A'+B')
=A・A' + A・B' + B・A' + B・B'
= 0 + A・B' + B・A' + 0
= A・B' + B・A'

トランジスタ数=
6+6+6+2+2
=22

トランジスタ数は増えてしまった!

上記回路に対して、NOT2つを挿入

ドモルガンの定理適用(16トランジスタで実現)

4.シャノンの展開定理

(加法標準形)

f(X1, X2, ..., Xi, ...Xn) = Xi ・ f(X1, X2, ..., Xi-1, 1, Xi+1, ..., Xn) + Xi ' ・ f(X1, X2, ..., Xi-1, 0, Xi+1, ..., Xn)

したがって、

f(A, B) = A・f(1, B) + A'・f(0, B) = A・(B・f(1,1)+B'・f(1,0) ) + A'・(B・f(0,1) + B'・f(0,0) )
f(A, B) = A・B・f(1,1) + A・B'・f(1,0) + A'・B・f(0,1) + A'・B'・f(0,0)

このような形

加法標準形:入力信号またはその反転信号をANDし、
そのAND出力をORする形

に展開することができる。

結果的にf(A,B)=1の項のみ残る。

したがって、以下のような真理値表が与えられたら、

入力A 入力B 出力 f(A, B)
0 0 f(0,0) = 0
0 1 f(0,1) = 1
1 0 f(1,0) = 1
1 1 f(1,1) = 0

f(A,B) = A・B・f(1,1) + A・B'・f(1,0) + A'・B・f(0,1) + A'・B'・f(0,0) = A・B' + B'・A

となる。

 

(乗法標準形)

f(X1, X2, ..., Xi, ...Xn) = (Xi + f(X1, X2, ..., Xi-1, 0, Xi+1, ..., Xn) ) ・ (Xi ' + f(X1, X2, ..., Xi-1, 1, Xi+1, ..., Xn) )

f(A,B) = (A+B+f(0,0)) ・ (A+B'+f(0,1)) ・ (A'+B+f(1,0)) ・ (A'+B'+f(1,1))

このような形

乗法標準形:入力信号またはその反転信号をORし、
そのOR出力をANDする形

に展開することができる。

結果的にf(A,B)=0の項のみ残る。


HW-3  学籍番号 名前 日付 を書いて 提出すること。

(注意:回路を設計する場合、特に明記しないが、なるべく少ないゲート数で実現せよ。)

1) 2入力NANDゲートのトランジスタレベルの回路図を書け

2) 2入力ANDの真理値表が書け

3) 2入力ORの真理値表が書け

4) n入力NAND、NORゲートのトランジスタ数はいくらか?

5) n入力AND、ORゲートのトランジスタ数はいくらか?

6) 式 f(A, B, C) = A' ・B・C + A・B'・C + A・B・C' + A・B・C
をAND、OR、NOTゲート用いて回路図を実現せよ。総トランジスタ数はいくつか?

7)上記式をNAND、NOR、NOTを用いて実現せよ。総トランジスタ数はいくつか?

8)上記式を以下のように変形する。最後の式はどうなる?

f(A, B, C) = A' ・B・C + A・B'・C + A・B・C' + A・B・C
= (A' ・B・C+A・B・C) + (A・B'・C+A・B・C) + (A・B・C' +A・B・C)
=????????????????????

9)上記8)の結果式を、AND、OR、NOTゲートだけを用いて回路図を実現せよ(AND, OR, NOTの全てを用いる必要はない)。総トランジスタ数はいくつか?

10)上記8)の結果式を、NAND、NOR、NOTゲート用いて回路図を実現せよ(NAND, NOR, NOTの全てを用いる必要はない)。総トランジスタ数はいくつか?

11) A・C + B・C' + A・B = A・C + B・C' をブール代数の公式を用いて、証明せよ。
(左辺を変形してゆき、右辺にする)

12) 以下の真理値表で与えられる論理関数を乗法標準形で表せ。

入力A 入力B 出力 f(A, B)
0 0 f(0,0) = 0
0 1 f(0,1) = 1
1 0 f(1,0) = 1
1 1 f(1,1) = 0

13) 上記12)の乗法標準形をAND、OR、NOTゲートを用いて回路図を実現せよ(AND, OR, NOTの全てを用いる必要はない)。総トランジスタ数はいくつか?

14) 上記12)の乗法標準形をNAND、NOR、NOTゲートを用いて回路図を実現せよ(NAND, NOR, NOTの全てを用いる必要はない)。総トランジスタ数はいくつか?

15) 以下の真理値表で与えられる回路をNAND、NOR、NOTだけを用いて設計せよ(NAND, NOR, NOTの全てを用いる必要はない)。
(ヒント:この回路は加算器で、3つの入力の1の数を数えて、2桁の2進数(上位:C、下位:S)として出力する回路)
それぞれの出力Cと出力Sに関する論理式を加法標準形で求めて、回路図を作成すればよい。

2つの回路で同じ信号を共通に使用してもよい。

入力A 入力B 入力C   出力C 出力S
0 0 0   0 0
0 0 1   0 1
0 1 0   0 1
0 1 1   1 0
1 0 0   0 1
1 0 1   1 0
1 1 0   1 0
1 1 1   1 1

16) 上記15)で設計した回路の総トランジスタ数はいくらか?

以上