情報処理技術者試験について
この記事は、2021年8月26日現在の情報をもとに記載しています。
情報処理技術者試験とは
- IPA (独立行政法人 情報処理推進機構) が開催する“情報処理技術者としての知識・技能が一定水準であることを認定する”
日本の国家試験 - IT系の試験だが、50年以上の歴史がある
- 毎年、春(4月)と秋(10月)に試験が行われる
- 試験方式は、筆記(一部試験は、CBT方式に対応)
- 試験区分は4段階のレベル別で複数区分ある
- 受験料が(民間資格にくらべて)安く、更新する必要がない
受験するメリット
- 多くの企業で採用や昇進、手当等での評価対象になっている
- 学習習慣が身に付く
- 学習することで専門外な分野の知識が得られる
- 試験に合格することで知識の客観的な証明になる
試験区分
試験はレベル1からレベル4の4段階あり、レベル3までの試験で広く浅くIT技術を学習し、レベル4以上からは専門毎に別れます。
試験名 | レベル |
---|---|
ITパスポート試験(IP) | 1 |
情報セキュリティマネジメント試験(SG) | 2 |
基本情報技術者試験(FE) | 2 |
応用情報技術者試験(AP) | 3 |
ITストラテジスト(ST) | 4 |
システムアーキテクト(SA) | 4 |
プロジェクトマネジメント(PM) | 4 |
ネットワークスペシャリスト(NW) | 4 |
エンベットシステムスペシャリスト(ES) | 4 |
ITサービスマネージャ(SM) | 4 |
システム監査技術者(AU) | 4 |
情報処理安全確保支援士(SC) | 4 |
各試験には、英字2文字の略称がつけられています。
試験範囲や過去問については、IPAの公式サイトより確認できます。
情報処理安全確保支援士は、旧情報セキュリティスペシャリスト試験を受け継いだ形で新設されたセキュリティの専門家のIT系初の国家資格です。合格して登録すると名称を使用して仕事をすることができます。
基本情報技術者試験(FE試験)
基本情報技術者試験は、特に学部1,2年生に受験して欲しい試験です。
午前試験 | 午後試験 | |
---|---|---|
試験時間 | 150分 | 150分 |
出題形式 | 四肢択一 | 多肢選択式 |
出題数 | 80問 | 11問 |
解答数 | 80問 | 5問 |
合格基準 | 60点以上 | 60点以上 |
- スキルレベル2に相当する試験
- 合格時年齢は20代半ばでITエンジニアの入門的な試験
- 午前試験、午後試験の両方の合格で認定
- 受験料は5,700円(2022年より7,500円に値上げ)
- CBT方式(コンピュータで受験する方式)
- 試験期間中、自分の好きなタイミングで受験できます
午前試験
- 基礎的な知識を問う。回答数は多いが反射的に解ける問題
- テクノロジー系が50問、マネジメント系が10問、ストラテジ系が20問の全80問
- 計算問題も出題されるがパターンが決まっており、対策は容易
例題:公開鍵暗号方式に関する記述として、適切なものはどれか
ア:AESなどの暗号方式がある。
イ:RSAや楕円曲線暗号などの暗号方式がある。
ウ:暗号鍵と復号鍵が同一である。
エ:共通鍵の配送が必要である。
平成22年春期 FE試験より引用
答え イ
午後試験
長文形式の問題を読み、各設問に解答する形式
分野 | 必須or選択 | 配点 | |
---|---|---|---|
1 | 情報セキュリティ | 必須 | 20点 |
2 | ソフトウェア・ハードウェア | 選択 | 15点 |
3 | データベース | 選択 | 15点 |
4 | ネットワーク | 選択 | 15点 |
5 | ソフトウェア設計 | 選択 | 15点 |
6 | プロジェクトマネジメント | 選択 | 15点 |
7 | サービスマネジメント | 選択 | 15点 |
8 | システム戦略 | 選択 | 15点 |
9 | 経営戦略・企業と法務 | 選択 | 15点 |
10 | データ構造及びアルゴリズム | 必須 | 25点 |
11 | ソフトウェア開発 | 必須 | 25点 |
- 必須問題の「情報セキュリティ」、「データ構造及びアルゴリズム」、「ソフトウェア開発」だけで70点分の配点があるので重点的に学習しよう
- 「ソフトウェア開発」は、Python,C,Javaなどの言語から選択して解答します
- 選択問題はランダムで出題されます。試験当日、2〜5から3題、6〜10から1題、出題され、その中から2題解答します。
- 合計点数は100点で60点以上で合格です。
勉強方法
2~3ヶ月ほどで合格点が取れるよう勉強しよう
午前試験
- 約1ヶ月程度で仕上げるよう学習計画を立てる
- 書店で自分にあった参考書を1冊購入して学習する
- 1分野毎にじっくり時間をかけるのではなく、1冊を何度も読んで理解する
- 参考書と並行して過去問道場をやり込む
- 6割で合格だが、午前試験は午後試験の基礎になるので安定して8割以上取れるようにする
午前試験は特に過去問道場での反復学習が効果的です。無料なので是非アカウントを作って学習しよう。
午後試験
- 1~2ヶ月ほどで仕上げるよう学習計画を立てる
- 午後は過去問中心に学習する
- 午後用の参考書を購入して学習する
- 必須問題を中心に対策する。特に「アルゴリズム」と「ソフトウェア開発」は配点が高く、プログラミングの知識がいるため早めに取り掛かろう
- 必須の「情報セキュリティ」は得意分野にする(応用情報でも必須なため)
- 選択問題は全分野の過去問を必ず一度は確認して、相性の良い3分野学習すると良い(選択問題は、試験当日に出題されない分野もあるため)
おすすめの参考書
- 午前対策用
徹底攻略 基本情報技術者教科書 令和3年度:PDFがダウンロードできる。読みやすい - 午後対策用
2021 基本情報技術者 午後試験対策書:午後用の参考書、解説が丁寧
徹底攻略 基本情報技術者の午後対策 Python編 第2版:PDFがダウンロードできる。Pythonの模擬試験付き
参考書はできるだけ新しいものを購入しましょう。必要に応じて、午後試験では苦手分野の参考書を購入すると良いでしょう。
ステップアップ
- 基本情報に合格したら、続けて応用情報(AP)を受験しよう
- 基本情報と応用情報の出題範囲はほぼ同じです
- 応用情報では午後試験が記述式(「20文字以内で説明せよ」など)になります
- 論点は何かを意識して解答を記述しよう
- 合格率は20% ~ 25%くらいなので大学生のうちに取得しておくと就活で役に立つかも
- 応用情報に合格すると、高度試験の午前1試験の免除が受けられる
- 応用に合格したら興味のある分野の高度試験を受験しよう!