第二話 時を越えて・・・(中編) 


 あかね:「何かしらこれ?四魂玉見聞録?」

     あかねはテーブルの上に置いてあったその古ぼけた書物を不思議そうに
     手に取り、中を読み始めた。しかし、そこに書いてある文字はどれも
     達筆過ぎて読むことが出来なかった。

 あかね:「何よこれ、達筆過ぎて読めないじゃない。それに、ボロボロで所々虫食ってるし・・・。
      まぁいいわ。それより、乱馬達探さなくちゃ!」

     そう言うなりあかねは、書物をほっぽり投げ家の中を再び探し始めた。
     が、やはりどこを探しても誰もいない。





―――30分後―――

 あかね:「ふぅ~・・・。まったく、みんな一体どこ行ったのよ!?」

     いくら家中を探し回っても、誰も見つけることが出来ず途方に暮れている。
     あかねがどうして誰もいないのか考えながら先ほどの不思議に思った書物に
     手を伸ばしたその時、玄関の方から声が聞こえてきた。

 あかね:「(乱馬達かしら?)」

     そう思ってその場で待っていると、来たのは二人の女性だった。

 のどか:「あら、あかねちゃんただいま。」

 なびき:「なんだ、いるんじゃない。返事くらいしなさいよね。
      帰ってきても静かだったから誰もいないと思ったわよ。」

 あかね:「なんだぁ。おばさまになびきお姉ちゃんか。」

     帰ってきた二人を見て、あかねは落胆の声をあげた。

 なびき:「ちょっと、あかね今の言葉は何よ?まるで、私とおばさまじゃいけないの?」

 あかね:「いや、そう言うつもりで言ったんじゃないけど・・・・・。」

 なびき:「じゃあ何だって言うのよ?あ、わかった。さては、乱馬君が帰ってくるのを待ってたのね。」

     なびきがわかったように納得する。

 あかね:「ちょっと、やめてよ!なんで私があんな奴の帰りを待ってなきゃいけないのよ!」

 のどか:「本当なのあかねちゃん?おばさんうれしいわっ。」

     感激するように涙を拭きながらどかが言う。

 あかね:「んっもうおばさままで!私はここにいるはずの乱馬やお父さん達やシャンプー達が
      消えちゃてて、それでもしかしたら帰ってきたのかなぁって思っただけです。勘違いしないでよね。」

 なびき:「でも少なからず当たっているわね。」

     あかねの弁解になびきの指摘がはいる。さすがはなびきだ、鋭い。

 かすみ:「あらあら、3人で何をお話しているのかしら?」

     家の奥からかすみが出てきた。

 あかね:「かすみお姉ちゃん!?どこにいたの?」

 かすみ:「どこにいたのって。さっきおばさまとなびきと一緒に帰ってきたのよ。」

     かすみがおっとりした口調で答える。どうやらかすみは、買い物から帰ってきてすぐに
     買ってきたものを台所に持って行ったようだ。

 かすみ:「ところであかね、お父さんたちはどうしたの?どこにもいないみたいだけど。」

 あかね:「そうなのよ。帰ってきたら誰もいなかったの。先に帰った乱馬もいないし、
      乱馬を追って行ったシャンプー・・・。」

 なびき:「なんだぁ。乱馬君先に帰ってたの?」

     なびきが口をはさむ。

 あかね:「当たり前よっ!さっきから言ってるでしょ!それでね・・・。」

 のどか:「本当なのあかねちゃん?それだったら許せないわ。許婚のあかねちゃんを置いてくなんて。」

     のどかも口をはさむ。

 あかね:「おばさままで・・・。とにかくこの話はもうおしまい!」

 かすみ:「それであかね、シャンプーちゃんがどうしたの?」

     かすみが話題を元に戻す。

 あかね:「そうそうそれでね、乱馬を追って行ったシャンプーと九能先輩とムースもいなくなってるの。」

 のどか:「まぁ、そんなに。その中には主人もいるのよね?」

     のどかが心配そうにあかねに聞いた。

 あかね:「ええっ。あ、それとね。私が家のそばに来た時に急に庭のほうがまぶしくなってそれで、
      パンスト太郎が飛んできてその光の中へ入っていったの。で、その直後光が消えて私が着いたときには
      もうだれもいなかったわ。」

 なびき:「なにそれ?ばっかみたい。」

     説明し終わった直後なびきが口を開いた。

 なびき:「マリー-セレストじゃあるまいし、人間が突然消えるなんてありえないわよ。どうせどこか
      その辺でもうろついてんでしょ。まったく、あかねは好きねぇ~そう言う話。」

     マリー-セレストとは、有名な海洋事件のひとつで、船に乗っていた船員が突然消えてしまう
     と言った奇妙な事件の事だ。

 あかね:「だって、本当にそうとしか言いようがないんだもんっ!」

 のどか:「大丈夫よあかねちゃん。夕飯の時間が近づいてきたらきっと帰ってくるわよ。」

 かすみ:「そうよ、おばさまの言う通り。心配しなくても平気。」

      のどかとかすみがあかねを慰める。

 のどか:「それじゃあかすみちゃん、夕食の準備しちゃいましょうか?」

 かすみ:「そうですね、おばさま。」

 なびき:「私も自分の部屋行って、新しいお金儲けの方法考えてこよっ。」

     と言うと、なびきは部屋へ、かすみとのどかは台所へそれぞれ行ってしまった。

 あかね:「もぉ~。三人とも信じてくれないんだから。けど、無理もないわよねぇ。人間が突然消えるだなんて。
      でも、そうじゃないとしたら一体みんなどこに行ったんだろぅ?」





――その頃乱馬達は――

  乱馬:「一体どうなってんだ?庭にいたと思ったら急に森ん中にいるし。」

  良牙:「また迷子になってしまったのか?」

  九能:「今度は何が起こったと言うのだ!?」

シャンプー:「一体どう言うことか?」

 ムース:「おらは夢を見ているだか?」

パンスト太郎:「何だここは?じじぃに今度こそ名前を代えさせようと来てみたが・・・。」

     みんな突然のことで混乱しているようだ。パンスト太郎もいつのまにか人間に戻っている。

 八宝斉:「おおぉ~、成功じゃ!!ちゃんと来ることが出来たわい。」

  早雲:「お師匠さまここは一体・・・?」

  玄馬:「ふ~むっ。とりあえず東京ではないことは確かじゃな。」

     タイムスリップをすることを知っていてかこの二人は何とか冷静のようだ。

 八宝斉:「よかろう。説明してやるからあやつらもここに連れて来い。」

     八宝斉はそう言いながら混乱している乱馬達を指差した。

  早雲:「お~い、乱馬君達こっちに来なさ~い。」

  玄馬:「ちょっと話がある。」

  乱馬:「おじさん。それに親父と・・・じじぃも!わかった、これはじじぃの仕業か!」

  良牙:「なんだとっ!てめぇ~一体おれ達に何しやがった!?」

シャンプー:「事によっては、ただじゃすまないね!」

 ムース:「おら達をどうするつもりじゃ!?」

パンスト太郎:「じじぃ~貴様と言う奴は・・・。」

  乱馬:「ん?パンスト太郎じゃね~か。お前もいたのか。」

パンスト太郎:「ああ、じじぃに名前を代えさせようとおもってな。それと、その名で呼ぶなっ!」

  九能:「まぁ、落ち着きたまえ。とりあえず、話を聞こうではないか。」

      九能が珍しくまともなことを言う。

  良牙:「そうだな、とりあえず聞いてみるか。対応はその後でもいいからな。」

 ムース:「そうじゃ。九能と良牙の言うとおりじゃ 。」

  乱馬:「ま、とりあえずそうっか。」

何とか気持ちを落ち着かせ、乱馬達は八宝斉達のいるところに歩いていった。

  早雲:「お師匠さま。みな集まりました。」

 八宝斉:「そうかそうか、それでは話すとしようかのぉ。まず、ここにお前達を連れてきたのは
      このわしじゃ。」

  良牙:「やっぱり、てめっぇ~の仕業か!」

  乱馬:「待て良牙。落ち着け。」

     乱馬が八宝斉に殴りかかろうとした良牙を止める。

  乱馬:「とりあえずじじぃの話を聞くんだ。殴るのはそれからにしろ。」

  良牙:「すまねえ乱馬。ついかっとなっちまって。」

  乱馬:「で、じじぃ一体ここはどこなんだ?」 八宝斉:「ここか?ここはのぅ、戦国時代の日本じゃ。」

  全員:「なにぃ!戦国時代ぃ~!?」     全員八宝斉のだした答えにあっと驚く。





 あかね:「まったく、みんなどこ行ったのよ。そろそろ夕飯だってのに。」

     あかねが自分の部屋でぶつくさと文句を言っている。

 あかね:「あ、そう言えばおじいちゃんもいない。きっとおじいちゃんの仕業に違いないわ!
      でも、おじいちゃんの仕業だとしても一体どうやって・・・?」

     探偵にでもなったかのようにあかねは考え込む。

 あかね:「(おじいちゃん、突然の光、そしてあの本。)はっ。あの本!」

     何かを思い出したかのように、茶の間へと走りだした。

 あかね:「(きっと、あの本とおじいちゃんは何か関係があるに違いないわっ!)」

     茶の間に来たあかねは先ほどテーブルの上で見つけた古ぼけた書物を探す。
     がしかし、どこにも見当たらない。するとそこへ、かすみが現われた。

 かすみ:「どうしたのあかね。なにか探し物?」

 あかね:「うん、そうなの。お姉ちゃん、ここにおいてあった本知らない?」

 かすみ:「それならなびきが、上に持っていったわ。価値がありそうだから調べてみるって。
      でもどうして、・・・あらぁ?」

      かすみが言い終わる頃には、あかねはもう既にそこにはいなかった。



 あかね:「なびきお姉ちゃん!テーブルの上に置いてあった本どこ?」

 なびき:「なによあかねいきなり。その本だったらここよ。売ってお金に変えようとおもったら
      虫食ってって全然価値がないじゃない。こんなのいらないわよ。」

     そう文句言いながらなびきは本をぶらぶらと振って見せた。

 あかね:「よかった~。なびきお姉ちゃんのことだからてっきりもう売っちゃったかとおもった。」

 なびき:「へぇ~、そんなに大事なものなの・・・。じゃぁさ、1000円でどう?」

 あかね:「もともとお姉ちゃんの物じゃないでしょ!?」

 なびき:「いいじゃない別にそのくらい。けちけちしないでさぁ。」

 あかね:「お姉ちゃん!!!」

 なびき:「わかったわよ。はいこれっ。」

     なびきはぶっきらぼうにその本をあかねに手渡す。

 なびき:「用が済んだんなら、さっさと出てってよね。」



 あかね:「手にしたはいいけど、やっぱり達筆過ぎて読めないわ。」

     あかねがどうしたらよいかと考えている。しばらく考えてくるうちにある人物を思い出した。

 あかね:「そうだわ、おばあちゃんならきっと読めるわ。そうと決まったら早速行かなきゃ!」

 かすみ:「あかねどこいくの?もうすぐごはんよぉ。」

 あかね:「ちょっと、猫飯店まで行ってくるから。」

     そう告げるとあかねは、家を出ていった。出ていったすぐの道であかねは右京と会った。

  右京:「あかねちゃんやないの。どうしたん、そんなに急いで?」

 あかね:「右京・・・。そうだわ、右京も一緒に来て!!」

     あかねはそう言うと右京の手を取り走り出した。

  右京:「ちょっ、あかねちゃん一体どうしたんや!?」

 あかね:「右京、詳しいことは着いてから話すわ。とにかく今は急いでるの、だから黙ってて!!」

  右京:「(何かあったんやろか?)」

     右京はしばらく黙ってあかねに手を取られ走っていると、猫飯店の前に着いた。

 右京:「猫飯店やないか。シャンプーにでも用があるん?」

ガラッ

 あかね:「おばあさぁ~ん、いる~!」

     あかねは右京の言葉に耳を一切向けず猫飯店のドアを空け、コロンを呼んだ。

  右京:「(ばあさんに用があったんか。)」

 コロン:「なんじゃ騒々しい。ん?なんだおぬしらか。はて、何かわしに用でもあるのか?」

     コロンがそう言いながら店の奥の厨房から出てきた。

 あかね:「あの、おばあさん。これを読んで欲しいのですが・・・。」

     あかねはすっと先ほどの古ぼけた書物をコロンに渡した。

  右京:「えらいふるくさい本やなぁ、それ。」

 コロン:「どうしたんじゃこれは?かなりの年代物のようじゃが。」

     コロンは渡されたその書物を調べるかのようにあちこち見ている。

 あかね:「あのね、おばあさん。じつは・・・。」

     あかねは、かすみ達に話したように乱馬達が消えたことを話した。

  右京:「なんやて~、乱ちゃんが!?」

 コロン:「なんと!?ふう~む、多分おぬしが見たその光は南蛮ミラーに違いない。」

 あかね:「南蛮ミラーですって!?」

 コロン:「そうじゃ。」

  右京:「南蛮ミラーって、なんやそれ?」

 あかね:「あ、右京は南蛮ミラーの事知らなかったわね。」

     右京が聞いてきたので、それにあかねが答える。

 あかね:「南蛮ミラーって言うの鏡なんだけど、それに涙をたらすとその人の今行きたい時代へ
      タイムスリップしちゃう不思議な鏡のことなの。」

  右京:「それじゃあ、乱ちゃん達は・・・。」

 コロン:「今ごろどこかの時代にタイムスリップしておるじゃろうな。」

  右京:「そんなぁ。それじゃあ、乱ちゃん達はどないすんねん?」

     右京が失望したかのように床に座り込む。

 あかね:「だから、その本を持ってきたの。何かの手がかりになると思って。」

 コロン:「その時代に行くことはできんでも、行き先ぐらいはわかるかもしれんのぉ。」
      どれどれ、四魂玉見聞録とな。四魂?はて、どこかで聞いたことがあったような・・・。」

 あかね:「そんなこといいから読んでみて。」

     あかねがせかすように言う。

 コロン:「わかっておるわぃ。それでは読むぞ。
      『四魂の玉とは、妖怪の持つ宝と言われている玉のことである。この玉を手にした妖怪はすさまじい妖力を得ると言う。
       さらに、聞いた噂によるとその者の持つどんな大きな野望もかなえられるらしい。そのために欲しがる輩も多くなり
       この玉をめぐる争いが幾度となく繰り返され、様々な妖怪や人間の手に渡ってきた。が、その争いを止めるかの様に
       一人の巫女が現われた。名を桔梗と言う。桔梗は汚れきった四魂の玉を預かり清めそして守る役目となった。桔梗が
       守っている限りは四魂の玉はどこへも行くこともなかった。そんなある日、一匹の半妖が四魂の玉を奪うべく桔梗の
       いる村を襲った。半妖の名を犬夜叉と言う。犬夜叉は四魂の玉を一度は手にしたのだが、桔梗により封印された。
       桔梗もまたその時の傷が元でこの世を去っている。そして、桔梗の亡骸と共に四魂の玉も共に葬られた。これで、
       四魂の玉の悲劇はもう繰り返されなくなるはずだった。しかし、それから五十年経った今、再びこの地に四魂の玉が
       蘇ったのだ。原因は異国の地から来た少女の体内にあったようだ。その少女の名を日暮かごめと言う。しかも、その
       少女、驚く事に桔梗の生まれ変わりだと言う。さらには、生まれの地が東京の練馬にある日暮神社
       と言う聞いた事もない場所であり、謎が深まるばかりである。しかし、そんな事はどうでもよくなった。四魂の玉が
       割れ、かけらとなってこの世に飛び散った事だ。これでまた、この世に玉をめぐる争いが起きる事になった。
                            ――――中略――――
       かけらとは違うが面白い話を聞いた。水や湯をかぶると姿を変える妙な連中の話だ。妖怪でもない人間が姿を変える
       とは、実に興味のある話だったので、一目見に向かった。だが、着いてみるとそこはこの世の地獄であった。
       この地で凶悪な妖怪がかけらの力を手にいれ、この地の支配を企んでいたのだ。町には人の姿もなく、噂の連中も
       死んだだろうと考え引き返す事にした。もう四魂に関わるのは、止めよう。あの光景を見たらこのままでは死が
       待ってるだけだ。四魂の玉なぞ、この世に存在するべきではない物では・・・。』とここからはもう読めんようになっておる。」

 あかね:「この中に出てきた水や湯をかぶると姿を変えるものってやっぱり・・・・・・。」

  右京:「間違いなく乱ちゃん達やな。この本によると、死んでまうって事?」

 コロン:「そこまでは書いてはおらんが、それも有り得る事かも知れないぞ。」

     コロンのその言葉が、さらにその場を重くした。

 あかね:「じゃ、じゃあ、早く助けに行かなきゃ。この事は向こうに行った乱馬たちの行く末を書いてあるのよ。」

  右京:「せやけど、どうやって過去に行くんや?その南蛮ミラーはないんやろ。」

 あかね:「だから、今書いてあったじゃない。東京の練馬にある日暮神社って。そこに行けばもしかしたら・・・。 
      でも、この神社どこにあるのかしら?」

  右京:「大丈夫や。うち、その神社なら知ってる。この間お好み焼きの出前届けたときそんな名前の神社の前通ったわ。」

     右京の思いもよらない情報に場の空気も少し軽くなった。

 コロン:「決まりじゃな。では早速その神社に行ってみるとするかのぉ。」

  右京:「うち一旦店閉めて来たいんやけど、ちょっと待っててくれんか?」

 あかね:「ええいいわよ。道知ってるの右京だもんっ。当たり前じゃない。」

     あかねにそう言われて右京はすぐに戻るからと言って自分の店へと向かって行った。
     15分位して右京が戻ってきた。

 コロン:「それでは、行くとするかのぉ。」

  右京:「あかねちゃん、家の人達には言ったの?」

 あかね:「うん。あんまり無茶はするなって。」

     三人は日暮神社に向かっていく。日暮神社は右京が言うにはどうやら隣町にあるらしいく案外近かったようだ。
     それから、しばらく歩いて20分位たったとこで三人は日暮神社に到着した。

 あかね:「ここね。右京の言うとおり案外近かったわね。」

  右京:「とりあえず、境内の方に行こっ」

     境内に入ると樹齢何百年の大きな御神木が目に入った。

 コロン:「ほっほぅ。よくここまで育ったもんじゃ。」

 あかね:「おっきいわね~。樹齢何年なのかしら?」

  右京:「ざっと、300年位やないの~?」

 ???:「500年です。」

     後ろから声が聞こえ三人は振り向く。そこには大きなリュックサックをしょった、セーラー服の少女が立っていた。

 あかね:「あなたは。」

 かごめ:「ここの神社の娘の日暮かごめと言います。あなた達は参拝客の方ですね。
      でしたら本堂はあちらに・・・。」

  右京:「あんたが、日暮かごめ?」

     右京が確認するかのようにもう一度聞く。

 かごめ:「はいそうですけど。どこかでお会いしましたっけ?」

 あかね:「それじゃあ、あなたね。戦国時代を行き来している少女って?」

     あかねが言った言葉にかごめが反応する。

 かごめ:「どうしてそれを知っているんですか?」

 コロン:「それは、わしから話そう。」

     かごめの前に出てきたコロンがそう言った。

 かごめ:「(一体何かしら?)」



 (第二話・完)



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