第四話 妖怪退治は武道家のつとめ 


     ムースの案内で歩くことはや1時間。しかしまだ何も見えてこない。
     むしろ森の奥へとさまよっている様だった。

  乱馬:「おい、ムース!本当にこっちで良いのか!?」

シャンプー:「全くあのアヒルは一体どこに連れてくね?」

  九能:「あんな輩に任せて良かったのか。」

  良牙:「しかし、あいつど近眼じゃなかったのか?」

     その言葉に一同がはっとする。

シャンプー:「あいやー!!しまた、忘れてたね!!」

  早雲:「しかも今は夜。アヒルは鳥。と言うことは鳥目で良く見えてないはず。」

シャンプー:「いい考えだと思たのに。」

  乱馬:「気にすんなよ、シャンプー。とにかく今はどこか安全に夜をすごせる場所を探そうぜ。」

  玄馬:「乱馬よ。お前が代わりに木の上まで登って様子を見て来い。」

  乱馬:「しょうがね~な。ま、ムースにこのまま任せてたらみんな遭難しちまうからな。」

     乱馬は木を上まですばやく登っていく。あっという間に天辺についた。

  乱馬:「ムースお前はもう下に降りてろ。アヒルのままじゃ鳥目で夜はつらいだろ。」

 ムース:「グァー。」

     ムースはわかったとでも言うように鳴いてから下へ降りた。

  乱馬:「え~っと、人のいそうな場所は~っと。お?向こうに何か見えるな。あれは~、村だ!!
      お~ぃみんな、向こうに村が見えるぜ!!」

  良牙:「何!?本当か乱馬!?」

  九能:「でかしたぞ早乙女乱馬。貴様にしては上出来だな。」

シャンプー:「さすがは乱馬ね。」

     乱馬が木から降りてきた。

  玄馬:「で、あとどれ位の距離なのか?」

  乱馬:「そうだなぁ、あと歩いて10分位の距離だと思うぜ」

  良牙:「おおしっ、急ごうぜ」

     と良牙は乱馬の示した方向とは逆に走り出した。

  早雲:「良牙君、そっちは反対だよ。」

  良牙:「おっと、すいません。危うく迷うところでした。」

  乱馬:「おめ~自分でわかってるのか?」

     良牙も戻ってきて一行は再び歩き始めた。しばらくすると先ほど乱馬が見つけた村が見えてきた。
     小さな村だが家々には人がいるらしく明かりが見える。

  玄馬:「これで安心して夜を過ごせると言うもんじゃ。」

シャンプー:「とりあえず、泊めてくれそうな家を見つけるね。」

  乱馬:「けどよぉ、これだけの人数を泊めてもらえそうな家はなさそうだぜ。」

  九能:「いや、どんな時代も地主の家は広いと相場が決まっているではないか。」

  良牙:「そんなこというけどよぉ。どこにもそれらしい家なんてねぇじゃね~か。」

  九能:「もっとまわりを良く見ろ。あそこに一段と広い家があるではないか。まぁ、僕の
      家よりは狭いが多少のことは仕方ないとして目をつぶるとするか。」

シャンプー:「嫌味な奴ね。」

 ムース:「グァーグァー!!」

     全くだと言わんばかりにムースが騒ぐ。

  早雲:「言い合ったも仕方ない。とにかくあの家に行って泊めてもらえるか聞いてみようではないか。」

     地主の家へと向かった。そして泊めてもらえるかと頼んだところ・・・。

  地主:「ふんっ。どこの者ともわからない連中をわしの家に泊めさせる訳にはいかん!帰れ!!」

     とすぐに追い出されてしまった。

  乱馬:「何だよあの親父!!あ~腹立つぅ~。」

  良牙:「しょうがね~。一軒一軒当たってみようぜ。」

     地主の家をあきらめ民家を当たってみるがやはり断られてしまった。疲れ果て、全員村から
     少し離れた場所に座り込んだ。

  早雲:「もぉー駄目。わし歩けない・・・。」

  玄馬:「わしも同じく・・・。」

  良牙:「今日は、ここで野宿か。」

  九能:「仕方ないな。」

シャンプー:「野宿なんてひさしぶりねっ。」

  乱馬:「親父。火持ってないか?」

  玄馬:「確かここにマッチが・・・お、あったあった。」

     玄馬がマッチを出した。

  乱馬:「じゃ、おれ薪拾ってくっから。」

     乱馬は森に入って薪を拾いに行った。数分後、大量の薪を持ってきた。
     薪に火をつける。しばらくすると火は大きくなった。

  早雲:「それじゃあ、交代で寝るとしようか。」

  乱馬:「ムース、お前は寝ておけよ。結構飛びっぱなしで疲れただろ?」

 ムース:「ぐぁー。」

  九能:「それでは僕も先に寝かせてもらおうか。」

    そう言って九能は横になった。

  乱馬:「シャンプーは平気か?」

シャンプー:「乱馬、私のこと心配してくれるのだな。大歓喜!!でも、私乱馬と一緒に起きてるね。」

     シャンプーは乱馬に飛びつきながら言った。

  乱馬:「あー、わかったから離れろよシャンプー!」

  早雲:「他にはいるかい?いないんだったら私も先に寝かせてもらうよ。」

    と言って早雲も横になった。

  玄馬:「わかった。しばらくしたら起こすからその時に交代するとしよう。」

     ムースと九能と早雲が寝てからしばらくして火をぼ~っとみていた良牙がボソッとつぶやいた。

  良牙:「俺達元の時代へ帰れるんだろうか?」

シャンプー:「縁起でもないこと考える。それ良くない」

  玄馬:「そうだぞ良牙君。今はそんなこと考えないで明日の朝飯はどうなるのかを考えなさい。」

  乱馬:「親父あのなぁ・・・。」

     その時だった。突然村の方から大きな音が響いてくる。
     続いて人の悲鳴とも取れる叫び声が聞こえてきた。

シャンプー:「何事ね!?」

  良牙:「村の方からだ!」

  乱馬:「何かあったに違いない。行ってみようぜ!っておやじ、なに寝たふりなんかしてんだよ!!」

     あぐらをかき寝たふりをしてる玄馬を蹴りつける。

  玄馬:「痛いではないか!わしはただこの熟睡しきっておる三人を置いてのが心配なんじゃ。
      もしものことがあったらどうする?」

     熟睡している早雲達を眺め玄馬が問う。

  乱馬:「うっ、わかったよ。じゃあおじさん達は任せたぜ親父。行くぜ良牙、シャンプー!!」

  良牙:「ああ!」

シャンプー:「了解ねっ!!」

    乱馬たちは早雲と九能とムースを玄馬に任せ村の方へと急いだ。村に着くとそこには一匹の
    大ムカデが暴れていた。

  乱馬:「な、何だありゃ!?」

  良牙:「ムカデのようだが・・・。」

シャンプー:「だとしたら驚異的大きなムカデね。」

    こちらの方に逃げてくる村人に半ば強引に尋ねてみる。

  良牙:「おい、あれは一体なんだ!?」

  村人:「あ、あれはこの辺を荒らしまわっているムカデの妖怪です!」

  乱馬:「ムカデの妖怪だぁ~?」

  村人:「はい。この間までは畑を荒らすだけだったのですが、突然凶暴になって今では村を次々に
      襲っているのです。この間も隣村が襲われたと聞きますし、この村ももう・・・。」

  乱馬:「あきらめんのか!?あんた達の村だぞ、ただ逃げるだけで追い払おうともしないのかよ!
      村がどうなってもいいのか!?」

     乱馬が村人の服を掴みあげる。

  良牙:「乱馬、やめろ!いくら言ってもそいつはただの一般人だ。」

シャンプー:「そうね、ここは私達で何とかする。それでよいね!」

  乱馬:「ああ、ぼやぼやしてると村が全滅しちまうしな。」

  村人:「あなた達は一体・・・?」

     村人が素性を聞こうと一歩踏み込む。

  乱馬:「大した程の者じゃね~が、妖怪退治は武道家のつとめだ。任せておきなっ!」

  村人:「武道家・・・。」

  良牙:「それじゃ、いっちょムカデ退治に・・・。」

シャンプー:「行きますかっ!!」

     三人は大ムカデのところに走り出した。その姿を村人が見送っている。




  乱馬:「ち、近くで見ると結構でかいな。」

  良牙:「しかし、いくらなんでもこれはでかすぎやしないか。」

     大ムカデの側まで来たが、改めてその巨体にしばし唖然としてしまう。

シャンプー:「全長八メートルと言ったとこかな。」

  乱馬:「ふ、二人共びびってんじゃね~ぞ。」

シャンプー:「なに言うか?乱馬こそびびってるではないのか?」

  乱馬:「う、うるせぇ~!とにかくさっさと片付けようぜ!!」

  良牙:「でもよぉ乱馬。どうやってこんな化け物倒すんだ?」

  乱馬:「そんなの今まで闘ってきたみたいにやりゃいいんだよ!たぁ!!」

     そう告げると乱馬はムカデに攻撃を仕掛けた。

  乱馬:「てりゃ~!!」

大ムカデ:「キーーー!?」

     大ムカデは不意に蹴りを後ろからくらい地面に倒れこんだ。

  乱馬:「へっ、妖怪って言ったって大したことね~な・・・って全然効いてねぇ~!」 

     ゆっくりと大ムカデが起き上がる。そして乱馬の方へ振り向き襲いかかった。

  良牙:「乱馬危ねぇ!!」

     良牙が大ムカデの横側に蹴りをいれる。

  乱馬:「サンキュー、良牙!!」

シャンプー:「一人で行くなんて危ないね。何かあったらどうするか?」

     続いてシャンプーが乱馬の側に現われる。

  良牙:「しかし、妖怪だけあって異常な打たれ強さだぜ。俺の蹴りが全く効いてねぇ。」

  乱馬:「ああ、こうなったら俺達の力を合わせて闘うんだ!!」

シャンプー:「わかたね!破っ!」

  良牙:「さっさと叩きのめしてやるぜ!てやぁ!」

  乱馬:「行くぜ、でーい!!」

     三人の攻撃は連続して大ムカデにくらわせるがびくともしない。

  良牙:「くっそぅ、一体どうすれば?くっ、うわぁ!!」

     良牙が大ムカデの攻撃で吹っ飛ばされた。

シャンプー:「良牙!!」

  乱馬:「良牙、平気か!?」

  良牙:「・・・(くそっ、俺は何でこんな目に会わなければいけないんだ?俺はただあかねさんに
      会いに来ただけなんだぞ。それがなんで戦国時代なんかに連れてこられるんだ。しかも、
      原因を作ったじじぃはいなくなるし、おまけに今はこんなムカデの化け物と戦う始末・・・。)」

シャンプー:「良牙、何してるね!?早くこっちに戻って手伝うよろし!!」

     すると良牙は、静かに立ち上がった。だが、様子がおかしい。

  乱馬:「良牙!!」

  良牙:「うるせぇ~。今おれはものすごく不幸な気分なんだよっ!!」

     良牙の周囲に重い"気"が生じてくる。

  乱馬:「やばい、良牙の奴・・・。おい、シャンプー良牙から少しでも遠くへ離れるんだ!!」

シャンプー:「どうしてか!?」

  乱馬:「いいから早く!!」

     乱馬とシャンプーは攻撃をやめ大ムカデから、もとい良牙から離れた。

シャンプー:「何で、良牙置いて逃げるか!?」

  乱馬:「巻き込まれたくなかったら離れてるのが良いんだよ!」

     乱馬とシャンプーの攻撃が止んだ隙に大ムカデは良牙に襲いかかる。

シャンプー:「良牙ー、逃げるね!!」

  良牙:「俺に構うなぁ~!獅子咆哮弾!!」

     そう叫ぶと気柱があがり、良牙の頭上に気弾が出来た。

大ムカデ:「キシャーーー!!」

     大ムカデが良牙襲いかかるその瞬間、頭上にあった気弾が落ちて大ムカデを潰した。

  乱馬:「やったぜ、良牙!!」

  良牙:「はぁはぁはぁ、はっ。一体俺は何を?ん、いつの間にかあの化け物がやられている。」

     乱馬が良牙に近づいていき声をかける。

  乱馬:「お前の獅子咆哮弾で倒したんだ、もっと喜べよ!」

  良牙:「おれが・・・?良く覚えてないが」

シャンプー:「良牙きっと、我を忘れてて覚えてないね。しかし、良牙があのような大技を使うなんて驚いたよ。」

  乱馬:「しっかしまぁ、これで一軒落着だぜ。」

     大ムカデを倒し、辺りが静まってまもなくすると逃げていった村人達が戻ってきた。

 村人A:「おおっ!あの大ムカデを倒したのか。」

 村人B:「俺達の村は救われたんだ!!」

     村人達は、大ムカデの死骸を見ると歓喜の声をあげた。

 村人C:「あなた方がやっつけてくれたんですね?どうもありがとうございます。」

 村人D:[先ほどはどうも追い返したりしてすいませんでした。」

     村人達は乱馬たちに礼をした。

  乱馬:「いいっていいって、妖怪退治は武道家のつとめだしな。」

  地主:「あなた方は武道家だったんですね。」

     後ろの方から地主の姿が現れた。

  良牙:「てめ~、さっきは良くも俺達を追い出してくれたなぁ!」

  地主:「すいません。ですからその~、退治してくださったお礼と先程のお詫びをこめて
      今からうちに来ませんか?部屋は空けますので残りのみなさんも是非。」

     地主の言葉にシャンプーがすばやく反応する。

シャンプー:「それは、本当か?」

  地主:「はい。」

  乱馬:「じゃあ、みんなを呼びに行こうぜ。」

  良牙:「ああ。それじゃあ、あんたは人数分の布団を用意しておいてくれないか?」

  地主:「はい、かしこまりました。では、用意して待ってますので屋敷の方へ来てくださいね。」

     地主はそう告げるとそそくさと屋敷の方へと帰っていった。

  良牙:「しかし調子の良い親父だぜ。さっきと全然態度が違うじゃねーか。」

  乱馬:「何にしてもだ、こんな物騒なとこで野宿しなくて済むんだ良いじゃねーか。」

シャンプー:「それよりも、はやく呼びに行くね。」

  乱馬:「ああ、そうだったな。」

     早速乱馬達はみんなのところへ戻りこのことを報告しに行く。戻ってみると早雲達を任された玄馬
     一緒に眠りこけていた。

  乱馬:「親父、てめぇ何のためにここに残ったんだよ!!」

     乱馬は寝ている玄馬の頭を踏みつける。

  玄馬:「おぉ、帰ったか。で、どうじゃったか。何が起こっていたのか?」

  乱馬:「話は後だ親父。おじさん達を起こすんだ。」

  玄馬:「何かあったのか?」

  良牙:「いえ、村で起きた問題を解決したら地主が屋敷に泊めてくれると言ってきたので呼びに来たんです。」

  玄馬:「何、本当か!でかしたぞ三人とも、良くやった!!」

シャンプー:「いいから、起こすの手伝うよろし。」

     寝ている二人と一匹を起こし先程の出来事と屋敷に泊めてくれることを伝えた。

  九能:「なぜ僕を起こさないのだ!そんな化け物軽く捻り潰したものを。」

  早雲:「何はともあれ、三人とも無事で何よりだ。」

  玄馬:「全くだ。さて、それはそうと早く屋敷の方へと行こうではないか。わしはもう眠くて眠くて。」

  乱馬:「ああ、それに腹も減ったしな。」

     焚き火を消し屋敷へと向かう。途中、先程倒した大ムカデの側を通ると何やら頭部に輝くものが見える。」

シャンプー:「ん、なにかなあれは?」

     シャンプーが大ムカデの頭部に近づいていく。

  乱馬:「おい何してんだシャンプー、そんなとこで?」

シャンプー:「これがあいつの頭に付いていたね。」

  良牙:「なんだそのかけらは?」

     良牙がシャンプーの持ってきたかけらを見て尋ねる。

シャンプー:「さぁ。でもきれいで私気に入った。持っておくね。」

  早雲:「三人とも何をしてんの?置いてくよぉ。」

     気づくと三人のほかはみんな先を歩いている。

  乱馬:「いつの間に。待ってくれよ!」

  玄馬:「(しかし、ずいぶん大きなムカデじゃのぉ。いかんで正解だった。)」

     玄馬は大ムカデの姿を見て心の中でそう思った。


     屋敷に着くと門の前に使用人らしき女性が待っていた。

 あやね:「どうぞお越し下さいました。私はこの屋敷に仕えるあやねと申します。さぁ、みなさんの部屋は
      用意しております。奥に旦那様がいらっしゃいますが今日のところは御疲れでしょうからゆっくり
      休んでくださいとの事です。明朝に改めて村を救っていただいたお礼を言いたいと申しておりました。」

  乱馬:「お礼だなんてそんなぁ。」

  良牙:「武道家として当然のことをしたまでですし・・・。」

  玄馬:「あの位の妖怪なら十匹や二十匹どうって事ありませよ。なぁ、天道君?」

  早雲:「その通り!我々は日夜あんなのよりもっと邪悪な妖怪と戦っておりますし。」

     二人はふんぞり返って大笑いしている。

 あやね:「そうなのですか?それでは、みな様方は名の知れた武道家なのですね。」

シャンプー:「話しはこの辺にして部屋に案内するね。」

 あやね:「そうでしたね。ではこちらにどうぞ。」

     あやねは乱馬たちを屋敷の中へと案内する。

 あやね:「男性の方と女性の方の部屋は分けさせてもらいましたがよろしいでしょうか?」

  乱馬:「ああ、構わねーよ。」

シャンプー:「私は乱馬と同じ部屋がよかたな。」

  乱馬:「あのなぁー。」

  良牙:「しかしあやねさん、ずいぶん広い屋敷ですねここは。」

 あやね:「はい、旦那様は町に店を持っている商人でもありまして、結構な財を一代で築いたお方でして
      同じ地主でも一際広い屋敷を持っていらっしゃるのです。」

  良牙:「へぇ~。」

  九能:「良牙。僕の家よりは狭いがここは結構広い、屋敷の中で迷うなよ。」

  良牙:「う、うるさいっ。そんなことわかっている。」

     九能に馬鹿にされむっとする良牙がである。と、あやねが部屋についたのか立ち止まる。

 あやね:「ここがお部屋になります。女性の方がこちらの左側の部屋。男性の方が右側の二つの部屋に
      なります。何かご用がありましたらここの突き当りを右に曲がった所にある部屋におりますので
      声をおかけ下さい。それではおやすみなさいませ。」

     そう言ってあやねはその場を去っていった。

  良牙:「そうだ、ムースの奴人間に戻さなくて良いのか?」

  乱馬:「明日で良いだろ。もう今夜はもう寝ようぜ、なっムース。」

 ムース:「ぐぁ~、ぐぁ~!!」

     今すぐ人間に戻せと言っているようだ。

シャンプー:「ムース、黙るね!私はもう寝るから静かにするよろし。それじゃあ乱馬、おやすみっ。」

      シャンプーは乱馬にウィンクをすると部屋に入っていった。

  早雲:「それでは、我々も寝ますか、早乙女君。」

  玄馬:「そうじゃな。乱馬、わしらはこっちで寝るからお前達四人はそっちで寝なさい。こっちの方が
      そちらより少しせまいからのぉ。」

     そう言って早雲と玄馬も部屋に入っていった。

  九能:「こいつらと寝るのか。やれやれ仕方ない、我慢するとしよう。」

  乱馬:「それはこっちのセリフだっ!」

 ムース:「ぐぁ~、ぐぁ~。」

  良牙:「二人ともいい加減やめろ、ムースも言ってるぜ。とにかくもう寝るんだ、おとなしくしようぜ。」

  九能:「それもそうだ。招かれた客とはいえこの家の者に迷惑はかけられんしな。」

  乱馬:「ちっ、わかったよ。でもなぁ九能先輩、夜討ちはやめろよ。」

  九能:「何を言っておる。いくら僕でもそんな卑怯なことはしないぞ。それに、今は例え貴様とでも
      元の時代に帰るためには協力が必要なのだ。」

  乱馬:「そ、そうか。(九能先輩もたまにはまともな事言うじゃねーか。)」

     乱馬達も残された部屋に入る。

  乱馬:「結構広いじゃね~か。」

  九能:「この位なら僕の家の客室と変わらないな。」

  良牙:「さぁ、寝よう。火消すぜ。」

  乱馬:「ああ、いいぜ。」

     既に布団の中に入り眠る体制に入った乱馬が言った。

  九能:「僕も良いぞ。」

  良牙:「ムースもいいか?」

 ムース:「ぐぁ~。」

     翼を使いジェスチャーで答える。

  良牙:「ふっ。」

     灯篭の火を消し、三人と一匹は眠りに入った。
     しかし、これから彼らはとんでもない騒動に巻き込まれるのであった



(第四話・完)



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