第五話 新たな仲間との出会い 


  七宝:「かごめ、遅かったではないか。犬夜叉が待ちくたびれておるぞ。」

 かごめ:「遅くなってごめんね七宝ちゃん。」

     走ってきた七宝がかごめの胸に飛び込む。

  七宝:「ん?かごめ、この者達はだれじゃ?」

 かごめ:「この人達わね、私のいる世界から一緒に来た人たちなの。」

  七宝:「かごめと犬夜叉しか通れんはずではなかったのか?」

 かごめ:「ああ、それはね・・・。」

 あかね:「かごめちゃん。その子は?」

     すっかりあかね達のことを忘れ七宝と話しこんでいたかごめにあかねが尋ねる。

 かごめ:「あ、ごめんなさい。すっかり話しこんじゃって。この子は七宝ちゃんと言って一緒に旅をしている
      仲間のうちのひとりです。」

  七宝:「よろしくな。しておぬし達の名は?」

 あかね:「私はあかね。よろしくね七宝ちゃん。」

  右京:「うちは右京や。よろしゅう頼むで七宝!」

 コロン:「わしはコロンじゃ。よろしく頼むぞしっ・・・。」

  七宝:「うわぁ~!妖怪じゃぁ~!」

     七宝はコロンの姿を見て妖怪と勘違いして怯えてしまった。まぁ、無理もない事だ。

 コロン:「何を言うか、この小僧は!」

 かごめ:「そうよ、七宝ちゃん!いくらなんでも初対面の人に向かってそれはないでしょ!!
      それに、コロンばあちゃんはちゃんとれっきとした人間よ。」

 あかね:「かごめちゃん、その言い方もどうかと思うわよ。」

 かごめ:「あ、すいません。コロンばあちゃん、どうか許してあげて。この子結構臆病なとこがあるから。」

 コロン:「ふむ、わかった。しかし、その子の姿どう見ても人間のように見えんのぉ。」

 かごめ:「そうなの、この子はまだ子供なんだけど狐の妖怪なのよ。」

  右京:「なんやそれ、ばあさんは妖怪の子供に妖怪と思われたんか。こりゃ傑作や、ははははっ!!」

     七宝が妖怪だとわかり右京が笑い出す。

 あかね:「ちょっと右京、おばあさんに失礼じゃない。」

  右京:「せ、せやなぁ。ばあさん悪かった、この通りや。堪忍して。」

 コロン:「もぉいい。」

     コロンがすねたように右京に背を向ける。

  右京:「そ~、すねるなって。悪かったってゆうとるやん。」

  七宝:「おらからも謝る。コロン、機嫌を直してくれんか?」

 コロン:「仕方ないのぉ、許してやるとするか。じゃが、もう一度この様なことがあったら覚悟しておけ二人とも。」

     コロンがどすの利いた声で二人に言う。その姿はどう見ても妖怪そのものであり七宝が
     勘違いしても仕方がない。

 かごめ:「自己紹介は済んだようね。じゃあ、私は他のみんなを呼んでくるからここで待ってて。」

 あかね:「ちょっと待ってかごめちゃん。」

 かごめ:「何、あかねさん?」

     あかねがかごめに近づいていき小声で伝える。

 あかね:「(他のみんなには私達のこと教えといてくれない?じゃないとおばあさんがまた・・・。)」

 かごめ:「ふふっ、そうね。伝えておくわ。七宝ちゃ~ん、ここであかねさん達と一緒に待っててね。
      すぐに戻ってくるから~。」

     右京とすっかりうち解け話しこんでいる七宝に声をかける。

  七宝:「わかったぞかごめ。それでな右京、その鋼牙と言う奴もかごめに惚れておってな毎回この二人が
      会うたんびに喧嘩をするのじゃ。」

  右京:「へぇ~かごめちゃんも大変なんやなぁ。で、それで?」

  七宝:「でな、そんな犬夜叉も桔梗と言う巫女にな・・・。」

 あかね:「もう仲良くなってる。」

 かごめ:「ほんとっ。それじゃ私みんなを呼んでくるわね。」

 あかね:「ええ、お願いね。」

     かごめは村の方へと走っていった。

  右京:「あかねちゃん、かごめちゃんに何ゆうたん?」

 あかね:「うん、ちょっとね。」

  右京:「ふ~ん、まぁええわ。あかねちゃんもこっち来て七宝の話聞かへんか?おもろいで~。」

 あかね:「なになに?」

     あかねは七宝と右京の仲間に加わり話を聞く。

  七宝:「さて話しの続きじゃが、珊瑚と言っておら達の仲間なんじゃがどうもかごめの話しのよると・・・。」 

 コロン:「やれやれ、どこの時代にも同じような話はあるもんじゃのぉ。」

     七宝の話しを聞いてるあかねと右京をよそに空を見上げコロンはそうつぶやく。


     一方かごめは犬夜叉たちを呼びに村にある楓の家へと向かっていた。

 犬夜叉:「かごめの奴何してんだよ。すぐ戻ってくるとかぬかして、もう半日もたってるじゃねーか。」

     犬夜叉は楓の家の屋根の上でカゴメの帰りが遅いのでぼやいている。少々機嫌が悪い様だ。

 犬夜叉:「ん?このにおいはかごめ。やっと帰ってきやがったか。」

     しばらくするとかごめが走ってやってきた。

 かごめ:「ごめ~ん遅くなっちゃって。」

 犬夜叉:「ったく、おせぇ~ぞかごめ。一体向こうで何してたんだよ!?もう半日も経ったじゃね~か!」

 かごめ:「何よ!女の子はね、何かと準備が忙しいのよ。それに、久しぶりに実家に帰ったのに
      半日で帰ってきたのよ。もっと向こうでゆっくりしたかったわよ!」

 犬夜叉:「と、とにかく今回はいつもより早かったんだ許してやるよ。」

 かごめ:「誰もあんたなんかに許して欲しいだなんて思っちゃいないわよ!!」

 犬夜叉:「何だとっ!!」

 かごめ:「何よっ!」

     かごめと犬夜叉の口喧嘩がエスカレートしていくと、家の中から二人の男女が出てきた。

  弥勒:「犬夜叉やめなさい。かごめ様が帰ってきたのですから良いではないか。」

 犬夜叉:「けっ。」

 かごめ:「弥勒様、それに珊瑚ちゃん、ただいま。」

  珊瑚:「お帰りかごめちゃん。今日はずいぶん早かったんだね。」

 かごめ:「うん、向こうにもどったらお母さん達出掛けてたみたいだから必要な物だけ
      こっちに持ってきたの。それに、学校も明日から三日休みだったし。」

  珊瑚:「でも、荷物を持ってきたってここにはないみたいだけど、どこにあるんだい?」

 かごめ:「村の入り口に置いてきたの。あとみんなに会わせたい人がいるんだけど。」

  弥勒:「何です会わせたい人って?」

 かごめ:「私の世界から一緒に来た人なの。」

 犬夜叉:「なっ!?」

     その話を聞いた犬夜叉は屋根から飛び降り、かごめに近づいてきて問いただせる。

 犬夜叉:「俺とお前しか通ること出来なかったんじゃね~のか!?」

  珊瑚:「もしかして、かごめちゃんの世界の人達はみんな通れるって事?」

 かごめ:「ううんそうじゃなっくて、つまりあのね・・・。」

     かごめが犬夜叉達にこちらにあかね達を連れてきたこと、どうやって連れてきたかを話した。

  珊瑚:「じゃあ私達も行けるって事かなぁ?」

 かごめ:「多分ね。それでね、あかねさん達は別の方法でこっちにやってきた乱馬さん達を探しに来たの。」

 犬夜叉:「何だ、別の方法ってのは?」

 かごめ:「良くは私もわからないんだけど、南蛮ミラーって言う鏡を使うらしいのよ。」

  珊瑚:「聞いたことない鏡だね。」

  弥勒:「それでかごめ様。あかねさん達とやらは今どこにおられるのですか?それで、どんな方達なのです?」

     弥勒が目を輝かせてかごめに聞いてくる。

 かごめ:「今、村の入り口の所で七宝ちゃんと話しているわ。あかねさんと右京さんとコロンばあちゃんの
      三人がいてあかねさんは髪が短くてかわいい人で、右京さんは髪が長くて関西弁を使う人で
      かわいいって言うよりきれいな人かな。二人とも私よりひとつ年上で16歳よ。
      でコロンばあちゃんの事なんだけどいい?絶対に妖怪だなんて言っちゃだめよ。さっきも七宝ちゃんが
      言っちゃって結構傷ついてたみたいだからってあれ、弥勒様は?」

     かごめが説明し終わるとすでにそこには弥勒の姿はなかった。

  珊瑚:「きっと、そのあかねさん達のとこに言ったんだよ。」

 犬夜叉:「全くあのスケベ法師は・・・。」

 かごめ:「何かあったら大変だわ。私達も行きましょう。」

  珊瑚:「そうだねっ。(法師さまったら若い女って聞くとすぐ目の色変えるんだから!)」


     その頃既に弥勒はあかね達のところにやってきていた。

  弥勒:「あなたがあかね様であなたが右京様ですね?私はかごめ様と共に旅をしている弥勒と申します。」

 あかね:「ええそうです。よろしく。(この人かしら、かごめちゃんが言ってた法師様って人は。)」

  右京:「(そうみたいやなぁ。あかねちゃん、何してくるかわからへんから油断せんように気ぃ付けや。)」

 あかね:「(ええ、そうね。)」

     弥勒を前にしてあかねと右京は疑いつつ先程かごめから注意された事を思い出す。

  弥勒:「そんなに疑わないで下さい。決して怪しいものではございませんから、そうだろ七宝?」

  七宝:「まぁ、怪しいものでは事は確かじゃ。」

 あかね:「そうですか、疑ったりしてすいません。ところでかごめちゃんはどうしたんです?」

  弥勒:「いえいえ、気になさらないで下さい。かごめ様なら連れのもう二人と後から来ますのでご安心を。」

  右京:「せやけど、なんであんたは先に来たん?一緒にくれば良かったんやないか?」

  弥勒:「それですが、私は一刻も早くあなた方にお会いしたかったのです。」

     弥勒はそう言うと右京の手を取った。

  右京:「はぁ?」

 あかね:「どうしてです?」

  弥勒:「はい、実はお二方に折り入って頼み事がありまして・・・。」

 あかね:「頼みごと?私達に出来る事ならいいですけど。」

  弥勒:「本当ですか!?いやぁ助かりました。これも仏のお導きですかねぇ。」

  右京:「そんな事はええから早く言いやぁ。」

     右京がせかすように言う。

  弥勒:「わかりました。あのですねぇ、私の子を産んでもらいたいのです!」

 あかね:「はぁ~!?」

  右京:「いきなり何言うてんねんあんたぁ!!それにうちらまだあったばかりやないか。あ、わかったでぇ、
      あんたしょ~もない女ったらしなんやろ。」

  弥勒:「まぁ、落ち着いてくだされ二人共。ちゃんとこれには訳がありまして。」

     弥勒の言葉を聞き興奮気味の二人を弥勒はなだめる。あかねのひざの上にいる七宝は呆れている。

  七宝:「(またか、弥勒も懲りん奴じゃのぉ。)」

  右京:「そんな事を初対面の女に言う理由でもあるんかい?そりゃ~聞いてみたいわ。」

  弥勒:「実は私の一族には奈落と言う妖怪に呪いをかけられていまして。で、その呪いを解くには奴を倒すしか
      無いのですが、万が一私が打つ果たせずに死んでしまった時のために我が一族の使命を果たす子が
      必要なのです。」

 あかね:「その呪いってどんな物なんですか?」

     あかねはお化けとか超常現象と言った類いの話が好きなので興味深そうに聞いてくる。
     弥勒はあかねに右手を見せながら説明する。

  弥勒:「それはですねあかね様、この私の右手には風穴が開いていまして数年の内に段々と大きくなっていき
      しまいにはこの風穴が私自身を飲み込んでしまうのです。私の父もそうして死んでしまいました。」

  右京:「あんたも大変なんやなぁ。せやけど、頼む相手を間違った様やな。うちらにはその頼み事に
      答える事が出来ひんのよ。すまんなぁ。」

  弥勒:「そうなんですか?」

     あかねの方に向いていた弥勒は右京の方を向いて尋ねる。

  右京:「うちらには早乙女乱馬っちゅー、れっきとした許婚がおるんや。だからそんな事頼まれても困んねん。
      ま、いてもいなくてもそんな事には協力できひんけどな。」

  弥勒:「うちらと言う事はあかね様にもいるのですね?」

 あかね:「うん、まぁ一応そう言う事になってるけど・・・。」

     あかねがまだなにかを言おうとしているが口篭もっていてよく聞こえてこない。

  弥勒:「あかねさま、どうかなさいましたか?」

 あかね:「いえ、ですからそのぉ~。右京も私も同じ相手なんです。」

  弥勒:「なにが同じ相手なのです?」

 あかね:「ですから・・・、その・・・許婚の相手が・・・。」

  弥勒:「何ですと!?」

  七宝:「あかね、それは本当か?」

     あかねの衝撃的な話に弥勒だけでなく七宝も驚いている。

  弥勒:「(どんな野郎だ。こんな美しい乙女を二人も許婚にしている奴は。顔が見てみたいぜ。)」

  七宝:「(かごめと犬夜叉の関係にも負けないくらいすごい関係じゃのぉ。しかも弥勒に負けないくらいの
       女たらしときたものじゃ。)」

 あかね:「あの~弥勒様、どうかしました?」

     呆然としている弥勒に声を掛ける。

  弥勒:「い、いえ。少し驚いてしまいまして。それにしても、あかね様達の世界では一人の男に対して許婚を
      二人いるのですか?いやぁ~なんともうらやましいことですなぁ。」

 あかね:「そうですか?あははは・・・。(私達の場合はちょっと例外なんだけどね。)」

  右京:「ん、七宝どうしたん?そんなアホみたいに口をあけたままにして。」

     七宝はまだ少しさっきの事で驚いていたらしくボ~っとしていた。

  七宝:「いやぁ~、ちょっと考え事をしておってな。」

  右京:「ふ~ん、変なやっちゃなぁ。」

 コロン:「おい、お前達。かごめが戻ってきたぞい。」

     コロンが村の方からくるかごめたちを見つけ、あかね達に伝える。

 かごめ:「あかねさ~ん、右京さ~んそれにコロンばぁちゃ~んお待たせ!待った?」

 あかね:「ううん、全然。弥勒様と七宝ちゃんと話してたから平気よ。」

 かごめ:「そう。あ、弥勒様に変な事されなかった?」

  右京:「特にはあらへんけど、子供を産んでくれへんか聞いてきたで。」

  珊瑚:「やっぱり。ど~せ、そんな事だと思ってよ。」

     かごめに続いてやってきた珊瑚が言う。

  弥勒:「やっぱりって珊瑚、私は会った女性には必ず言う事にしているではないですか。」

  珊瑚:「それだよそれ、全く恥って物を知らないの?」

  弥勒:「いいじゃないですか、これも私の習慣のひとつですし。」

  珊瑚:「そう言う考え方がいけないんだよ。それに法師さまは一応仏に仕える身なんだから
      もう少しマシな考えを持たなきゃだめだよ。」

  弥勒:「そう言われても仏に仕える身とて私も人間ですから・・・。」

  珊瑚:「だから、そう言う考えが・・・。」

      弥勒のああ言えばこう言うが続きなかなか話が終わりそうもない。
     そこであかねがかごめに二人の事を聞いてみる事にした。

 あかね:「この二人っていつもこうなの?」

 かごめ:「時々こうなるのよ。でも、大抵は弥勒様が逃げて終わるんだけどね。」

 あかね:「へぇ~、そうなの。」

 かごめ:「女の子の方は珊瑚ちゃんて言うだけどね、結構弥勒様の事気にしているみたいなのよ。」

 あかね:「あ、それさっき七宝ちゃんからも聞いたわ。たしか、あるお姫様の件で心配でついてった話。」

 かごめ:「そうそう、あの出来事でなんとなく私もわかっ・・・。」

 犬夜叉:「おいかごめ、いつまでこんなところでのんびりとしてんだよ!」

     いつの間にか後ろに立っていた犬夜叉が痺れを切らしたように怒鳴る。

 かごめ:「あ、あんたいたの。あかねさんこいつが犬夜叉って言うのよ。」

 あかね:「あなたが犬夜叉君ね。よろしく、私はあかねよ。」

 犬夜叉:「あかねか、よろしくな。俺の事は犬夜叉で良いから、その犬夜叉君ってのはやめろよな。」

 あかね:「わかったわ。それじゃあ犬夜叉、よろしくね。」

  右京:「お、あんたやなやきもち焼きで二股がけの犬夜叉っていうのは?よろしくなっ。」

     右京がそう言いながら三人のところへ近づいてきた。

 犬夜叉:「そんな事誰が言ったんだよ!?それにお前何者だ?」

  右京:「うちか?うちは右京や。でその事は七宝から聞いたんや。」

 犬夜叉:「あのクソガキ~ィ、ゆるせねぇ!」

  七宝:「ギクッ!」

     身に降りかかる危険を察知し、七宝は逃げる。

 犬夜叉:「七宝!てめぇ~、待ちやがれ!!」

 かごめ:「犬夜叉!七宝ちゃんをいじめるんじゃないわよっ!!」

     かごめがそう言う前に犬夜叉は既に七宝を追いかけていた。

 コロン:「ふぉっふぉっふぉ。みんな元気じゃのぉ。」

 かごめ:「あ、コロンばあちゃん。」

 コロン:「でも良いのか?先程犬夜叉とか言う小僧も言っとったように出発せんのでも。」

 あかね:「そうね、私達も早いとこ乱馬たちを探したいし・・・。」

 かごめ:「それじゃあ、あのケンカを止めなきゃね。」

     かごめはそう言って弥勒と珊瑚、七宝と犬夜叉を見た。

  右京:「じゃあ、うちが弥勒と珊瑚を止めてくるさかい、かごめちゃんは犬夜叉のほうを頼むで。」

 かごめ:「わかったわ。じゃあ、そっちはお願いね。」

  右京:「任せときっ。」

     右京は弥勒と珊瑚のほうへ近づいていく。二人は先程の言い争いが続いていたのだ。

 あかね:「でもかごめちゃん、犬夜叉のほうはどうやってやめさせるの?」

 かごめ:「簡単よ、こうやるの。犬夜叉、おすわりっ!!」

     かごめがそう言うと犬夜叉のしていた数珠が反応し犬夜叉は潰された。

 犬夜叉:「ぐぇ!!っく、なにすんだよかごめ!?」

 かごめ:「おすわり、おすわり、おすわり、おすわり、おすわりっ!!」

 犬夜叉:「ぐぇ~、か、かごめやめろぉ~。」

     犬夜叉は追加のおすわりの五連発によってさらに潰された。その姿を例えるのなら踏み潰された蛙の姿
     と例えるのが一番適している。

 かごめ:「ねっ、簡単でしょ!」

 あかね:「い、今の何?どうしたの?なんで犬夜叉がつぶれるの?」

 かごめ:「それはね、私がおすわりって言うとあの数珠が反応して犬夜叉を鎮めるのよ。」

 あかね:「へぇ~。」

 かごめ:「犬夜叉はこれでおとなしくなったけど、右京さんの方は平気かしら?」


  弥勒:「ですから、何度も言ってるではないか。」

  珊瑚:「いいや、だからそう言う事じゃなくってね~・・・。」

  右京:「あんたら、痴話げんかもいい加減やめにせーへん?みんなまっとるで。」

     右京が二人を止めるため間に入る。

  珊瑚:「だ、誰が痴話げんかなんかっ/////!」

  右京:「だれって、あんたら以外他に誰かおるん?」

  珊瑚:「そんなんじゃないよっ。あたしはただ法師さまの考えがおかしいと思ったから。ってそんな事より
      あんた誰なんだい?」

  右京:「うちか?うちは右京や。そう言うあんたはなんて言ううんや?」

  珊瑚:「あたしは珊瑚。でさっきの続きだけど、あんたには関係無いんだから引っ込んでいてよねっ。
      余計なお世話なんだよ!」

  右京:「なんやて~、うちはあんたらを止めにきたんやで。それを余計なお世話やと~!?」

     珊瑚に余計なお世話といわれ右京は少々頭に来たようだ。

  珊瑚:「そうだ、なんか文句でもあるのか?」

  右京:「かぁ~、腹立つやっちゃなぁ~!」

  珊瑚:「それはあたしのセリフだよ!」

     二人は火花を飛ばしながら睨み合っている。そんな二人に弥勒はそろそろと近づいていき・・・。

  弥勒:「およしなさい二人とも。珊瑚、右京さまはわたし達の事を気遣って呼びに来てくれたのですから。
      それに、このままにしていると日が暮れてしまいます。日が暮れてからでは出発出来きませんよ。」

     と弥勒は二人をとめるため、二人の間に入りもっともらしい事を言っているが、その手はしっかりと
     珊瑚と右京の尻をなでているのであった。

  珊瑚:「//////////!?」

     パシッ!!

     珊瑚はすぐさま弥勒に平手打ちをいれるが、右京はと言うと、体を震わせ怒りの闘気を出している。

  右京:「あんたぁ、何さらすねんっ!!」

  弥勒:「う、右京さま、落ち着いてくだされ。ほんの冗談ですので、そんなに怒らずに・・・。」

     弥勒は後ろに後退しながら右京をなだめる。がしかし、怒りの闘気を充満させている右京は
     体をわなわなと震わせて背中にあるフライ返しを取り出す。

  右京:「やっかましい、焼入れたる!!」

     バァンッ!!

  弥勒:「あぁ~~~~!!」

     弥勒が逃げようとして後ろに振り向いた一瞬の隙をつき右京は力いっぱい振りかざす。
     その弥勒は右京がはなった渾身の一振りによって飛ばされた。

  右京:「ふんっ、思い知ったかぁ!」

  珊瑚:「自業自得だね。これで法師さまも少しは懲りるかな。」

     その様子を見ていたかごめ達はと言うと・・・。

 かごめ:「う、右京さんって、怒らせると怖いのね・・・。」

  七宝:「右京のやつ何もあそこまでせんでも・・・。弥勒の方が気の毒に見えるわい。」

 犬夜叉:「・・・・・。(もしかしたら、あの右京ってやつの方が弥勒や珊瑚よりも強いんじゃねえか?)」

     右京のあまりの怒りぶりにしばし唖然としていた。

 あかね:「もぉ~、右京ったら。」

 コロン:「ふぉっふぉっふぉ。にぎやかな旅になりそうじゃわい。」



 (第五話・完)



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