第八話 かけらを追って らんま:「ん、あれ。おれは何を?それに、ここは一体・・・。」 起き上がったらんまは辺りを見回す。起きた場所は、小川の側で辺りは森で囲まれていた。 キョロキョロ見まわしていると不意に後ろから誰かが声をかけてきた。 ???:「やっと起きたか。おれがここまでお前を運んできてやったんだ、ありがたく思えよ。」 らんま:「良牙!?。なぁ、何で・・・。」 良牙:「何でこんなところにいるのかってか?それはな、あの屋敷から追い出されちまったんだ。 おれたちが妖怪だとか言ってよぉ。」 良牙はらんまが尋ね終わる前にらんまの聞きたかった事を察して話した。 らんま:「なんだよそれ?おれ達が妖怪?」 良牙:「そうだ、お前とお前のスチャラカ親父とシャンプーの変身の瞬間を見てそう思ったらしいぜ。 まぁ、事情を知らないやつがそう思えてもしょうがないだろうがな。」 らんま:「そうか・・・。で、他のみんなはどこ行った?なんでおめぇだけ残ってんだ?」 良牙:「そ、それはだな・・・。」 何か言いにくいように口を篭もらせる。 らんま:「ま、どこ行ったかはわからねーが、おめぇがどうしてここに残っているかは大体の想像はつくぜ。 迷子になるかも知れねぇから置いてかれて、ついでにおれの事を見とけって事だろ?」 良牙:「うっ・・・。」 ずばりその通りであった。らんまが起きる1時間前に早雲の提案により、近くに町か何か人の集まる 場所を探そうと言う事になっていたのだ。 らんま:「それで、おれが気がついた後はどうしろって言われたんだ?」 良牙:「ここでじっとしてろだとよ。・・・なぁらんま、じじぃとパンスト太郎のやつら、一体今ごろ 何処で何してるんだろうな?」 らんま:「んな事おれが知るかよ。だけど、四魂の玉だっけか?そいつを探してりゃ、必ず何処かで会うさ。 それまでの辛抱だ、この時代を楽しんで行こうぜ。」 良牙:「気楽なやつだなお前は。もしかしたら、もう二度とあかねさんに会えなくなるかもしれねぇってのに。」 らんま:「大げさだなぁ、あの二人だぜ、考えてみろよ。何か騒動を起こすに決まってんだろ。その内、風の噂で じじぃの事を耳にするだろうさ。」 らんまはそう言ってすっと立ち上がり森の中に入って行った。 良牙:「お、おい、どこ行くんだよ!?ここにいろっておじさんが・・・・・。」 らんま:「竹を探しに行くだけだ、心配すんなってすぐに戻ってくるさ。」 良牙:「竹だと?そんなもん、一体何に使うってんだよ?」 良牙は不思議に思いらんまに尋ねる。しかし、その質問を聞いたらんまは呆れながら答えた。 らんま:「おめぇ、修行の旅によく出る割にはそんな事もわかんねぇのか?おれは今、女の姿だ。となれば、当然 使い道はお湯を沸かすために決まってんだろ。そんな事もわかんねぇのか?」 良牙:「う、うるせぇ!わからねぇもんはしょうがねぇだろ!」 らんま:「へーへーそうですか。んじゃ、おれは竹を探してくっからおめぇはここで大人しく待ってな。」 らんまはそう言いながら手をひらひらと振って、竹を探すべく森の中へと入って行った。 店主:「く、食い逃げだぁ!!」 のどかな昼下がりの町に突如、その叫び声は町中に響き渡る。 八宝斎:「支払いは天道道場までじゃー!ってこの時代にはなかったの、わっはっはっは!」 店主:「だ、誰か、その爺さんを捕まえてくれ!食い逃げだ!」 町を歩いている通りすがりの人々に協力を求めるが、すでに八宝斎の姿は目前には無かった。 八宝斎:「はっはっはー、わしを捕まえようなんぞ百年早いわっ。ん?あそこにおるのはべっぴん姉ちゃん! おーい姉ちゃ~ん、わしと茶でもせんかぁ~?」 八宝斎は若い綺麗な女性を見つけ、その女性に飛びついた。 女性:「キャー、だ、誰かぁー!!」 ???:「おいじじぃ、こんなところ何でやってんだよ!?」 八宝斎がその女性に抱き着いていると、その場に突然青年が現われた。 八宝斎:「なんじゃ、パンスト太郎ではないか。何の用じゃ?」 パンスト太郎:「何の用じゃじゃねー!四魂の玉の情報を手分けして探すんじゃなかったのか!!」 八宝斎:「分かっておるわい、だからこうして聞き出そうとしとるではないか。なぁ姉ちゃん、四魂の玉について なんか知らん・・・・・。」 パンスト太郎:「行くぞじじぃ。ここにはもう用はねぇんだ。町のはずれに四魂の玉に詳しいやつがいるみてぇだからそこ行くぞ。」 パンスト太郎はそう言うと、まだ話が終わっていない八宝斎を掴み上げた。 八宝斎:「何をするか?わしはこの姉ちゃんじゃなきゃ嫌じゃ!行くのならお前一人にせんか。」 パンスト太郎:「つべこべ言ってねーで来るんだよ!おれが聞いたやつも若いみてぇだからそいつで我慢しろ。」 八宝斎:「本当か?それならわしも行くぞ。どこにおるんじゃ?」 パンスト太郎:「町のはずれにある古ぼけた寺で傷ついた者を手当してるらしい。んで、そいつの名前は・・・。」 八宝斎:「町外れにある寺じゃな。よ~し、わしは一足先に行っておるぞ♪」 八宝斎は場所を聞くと疾風の如くその場所に向かって走っていった。 パンスト太郎:「ったく、あのエロじじぃは・・・・・。」 女性:「あの~・・・。」 八宝斎の後を追いかけ様と走ろうとしていたパンスト太郎に声をかけた。 パンスト太郎:「あぁ?何だ、まだいたのか?」 女性:「あ、先程は助けて頂きありがとうございました。私は花梨(かりん)と申します。」 パンスト太郎:「おれは別に何も・・・・・!?(か、かわいい・・・・・。はっ、待てよこの展開どこかであったような・・・?)」 パンスト太郎に昔起きたとある一つの恐ろしい体験の記憶がよみがえってきた。 花梨:「それで、お礼をしたいのですが、その前にあなた様のお名前を教えてもらえないでしょうか?」 パンスト太郎:「どわぁー、やっぱりこう言う展開かぁ!!」 「名前を教えてください」そう言われた瞬間、パンスト太郎は泣きながらその女の前から消え去って行った。 花梨:「あ・・・・・。どうしたのかしら?」 パンスト太郎:「(あぁ!!おれの名前はパンスト太郎だ。なんて言えるかぁ!!)」 犬夜叉:「・・・・・・・・・・・・・・・」 弥勒:「犬夜叉、まだ手がかりは掴めませんか?」 珊瑚:「早くしないとまた日が暮れちゃうよ。」 犬夜叉が乱馬達の匂いを探っていると弥勒と珊瑚がせかす様に声をかけてきた。 犬夜叉:「だぁー、うっせーなっ!匂いが消えててわかりにくいんだよ。少しは静かに黙ってろ!」 乱馬たちの匂いがなかなか嗅ぎ取れないことで、犬夜叉は機嫌が悪かった。 七宝:「かごめ、おら達はいつになったらここを出発出来るのかのぉ?」 かごめ:「う~ん、犬夜叉次第だからねぇ。夜にならない内にいけると良いんだけど・・・。」 七宝:「犬夜叉次第か・・・・・。そうじゃ、かごめがかけらの気配を感じ取れば良いではないか?」 七宝がはっと思い出した様に言った。 かごめ:「それがね、さっきもやってみたんだけど、どうも感じ取れる範囲に無いみたいなのよ。」 七宝:「そうじゃったか、それじゃあ仕方ないのぉ。犬夜叉を頼るしかないか。」 かごめと七宝は少し不安げな表情で早く手がかりが掴める事を祈り、匂いを嗅ぐ犬夜叉に目を向けた。 一方、少し離れた場所であかねと右京は何やらこそこそと話しこんでいる。 あかね:「どうしよぉ、このままじゃ乱馬達が。」 右京:「せやけど、なんて言う?半端な説明じゃ通用せえへんで。乱ちゃん達の変身体質の事もあるし。」 あかね:「それよね。実際に見てもらえば説明しやすいんだけど、言葉だけじゃねぇ。」 悩みに悩んでいる二人の側へコロンが近寄ってきた。 コロン:「何をこそこそと話しておるんじゃ?」 右京:「ばあさん!?別にこそこそなんてしとらんで。」 あかね:「あ、そうだ。ねぇおばあさん、乱馬達の事かごめちゃん達にどう説明したらわかってくれるかなぁ?」 コロン:「何じゃ、そんな事を話しておったのか。」 呆れたといわんばかりの表情で二人に向かって話をする。 コロン:「そんな事、婿殿たちが見つかってからでも遅くはないわい。それよりも、言わん方が良いかも知れんぞ。」 あかね:「でも、それじゃあ乱馬達と犬夜叉達がどうなっても良いって言うんですか!?」 右京:「そうや、乱ちゃん達を妖怪だと勘違いしとるんやで。もしかしたら、やられてまうかも知れへんのに!」 コロン:「まぁ、落ち着かんか二人とも。このわしが何も考えておらんと思うのか?」 あかね:「そう言われてみれば・・・。」 右京:「そうやな。このばあさんが何も考えておらんちゅ-事はあらへんな。」 少し納得したのか、二人は冷静さを取り戻した。 コロン:「良いか、犬夜叉は必死になって婿殿達の匂いを探しとる。これはありがたい事じゃとわしは思うぞ。」 右京:「どうしてや?」 コロン:「それはだな、匂いを探すのに必死なら、それなりに婿殿達を探してくれるからじゃ。」 あかね:「そっか、そうすれば乱馬達が見つかるのが早くなるって事ね。」 ぽんっと手をたたきあかねはコロンのいう事を理解した。 右京:「ほ~、さすが亀の甲より年の功ってやつやな。」 コロン:「とにかく、このまま何も言わずにおくのじゃぞ二人とも。」 あかね:「うん、わかったわ。」 右京:「ほな、みんなのとこ戻ろうやないか。」 三人は話がまとまりかごめがいる場所に移動した。すると、まもなくして地面に伏せて匂いを嗅いでいた 犬夜叉がすくっとたちあがった。 犬夜叉:「よっし、やつ等の向かった道が分かったぜ!」 弥勒:「ほんとうですか犬夜叉?」 珊瑚:「信用していいんだろうね?」 すかさず、弥勒と珊瑚が近づいていく。 犬夜叉:「ああ間違いねぇ、かすかだがこっちの方に匂いがするぜ。」 弥勒:「そうですか。ですが、そんなに曖昧では確信は出来ませんね。・・・・・かごめさま、ちょっといいですか?」 かごめ:「なに、弥勒さま?」 弥勒に呼ばれたかごめは、少し駆け足で向かって行った。 弥勒:「かごめさま、かけらの気配を感じ取ってみてくれませんか?」 かごめ:「でも、さっきもやってみたけど気配を全然感じ取れなかったわよ。」 弥勒:「ですから、今度はあちらの方角だけに集中してやってみてください。」 そう言って弥勒は、その方角へ指差した。 かごめ:「わかった、やってみる。」 犬夜叉:「けっ、おれじゃあ信用できねぇってのか?」 珊瑚:「いいじゃないか、かごめちゃんも感じ取れれば確信できるんだから。」 かごめがかけらの気配を感じ取ろうと集中する。その横では、犬夜叉が木に寄りかかっている。 かごめ:「・・・・・・・・!!弥勒さまが指差した方に、本当にかすかだけど気配がする。言われなきゃ 分からない位かすかな気配だわ。」 珊瑚:「どうやら犬夜叉の言ってたのは正しかったみたいだね。」 犬夜叉:「だから最初からおれの言う事を信じていれば良かったんだよ!」 犬夜叉はふてくされ、その場に横になった。 弥勒:「はいはい。あかねさま、右京さま、それにコロンさま!行き先がわかりましたので出発しますよ。」 行き先を確認し弥勒は少し離れた場所にいるあかねたちを呼んだ。 あかね:「どうやら、乱馬達の行き先がわかったようね。」 コロン:「良いか二人とも。先ほどの事はくれぐれも注意するのじゃぞ。」 コロンは二人に注意を促し、二人より先に出発の準備をしている犬夜叉達のところへ向かって行った。 あかね:「ま、なるようになるわよね。」 右京:「そやな。ほな、うちらも行こうか。犬夜叉がうるさくなる前に。」 あかね:「そうね。」 二人は、少し苦笑しながら向かって行った。 かごめ:「これから先は、少し歩いて行くけど三人とも大丈夫よね?」 あかねと右京が来るとかごめがすぐに近づいていき、そんな事を尋ねてきた。 あかね:「かごめちゃんが平気なら大丈夫だと思うわよ。」 かごめ:「もし疲れたらいつでも言ってね。すぐに休憩にするから。」 右京:「気遣ってくれておおきに。でも、うちらとしては、はよその四魂のかけらとか言うやつをさっさと探して、 乱ちゃん達探すの手伝ってほしいんや。」 かごめ:「わかったわ。それじゃあみんな、行こっか。」 かごめはそういって全員に出発を促した。 弥勒:「そうですね、そろそろ出発しないとまた夜になってしまいますからな。」 珊瑚:「ほら、行くよ犬夜叉。いつまでもふてくされてるんじゃないよ。」 犬夜叉:「へいへい、わかりましたよぉ。」 犬夜叉は面倒臭そうに起き上がった。 弥勒:「そう言うな犬夜叉。かごめさまがはっきりとかけらの気配を感じ取れるまでは、お前が頼りなんです。 ですから、しっかりなさい。」 犬夜叉:「お、おぅ。そこまで言うんなら仕方ねぇな。そんじゃあ、かごめがはっきりと気配を感じ取れるまで おれが先導すっから、ちゃんとついてこいよな。」 七宝:「任せて大丈夫じゃろうな?」 弥勒:「これ七宝、そう言う風に言うものじゃありませんよ。ここはおだててその気にさせないとまた夜になって しまいます。そうしたら、奈落の行方どころかあかねさま達の探し人を探すのも遅くなってしまいます。」 弥勒は七宝の耳元にしゃがみ込み小さな声で話をした。 七宝:「確かにそう考えるとおだてるのは良い考えじゃな。犬夜叉は単純じゃからすぐその気になるしのぉ。」 と七宝も弥勒にひそひそと話を返した。だが、その七宝の声は犬夜叉にも聞こえていたのであった。 犬夜叉:「おいこら。だれが単純だってぇ?」 七宝:「それはもちろん犬夜・・・痛っ!?何するんじゃ!」 七宝が答え終わる前に犬夜叉が七宝の頭を殴りつけたのだった。 犬夜叉:「ふんっ、自業自得だ。」 そう七宝の頭を殴ったあと、犬夜叉はすたすたと行ってしまった。 犬夜叉:「もたもたしってと、おめぇら置いてくぞ。」 弥勒:「分かりましたよ。それと、七宝。今度からはこう言う事はもう少し小さな声にしなさい。」 七宝:「おらも今そう思ったとこじゃ。」 犬夜叉の後ろを頭を押さえながら歩いていく七宝に弥勒が助言した。 弥勒:「かごめさま、犬夜叉がもう待ちくたびれて行ってしまったのでそろそろ行きましょう。」 弥勒はそう促すと犬夜叉の後に続いて歩いて行った。 かごめ:「そうね。さ、あかねさん早く行って乱馬さん達を見つけましょ。」 あかね:「ええそうね。早くみつけてもとの時代に戻らなきゃ。」 珊瑚:「ところでさぁ、その乱馬って言う男はどうゆう人なんだい?」 右京:「それならうちが歩きながら教えたる。で、教える代わりに・・・。」 珊瑚:「何だよ、代わりって?」 珊瑚の頭に?マークが浮かぶ。 右京:「珊瑚あの法師が好きなんやろ?あいつのどこがええんか教えてくれへん?」 珊瑚:「な、何いってんのさ急に!?あたしは別に///////。」 珊瑚は顔を真っ赤にして慌てふためいている。 あかね:「あ、良いわね。それじゃあ、かごめちゃんにも犬夜叉のどこが良いのか聞いちゃおうかなぁ?」 かごめ:「え、え?わ、私も?」 珊瑚同様、かごめも顔を真っ赤にして慌てふためく。顔を赤くする姿の二人は何とも言えぬ 可笑しさで、ついあかねと右京は笑ってしまう。 あかね:「二人とも、顔真っ赤ぁ~♪」 右京:「ははっ、そんな照れんでもええのに♪」 かごめ:「じゃあ、乱馬さんのどこが良いのか二人の話も聞かせてよ。」 かごめが打って変わって反撃に出る。 珊瑚:「かごめちゃん良いねそれ。」 かごめ:「でしょ~。私達だけじゃ不公平だもんね♪」 あかね:「そんなぁ、別に私は乱馬のことなんか///////。」 右京:「うちは、まぁ別に構へんけど。」 かごめ・珊瑚の様に顔を赤くするあかねの横で右京は平然とそう答えた。これに、三人はえ?っと 聞いてきた。中でも一番あかねが驚いていた様だ。 かごめ:「へぇ、さっすが許婚。だけど、許婚でもあかねさんの反応のが普通かも・・・。」 右京:「だって乱ちゃんはうちがまだ小さかった頃から好きな相手なんやで。それに第一、他にも 乱ちゃんの事好きな女は、うちだけじゃあらへんし、もたもたしとったら取られてまうからな。 でもまぁ、やっぱ他人に話すのは少し恥ずかしいかな///////。」 珊瑚:「(それだけはっきりと好きだと言って恥ずかしいもんなのか?)」 あかね:「(右京って改めて聞いてみると、乱馬の事すっごく好きなのね。・・・私もがんばらなきゃ。)」 コロン:「ほれほれ、ここで色恋事の話をするのは良いが、このままじゃと置いて行かれてしまうぞ。」 話に盛り上がっている四人にコロンが声をかけた。 かごめ:「あ、いけない。急いで追いかけなきゃ。」 珊瑚:「ホントだ、急ご。」 あかね:「うん。」 話を急遽中断し、五人は急いで犬夜叉達を走って追いかけた。 右京:「ばぁさん。気付いてたんならもっと早くに言ってや。」 コロン:「ほっほっほ、盛り上がってる所を邪魔するのは悪いと思ってな。」 しばらく走っていると視界に犬夜叉がいらいらして待っているのが入ってきた。 犬夜叉:「おせぇーぞ!!」 かごめ:「ごめ~ん、ハァハァ、なんか話が急に盛り上がっちゃって・・・。」 犬夜叉:「ったく、今度またこうだったら本当に置いてっちまうぞ。」 かごめ:「・・・・・・・・・・。」 かごめは犬夜叉の顔をじっと見つめていた。 犬夜叉:「な、何だよ?じろじろ人の顔みてんじゃねーよ。」 かごめ:「あ、いや、別に何でも。・・・・・(う~ん、どこが良いって言われてもねぇ。)」 かごめは犬夜叉の顔を見つめたまま、考え込んでしまった。見られている犬夜叉はと言うと、 顔を少し赤く染めそっぽを向いている。 珊瑚:「・・・・・・・・・。」 弥勒:「どうしたのです珊瑚?私の顔に何かついてますか?」 弥勒は珊瑚が自分の顔をじ~っと覗いていたのを疑問に思ったので尋ねてみた。 珊瑚:「え?いや、別にその~、何でもない///////。」 珊瑚はくるっとまた顔を赤くして弥勒に背を向けた。 珊瑚:「(やだ、何やってんだろあたし?あかねちゃん達の言った事意識しすぎ・・・・・ッ!?)」 珊瑚がフッと我に返った。それは、弥勒が自分の尻を撫でているのに気付いたからだ。 珊瑚:「ちょっと法師さま、何してるのさ?」 弥勒:「いや、私はお前の様子がおかしいから、少し気になりまして。」 珊瑚:「だったら他に、やり方はないのかーっ!?」 パシンッ!っと威勢のよい音が辺り一面に鳴り響いた。 珊瑚:「はぁ~・・・(これさえなければ、良いんだけどなぁ。)」 珊瑚は落胆した様子でため息と共に肩を落とした。その様子を見ていた七宝が気になったようで あかねが何かを知ってると思いあかねにかごめたちの事を尋ねてきた。 七宝:「あかね、かごめと珊瑚は一体どうしたんじゃ?いつもと様子が変だぞ。」 あかね:「さぁ、わたしにはよく分からないわ。ね、右京?」 右京:「そや、うちらにはさっぱりわからへん事やなぁ。」 七宝:「???」 七宝は怪しいと思いつつも頭に?マークをいくつも浮かばせた。 コロン:「ほっほっほ、若い者といるとこっちまで若返った気分じゃわい。」 八宝斎:「お姉ちゃ~ん、どこにおるんじゃ!?」 八宝斎が現在いる場所は、パンスト太郎が得た情報の寺の境内。だがそこには、教えられた人物は おらず、代わりに怪我をして手当を受けている者しかいなかった。 八宝斎:「なんじゃい、パンスト太郎め。デマを教えおってからに。どこにも若い姉ちゃんなど おらんではないか。おるのは、傷ついたむさい男ばかり・・・。これは、あとでお仕置きじゃな。」 辺りを見回して巫女がいないのを確認すると、残念そうに舌打ちをして八宝斎は寺の縁側に座って、 キセルをふかし始じめ、空をぼ~っと眺めた。 八宝斎:「ふぅ~。しょうがない、パンスト太郎がここに来るまでしばらく一休みでもするかの。」 と、そのまま十分位ぼ~っとしていたら、境内に誰かが入って来るのが見えた。 八宝斎:「パンスト太郎じゃな。やっと来おったか。」 八宝斎は、ぶつくさ言いながらパンスト太郎と思われる人物の側へ歩み寄っていった。 八宝斎:「こりゃ、お前の言っていた巫女のお姉ちゃんなど、どこにもおら・・・・・あ~?」 近づいて行ってみるとパンスト太郎と思われる人物は、巫女装束を着た若い女性だった。 巫女:「ご老人、どうかされましたか?」 八宝斎:「・・・あ、いや、何でもないんじゃ。・・・・・ところで、お前さんはここで何をしておるんじゃ?」 巫女:「私ですか?私はここで傷ついた方々の手当てをしておる巫女ですが。」 八宝斎:「ほぉ~、それはご苦労じゃな。(この姉ちゃんじゃな。さっきの姉ちゃんよりずっと美人じゃわい。)」 そんな事を考えながら八宝斎は早速四魂の玉の件を話し始めようとした。 八宝斎:「つかぬ事を聞くが、お前さんは聞くところによると妖怪の類いに長けているらしいのぉ。」 巫女:「はい。私も巫女の端くれゆえ多少の事は存じております。」 八宝斎:「それなら、四魂の玉と言うのを知っておるか?わしは理由あってそれを探しとるんじゃが。」 巫女:「四魂の玉・・・・・?」 巫女は四魂の玉と言う言葉を聞いた途端、急に顔をしかめた。 八宝斎:「どうしたんじゃ急に。顔色がおかしいぞ。」 巫女:「いえ、何でもありません。ご老人、どうして四魂の玉などお探しに?」 八宝斎:「それは、世界中のブラ・・・いや、悪しき者の手に渡らせない為じゃ。」 八宝斎は、本当の目的である世界中のブラジャーを集めるためとは言えず、とっさに思いついた事を答えた。 巫女:「ほ~、それはそれは。大変な苦労ですね。」 八宝斎:「そうじゃが、わしは一刻も早く四魂の玉を見つけ出し、この無益な争いを終わらせねばならぬ。 そこでなんじゃが、どこに四魂の玉があるのか知っておったら教えてくれんかのぉ?」 またもや心にもない事を言って、さりげなく本題の質問を尋ねた。 巫女:「残念ながら、四魂の玉はかけらとなって、国中に散らばっていて何とも言えませぬ。」 八宝斎:「な、なんと。しょんなぁ~。」 八宝斎は、あまりのショックで地面にひざをつかせてしまった。 八宝斎:「(あ~、これではわしの計画がぁ・・・。世界中のブラジャーとパンティーがぁ・・・。)」 そんな八宝斎をみかねてか、巫女はある提案をした。 巫女:「ご老人。それでしたら、かけらを集め元の形に戻す旅をなさったらどうです?」 八宝斎:「何!?そんな事が出来るのか?」 巫女:「全てそろえばの話ですけど。」 その事を聞いた八宝斎は、やる気の炎を背中に出して立ち上がった。 八宝斎:「そうか、わかったぞい!すべての四魂のかけらを集めれば良いんじゃな?」 巫女:「はい。」 八宝斎:「よ~っし、早速探しに行くぞい!!」 そう言って八宝斎は意気揚揚と歩き始めた。だが、数歩歩くと涙を流して振り向いた。 八宝斎:「グスン。わし・・・・・かけらがどこにあるのか分からん。」 巫女:「それでしたら、私と一緒に行きませぬか?私もここの怪我人方の手当も済みまして、これから他の村へ 行こうと思っていたところですから。」 それを聞くと八宝斎は泣くのを止め輝きに満ち満ちた目をした。 八宝斎:「うん、行く♪」 巫女:「では、仕度をするので、しばらくここで待っていてくださいな。」 八宝斎:「うん、分かった。」 そう言って巫女は社の中へは入って行った。八宝斎はそれを見届けまたキセルをふかし始めた。 八宝斎:「ふ~っ、これからたのしくなりそうじゃのぉ。グフフ・・・・。」 ???:「何が楽しくなりそうなんだ、じじぃ?」 不意に後ろからそう話しかけてくる声が聞こえてきた。 八宝斎:「何やつ?・・・・・なんじゃ、パンスト太郎ではないか。遅かったのぉ。」 パンスト太郎:「くっ、このじじぃは・・・。まぁいい。で、なんか分かったか?」 八宝斎:「お主の言ってたとおり、若くて美人の姉ちゃんがいたぞい。」パンスト太郎:「そうじゃねぇ!!四魂の玉についてだ!!」 いらいらとした口調でと言うか怒った口調で怒鳴りつけた。 八宝斎:「そう慌てるでない。そのことならもう大丈夫じゃ。」 パンスト太郎:「・・・どうゆう事だ?」 そう尋ねたのと同時に社の中より先ほどの巫女が馬を一頭引き連れて姿をあらわした。 巫女:「それではご老人、行きましょうか。ん、そちらのお方は?」 八宝斎:「こいつは、わしの連れでの。パンスト太郎と言うんじゃ。」 パンスト太郎:「ば、ばか!?その名を人前で呼ぶんじゃねぇ!!」 慌ててパンスト太郎は、八宝斎を掴んだ。 八宝斎:「良いではないかそのくらい。」 パンスト太郎:「良かねぇ!!現にこの女もおれの名前聞いて笑って・・・・・ねぇ。」 パンスト太郎は自分の名前を聞いても笑っていない姿を見て驚き、しばしあっけに取られた。 巫女:「どうかされましたか?」 パンスト太郎:「ハッ・・・。おい、どうしておれの名前を聞いて笑わないんだ?」 巫女:「なぜ、私が笑わなければならないのです?」 巫女はパンスト太郎の質問の意味がわからず、そのまま返す。 パンスト太郎:「名前がパンスト太郎なんだぞ。普通聞いたら笑うぜ!?」 巫女:「確かに変わっていますが、おかしい事で?」 パンスト太郎:「は、初めてだ。生まれてからおれの名前を聞いて笑わなかったのはあんたが初めて・・・ぶっ!?」 感激に浸るパンスト太郎の頭に八宝斎が降ってきた。正確に言えば蹴りをいれて来た。 パンスト太郎:「何しやがる!?」 八宝斎:「ええい、やかましい!一刻も早く四魂のかけらを集めだし、元に戻さなくてはならないのじゃ。 それを、いつまでもここでグズグズしておるつもりか!!?」 パンスト太郎:「お、おぅ。」 パンスト太郎は八宝斎の凄まじい威圧感に無意識にたじろいでしまった。 八宝斎:「では、行こうかのぉ♪なぁ、どこに行くんじゃこれから?」 八宝斎は猫なで声で巫女に歩み寄った。 巫女:「さぁ、とにかく行きましょう。」 そう言って巫女は馬にまたがり、ゆっくりと歩き出した。その横に並んで八宝斎達も歩いていく。 八宝斎:「なぁ、姉ちゃん。自己紹介がまだじゃったのぉ。わし八宝斎。よろしくな。」 パンスト太郎:「おれは・・・さっき言った通りだ。」 パンスト太郎は自分の名前を言うのが抵抗があるらしく、そう答えた。 巫女:「八宝斎殿にパンスト太郎殿・・・。私は桔梗。桔梗と申します。」 (第八話・完) 目次へ 次のお話へ