No. 206/1090 Index Prev Next
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From: toda@lbm.go.jp
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Subject: Re: HTMLのIMG SRCについて
Date: 26 Jun 2000 02:08:23 GMT
Organization: Lake Biwa Museum, Shiga Prefecture, Japan
Lines: 77
Message-ID: < 8j6dun$3rm@nws-7000.lbm.go.jp> 
References: 
	
	
	< xt5llmztsn0y.fsf@shell.al.rim.or.jp> 
NNTP-Posting-Host: nws5000.lbm.go.jp
X-Newsreader: mnews [version 1.22] 1999-12/19(Sun)
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In article < xt5llmztsn0y.fsf@shell.al.rim.or.jp>  syd@tt.rim.or.jp writes:
>"Juliet"  writes:
> >  さらに、画像の著作権に関して、
> >  「おれは、著作権に違反してないんじゃー。
> >  なぜなら、俺のページには、
>> > > 
> >  としか、書かれてないべした」
> たしか、自分のページのフレーム内に新聞社などのページを
> 見えるようにした (別フレームの広告バナーで儲けようとした)
> 会社が負けたという判例があったような。
> # 国内だったか国外だったか、定かではないんですが
アメリカ合衆国のどこかの州だったのでは?

確か「著作権(複製権)」ではなく「著作者人格権(同一性保持権)」の
侵害であると認めた判決だったと思います。

リンクという操作が「参照情報の提示」に過ぎない以上、
リンク自体が著作権(狭義の著作権=財産権的著作権)の侵害になることは、
おそらくどの国の著作権法でも有り得ないのではないかと推察します。
原理的には、リンクすることによって端末操作者に不法複写させた
という論理で「著作権侵害の幇助」を問うことは可能かもしれません。
ただ、元々インターネット上でhttpで公開している情報であれば、
全ての人に「端末画面上への複写」を暗黙のうちに許諾している
と看做されると考えられますから、この理路はまず成立しないでしょう。

そういう意味で、この判決が「(狭義の)著作権」を全く問題にせずに
専ら「著作者人格権」の侵害について判断したのは当然でしょう。
で、新聞報道を読んだ私の記憶によれば、争点になったのは、
	著作物自体には全く手を加えずに
	他の著作物等と並べて配置することが
	同一性を損い得るかどうか
ということだったようです。それに対して、
	配置することによって当該著作物の「印象」を変えることになれば
	それは同一性を損ったことになる
という判断が示されたわけです。
まあ「著作者の名誉や声望を害する方法による利用」が
「人格権侵害にあたる」と日本の著作権法でも
わざわざ規定しているわけですから、
その考え方の流れから言えば妥当な判断だとは言えるでしょう。
ですから、今後、日本の裁判所でも問題になった場合に
同じ判断が下される可能性は高いと思います。

#話の本筋からは外れますが、
#日本の著作権法における「同一性保持権」の定義は
#どうにでも拡大解釈可能な危険な規定だと思っています。
#実際には判例や慣例などで、かなりしっかりと
#妥当な判定基準が作られているようですが……

ところで、1つ気になっていることがあります。
	配置することが同一性保持権侵害
だとすれば、
	侵害者(=配置した行為者)は誰か
ということが重要だと思うのですが、
これが少々厄介なんですよね。

この問題を紙メディアに置換えれば、
バナー広告(?)で作られた枠を印刷し、
その中に誰かの著作物(の正当に作られた複写物)を
貼り込んだのに等しいわけです。

枠を印刷した者が貼り込んでから配布したのであれば、
印刷して配布した者が侵害者になるでしょう。
では、枠を印刷した者が「ここに誰々のこの写真を貼り込んで使ってね」
と指示し、受け取った者がその指示に従ったら?
枠を印刷した者は高々「幇助ないし教唆」のような気がします。

ところが、これが電子メディアになると、
見かけ上の行為者(=ブラウザを操作した者)の意思とは無関係に
「自動的に」著作物等が画面上に配置されてしまう状況が普通です。
即ち、ブラウザを操作した者に過失や故意が認められない状況ですね。
この場合、そういうフレームを定義したファイルを作って
送信可能化状態に置いた者が「配置の行為者」になるのでしょうか?
いわゆる「道具の理論」の適用になるのかな?
いまひとつ自信が持てません。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp
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