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To: followup@kanai.ie.u-ryukyu.ac.jp
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Newsgroups: fj.rec.sf
Subject: Foundation's Triumph __ David Brin
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Reply-to: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
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Date: Sun, 23 Sep 2001 15:44:10 +0900
Message-ID: < 10039.1001227450@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
Sender: kono@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp

河野 真治@琉球大情報工学です。

1999 年出版だから、あぁ、なんか、読むのに 2 年もかけちまった
い... たぶん、「ファウンデーションの勝利」という邦題になるん
でしょう。もう邦訳は、でてるのかな? 

ご存知「銀河帝国三部作」のアシモフでない奴の続きの最終巻です。
既に邦訳が出ている、ベンフォードの「Foundation's Fear」、
ベアの「ファウンデーションと混沌」に、がっかりしていた人は、
もう期待してないかも知れないですね。

この間に、確か、「Foundation's Friends」とかいう、アシモフで
ない人が書いた、短篇集もあるはずなんですが、そっちは邦訳でない
のかな。つい、うっかり、ペーパバックを買いそびれてしまったので。

ベンフォードのは、かったるくて、内容が無くって読めたものではな
かったんだよな... ベアの方が少しはましだったのですが、やっぱり、
3部作の真中はむずかしい。

というわけで、ブリンなわけですが、晩年のハリ・セルダンが、地
球探しの旅に出るという、どちらかといえば、「Foundation's Edge」
に対応する話になっています。ハードカバー300pageなので、割り
と短いし、テンポも良いです。さすがブリン。しかも、割りと、ア
シモフのスタイルを踏襲して書いているところがある気がします。
もともと作風も似ているしね。特に、セルダンとダニエルの会話の
シーンなんかは、晩年のアシモフのそれを彷彿とさせます。

これを読めば、前作2作は読む必要がない感じ。巻末に年表がついて
いるんですが、良くできすぎ。年表を先に読んではいけません。

しかし、この本は、99年の楽観的なアメリカの産物って気もする。
今のアメリカを見ていると、人類に未来はないなって気がします。
僕達は、銀河帝国を作ることはできないんですね。

バクスターの「Time」を読んだ時にも、「もう既にあきらめてしま
った宇宙開発を、ぎりぎりで甦らせる」みたいな感じを受けたけど、
もう、宇宙開発って終っているんだよね。ロケットの技術も失われ
つつあるって感じ。ISS になんかの事故が起きたら、それで終り
ってところですか。

インターネットが、人間のどうしようもない政治的混乱を解決する
なんていう話もあったけど、それと、ガイアや第二ファウンデーシ
ョンとかは並行しているような気がする。そして、人間は、あまり
に馬鹿なので、それを選択できずに、産めよ増やせよで、資源を浪
費し、戦争をし、資源が枯渇するにしたがって滅んでいくだけなの
でしょう。ま、それが「カーター・カタストロフ」ってことなんで
しょう。そういうイメージは「静かな太陽の年」のイメージかな。
そして、それが、現実的なイメージだってのが悲しいです。

あんまりねたばれっていうほどでもないんだけど、一応 ....



ブ
リ
ン
は
な
ん
だ
か
な
ぁ


あ
い
し
ょ
う
が
わ
る
い



全体的に、ブリンの解釈 (なのかな、一応、3人で議論したんだろ
うか?) が全面に出ていて、ファウンデーション・シリーズのねた
ばれ集みたいな所がちょっとあるんですよね。それは無理筋だろっ
てのも少しありました。カオスの扱いとか、アムネジアの話とか。
ブリンは、やはり、多様性の信者だから、アシモフのガイアの選択
を、あんまり快く思ってないのかも知れないですね。

でも、割りと読後間は悪くないんだよな。それは、セルダンが納得
しているので、そう感じるのかも知れない。まぁ、「結局は、何も
起きない」話だってのは、この時点を選んで書いたことで決まって
いるわけだし。

ただ、ロボットのセクショナリズムの話は結構面白いかったかな。
実は、ガイアの裏で、ロボット達が勝手にいろんな文化を作ってい
るのが、第二銀河帝国なのかもね。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
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