No. 69/305 Index Prev Next
To: followup@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji Kono)
Newsgroups: fj.rec.sf 
Subject: The Terminal Experiments __ ターミナルエクスペリメント
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Reply-to: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
Date: Wed, 05 Nov 1997 04:13:41 +0900
Message-ID: < 3969.878670821@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
Sender: kono@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp

河野 真治@琉球大情報工学です。

なんとなく「ドサディ実験星」を思い浮かべるタイトルですけど、
星がThe を表すなら「ターミナル実験星」の方が良かったか? 

なんて馬鹿なことはともかく、さすがに良く書けてますね。いっき
に読ませて、それなりに考えさせる、しかも、それほど重くない、
暗くない、これで受けなければ嘘だって感じの作品でした。

この本の後半のテーマは、SFではおなじみのコンピュータ内でシミ
ュレーションされた人格ですけど、これ自身は、いろんなSFで既に
書かれています。ゲートウェイ4とか、古くは、ユービックとか。
人に写す話だと前世再生機とか。新しいわけではないけど、古くも
感じないかな。

現実には、どうなんでしょうね。もし、ニューロン単位のシミュレ
ーションで良いなら人レベルのものも今の技術で実現可能だと思い
ますが、コピーは無理だろうな。僕は、人格シミュレーションはニ
ューロン単位ではだめで、DNA単位だろうなと思います。とすると、
10年ではちょっと無理でしょうね。

以下はねたばれですが...



妻は解説がまとはずれとかいっていたけど、それほどはずれでもな
いかな。でも、ただ、単に読みやすい、わかりやすいだけの作品で
はないですね。

終りの部分とかは共感できるものでした。一種の科学的説明のつい
た宗教ですね。こう考えている人は多いんじゃないかな。

どうも、前半の魂波の話と後半のシムの話がいまいちつながってな
い。殺人とかからめなくて、キャシーをシャワーでからかうだけに
すると、もっと短くて完成度が上がる気がする。つまんなくなるけど。

シムに魂波があるかどうかってのが、当然議論になると思ったし、
魂波がシムに移動するとかの話があるべきな気もしたのですけど、
それはなかったな。不死人たちのいる社会はどうなるのとか、シム
たちはどうなったかとか、殺し屋とか、あまり完結してない話です
ね。

魂波測定の部分がすごくリアルなのに、サンドラ(シム)の活躍が
短いのがとても残念。作者には、そこを書くだけの根性が尽きたか....
あるいは、「仮想世界刑事サンドラ」シリーズとかがでるんでしょ
うかね。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
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