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To: followup@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Newsgroups: fj.rec.sf 
Subject: Time __ Stephen Baxter
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Reply-to: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
Date: Fri, 02 Feb 2001 19:17:00 +0900
Message-ID: < 5674.981109020@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
Sender: kono@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp

河野 真治@琉球大情報工学です。

1999 Feb だから2年前の作品ですが... これは名作だと思います。
最近、英語で買っても、だるくてめげてしまうのが多かったんだけ
ど、こいつは、ちょっと途中でやめれられないタイプの話ですね。

エンマとマルファントという離婚した夫婦を中心に話が展開し、200
年後に人類が滅ぶという「カーター・カタストロフ」という実在す
る数学的予言がメインのテーマになっています。しかし、それは、
この話の一部でしかなくて、未来からの干渉とか、次から次へと、
まぁ、よく、いろんなことを考えるものだっていう感じです。でも、
ジェットコースターというわけでもないんです。

書いている形式が、「さまざまな人の立場から三人称で書く」とい
うもので、これも効果的だと思いました。ザッピング的な感じです
ね。

「カーター・カタストロフ」に関しては、あまりの説得力に絶句
という感じなんですが、いくつか逃げ道も思い付いたんだけど、
ま、どうでもいいことのような気もする。

未来からの干渉っていうと、なんとなく「果てしなき時の流れの果
てに」みたいな感じだし、「2001年宇宙の旅」みたいな所もあるし、
「地球幼年期の終わり」みたいな感じもするし、あるいは、「ゲイ
トウェイ」みたいな感じもあるんだけど、結局、どれとも違う話に
なっているところが良いです。まぁ、「いつもバクスター節じゃん」
と言われれば、それもそうなんだけど... 

既に、Space という続きというか同じ系列の本が出ているようです
ね。こちらは、「宇宙人がいるなら、既に、コンタクトしているは
ずだ」というパラドックス(?)に関する話らしい。(それも買ってし
まったのだが、いつ読み終わるかは未定....) 

で、一応... ねたばれってほどでもないんだけど...















どうも、この小説って「時間がおかしい」気がする。こんなに早く
話が進むわけないじゃんって感じですね。ま、それだけ、この世界
が時間を使い尽くしてしまっているということでもあるのかも知れ
ないけど.... この小説の1ヵ月が普通の数年に対応する感じ。

ちょっと感じたのは「カーター・カタストロフ」って、どの時代の
人でも「200年後に絶滅」みたいになるはずで、それがちょっと反映
されてなかったかな。

イカで宇宙征服ってのはナイス! すばらしいアイデアです。一方で、
子どもたちの方の話は、ちょっとずれている感じがしました。いろ
んな意味で。まぁ、それは、そういう狙いなのでしょうけど... 

未来からの通信が「トランザクションみたいなもの」っていうのに
は、あんまり納得できませんでした。ま、そんなものだよな。でき
るとすれば、そんなものっていうことなのかな。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
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