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To: followup@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Newsgroups: fj.rec.sf 
Subject: ボーア・メイカー  The Bohr Maker
References: < 22633.954915172@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp>  
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Reply-to: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
Date: Sun, 16 Apr 2000 23:04:24 +0900
Message-ID: < 8900.955893864@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
Sender: kono@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp

河野 真治@琉球大情報工学です。

リンダナガタの「ボーア・メイカー The Bohr Maker」(早川)も読
み終りました。これもとっても良かったです。

これもなんかタイトルに極微機械(ナノマシン) が入っていたので
敬遠していました。後ろの要約には、「天才分子デザイナーでテロ
リストが作った違法な分子機械が盗まれて、偶然、スラム街の女性
に.... 究極のナノテクがもたらす未来世界の驚異を描く...」とか
書いてある。

これじゃ売ってても僕は買うわけないよね。マイケル・クライトン
みたいな、くだらんアクションものだろうと思ってました。ところ
がぎっちょん、全然違うじゃん。どちらかといえば、ワイドスクリ
ーンに近い話でした。ナノマシンとか書いてあるけど、やっぱり、
はっきり関係ないですね。おそらく原書には一言もナノマシンなん
て書いてないに違いない。僕は、ブラッドミュージックにすごく近
いし、話の面白さでは、こっちが勝っているところもあると思う。

「幻惑のナノマシン」もタイトルが良くないけどさ、英語のタイト
ルもあんまり良いとは言えないよね。このボーア・メイカーも、こ
のタイトルでは何がなんだか良くわからないよね。そこで、あんな
タイトルにしたんだろなぁ。そういう意味では、仕方ないのかな。
なんか、一つのタイトルに収まらないような話を書く人ですね。

もちろん、Maker には、創造主という意味があるので、英語文化の
人には、この本の持つ宗教的な意味が伝わるはずですけどね。

巨大な生物学的小惑星構造物「夏別荘社」を作ったフォックスと、
その息子のニッコー。しかし、ニッコーは、遺伝子改造された自分
の体、故に、もう長くは生きられない。そこで、万能の分子機械で
あるボーア・メイカーを手に入れようとするのだが、カースティン
警察長官は、それを阻止しようとする。しかし、夏別荘社には、ま
た、別な思惑があって、話は単純には進まない。

とかかいても、いまいち面白さは伝わらないか...

分子機械(メイカー)とかよりは、実は、脳内仮想現実みたいな
幽霊とか柩房の方が重要な役割を果たしていて、そっちの方が
面白いですね。でも、これは、かなり SF 慣れしてないと、
入り込めないんじゃないかなぁ。

ただ、実際にそんなものが可能になっても、現実にそんな使われ方
をするかどうかは、わかりませんけどね。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
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