No. 967/1090 Index Prev Next
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From: Ritter ABC
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Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Fri, 29 Sep 2000 21:21:21 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 166
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NNTP-Posting-Date: 29 Sep 2000 12:21:22 GMT
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こんにちは。
Hideaki Iwata さん wrote:
> > 私は、今日、田村先生の本を購入しました。
> > もちろん、「制限」という言葉は、使用されています。
> > ところで、「本来」著作者が有する権利を制限しているとどこに記載されてい
> > るのでしょうか?
> >
> > 御指摘頂ければ幸いです。
>
> 「著作権法概説」 田村善之 著/有斐閣 1998年 167頁
>
> ----------------------------------
> 30条は、著作物が通常利用される市場を侵奪することなく、著作権者の
> 利益を不当に害しない場合に、同盟国の法令で複製権を制限することを
> 認めるベルヌ条約9条2項(WIPO(黒川訳)・ベルヌ条約逐条解説61頁〜
> 63頁参照)を具体化した規定の一つとして位置づけられている。
> ----------------------------------
この説明の前半部分は条約の説明であって、その部分の記述がどうして法30
条の直接の説明になるのですか?
しかも、その記述も「同盟国の法令で複製権を制限することを認める」となっ
ており、加盟国が複製権の範囲を制限することを認める、つまり、我が国の著
作権法が「著作権の制限」として「複製権の範囲」を限定していることと条約
の整合性を述べているのであって、むしろ、私が述べているとおりのことです。
どこにも「著作者の有する複製権を制限する」といった表現をしていないでは
ないですか。
まして、「本来著作者が有する複製権を制限する」などとは記述していません。
田村先生の著書のどこにそのような記述があるのですか。
> ちなみに同頁ではこの様にもおっしゃってます。
>
> 「そこで、著作権法は私的複製を著作権の権利範囲の外に置くことに
> した」
>
> この表現はどちらとも取れますね。だからこそ、コンメでは1または
> 4の類系、と説明しているのでしょう。
そう、田村先生は、正にそのように言っておられるのです。
それは、私が何回も述べて来たとおりのことではないですか。
つまり、著作権法は、私的複製(30条)を著作権(複製権)の権利範囲の外
におくことにしたということは、複製権は、私的複製(30条)には及ばない、
それは、法律によってそのように切り分けられている、ということであって、
私が述べていることそのものです。
岩田さんが指摘された部分には、30条は、「本来」著作者が有する権利を制
限しているとは、全く書かれていないではないですか。
私が何回も述べているように、私が読んだどの本も私と同じ趣旨を述べている
のであって、岩田さんが指摘された田村先生の本は、むしろ、そのことを正確
に記載しているではないですか。
小倉さんが金井さんと一緒に編集された「著作権法コンメンタール上巻」(東
京布井出版)の30条の解説も同様です。
岩田さんは、自説を自分の言葉で全く説明せず、他人の著書の記述を自説の根
拠にしようとしているのですが、逆に、岩田さんが挙げられたどの本も私が述
べているとおりのことを述べているではありませんか。
もっとも、岩田さんの最新の投稿を拝見すると、ほぼ御自分の誤りを認識され
たようで、用語が次第に正確になっていますね。
もう少しですよ。
> 学者が論文とか著書を記す時は、使う用語一つ一つを丹念に検討し、
> 使い分けが必要な場合は細心の注意を払って使い分ける。
> 逆説的に言えば、そういった努力が不十分な著書なり論文は、世間
> では高い評価を受けない。
もう、お分かりだと思いますが、むしろ、他人の著書の記述を正確に読まず、
記述の中の一部の文言のみを自己流に勝手に解釈して、独自の見解を滔々と述
べて来られたのは、岩田さん御自身ですよ。
> ABC氏の主張がコンメでは適用できない理由は前述した通り。
> コンメが提示している「権利の制限」の4類系のうち、1は確かに
> 「本来的に著作権者が有する権利の範疇に含まれないケース」と
> 述べているが、他の三つは「何らかの理由で権利を制限している
> ケース」としているから。
>
> # だから1では「制限」って言葉を使っていない。他の3つは
> # 「制限」って言葉を使っている。
>
> つまりコンメでは、「権利の制限」には大きく二種類のケースが
> あると論じている。その理由は別記事で述べた通りだと推測できる。
そのコンメンタールは、私と同じ見解に基づいて記載されていることは私が繰
り返し述べていることであり、編者の小倉氏もそのことに対して全く異議を述
べておられないではないですか。
その4つの理由というのは、大体、どの本にも記載されていることであって、
どれも、複製について、「著作権の制限」すなわち、著作者の複製権に含める
部分と一般利用者の自由利用として残す部分との切り分けをする理由(立法理
由)を述べているものです。
コンメンタールは、30条以下の「著作権の制限」の規定が、「本来著作者が
有する著作権を制限する規定である」などとは一言も述べていません。
> 仮に、「作花氏の説を受け入れるのが法律の専門家への第一歩」
> であるのならば、コンメの30条部分を担当された桑野氏は「法律
> の専門家」ではない、という結論になる。
> その様な人物を著者に選定した小倉氏や金井氏も、責任は重大(^_^;;)
私は、作花氏の説を受け入れるようになどと言っていません。条文を見て、自
分の頭で考えれば、当然にそのようになると言っているのです。
何度も述べているように、桑野氏は、私と同じことを述べておられるのです。
私は、最初から一貫してそのように述べています。
桑野氏の記述を自己流に勝手に解釈して、「桑野氏は法律専門家ではないとい
う結論になる」などど記述するのは、桑野氏に失礼ですよ。
> 作花氏の主張は私にとって初耳だったが、そういった説があること
> は良く判った。しかし世間では、そういった説に寄らない説も多々
> 存在する。私から見れば法律の専門家と見える人も、作花氏とは
> 違った見解から著書を記している。従って、作花氏の説を受け入れ
> るか否かをもって、法律の専門家の「踏み絵」とするABC氏の説は
> 受け入れられない。同時に、「法律の専門家」を自称する姿勢も
> 個人的には受け入れられない。
>
> です。
そういった説に寄らない説も多々存在するとはどういうことでしょう。
岩田さん以外にどこにおられるのでしょうか?
多々存在するという以上、その根拠を挙げてください。
田村先生の著書の記述は、誰が読んでも、岩田さんの言われるような内容では
ありませんよ。
私は、作花氏の説を受け入れるか否かをもって踏み絵などとしていません。
岩田さんに、自説の根拠を示すように求めているだけです。
> # 私は宗教は嫌いです(^_^;;)
> # ある書籍をもって聖書とし、そこに書かれていることは無条件に
> # 信じる様、強制されるのは大嫌いです:-)
自分で理由付けもできず、また、理由付けをした文献を挙げることもできない
結論に固執しているのは、岩田さん御自身ではありませんか。
そして、審議会の報告書の記述(そこには理由が記載されておらず、根拠条文
さえ挙げられていません。)のみを根拠として、それを信じ切っているのは岩
田さんの方ではありませんか。
また、私は、作花氏の著書を参考資料として挙げたのみで、岩田さん
にその本を聖書にしろなどと言った覚えはありません。良い本だからと勧めた
ことはありますが。。。
もちろん、田村先生の著書も良い本だと思います。むしろ、私は、現在はそち
らの方を良く読んでいます。
私は、条文に基づいて十分な理由付けをしています。
これが宗教でしょうか?
条文を拠り所にし、理由付けをした上で結論を導く、それが法律解釈の基本で
す。
法律論 大歓迎!
--
Ritter ABC
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