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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: 27 Sep 2000 19:17:52 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 86
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ひで@和大、です。
事実関係の部分のみ。

Ritter ABC  writes:
>  こんにちは。

>  「制限」という言葉の意味が、「本来」著作者が有する複製権等を制限すると
>  いう意味のものではないということです。

その様に論じている書籍は、作花氏の御紹介部分以外に私は知りません。
コンメも、4つの類系を提示していますが、その1以外は「制限」と述
べています。

>  私は、今日、田村先生の本を購入しました。
>  もちろん、「制限」という言葉は、使用されています。
>  ところで、「本来」著作者が有する権利を制限しているとどこに記載されてい
>  るのでしょうか?
>  
>  御指摘頂ければ幸いです。

「著作権法概説」 田村善之 著/有斐閣 1998年 167頁

----------------------------------
30条は、著作物が通常利用される市場を侵奪することなく、著作権者の
利益を不当に害しない場合に、同盟国の法令で複製権を制限することを
認めるベルヌ条約9条2項(WIPO(黒川訳)・ベルヌ条約逐条解説61頁〜
63頁参照)を具体化した規定の一つとして位置づけられている。

ちなみに同頁ではこの様にもおっしゃってます。

「そこで、著作権法は私的複製を著作権の権利範囲の外に置くことに
した」

この表現はどちらとも取れますね。だからこそ、コンメでは1または
4の類系、と説明しているのでしょう。

でも、無駄だろうなあ。著作権法の解説書に限って言えば、「権利の
制限」のうちの「制限」部分はいかなる書籍であれ、「法律の専門家」
が書いたものであれば、「著作者が有する複製権等を制限するという
意味に解してはいけない」って御主張なんだから。

まさしく「葵の印籠」状態だもんね。こういっちゃえば、何でもアリ
だ。

# これは学問ではない:-)まさに宗教だ:-)

学者が論文とか著書を記す時は、使う用語一つ一つを丹念に検討し、
使い分けが必要な場合は細心の注意を払って使い分ける。
逆説的に言えば、そういった努力が不十分な著書なり論文は、世間
では高い評価を受けない。

ABC氏の主張がコンメでは適用できない理由は前述した通り。
コンメが提示している「権利の制限」の4類系のうち、1は確かに
「本来的に著作権者が有する権利の範疇に含まれないケース」と
述べているが、他の三つは「何らかの理由で権利を制限している
ケース」としているから。

# だから1では「制限」って言葉を使っていない。他の3つは
# 「制限」って言葉を使っている。

つまりコンメでは、「権利の制限」には大きく二種類のケースが
あると論じている。その理由は別記事で述べた通りだと推測できる。

仮に、「作花氏の説を受け入れるのが法律の専門家への第一歩」
であるのならば、コンメの30条部分を担当された桑野氏は「法律
の専門家」ではない、という結論になる。
その様な人物を著者に選定した小倉氏や金井氏も、責任は重大(^_^;;)

繰り返しますが、私の主張は、

作花氏の主張は私にとって初耳だったが、そういった説があること
は良く判った。しかし世間では、そういった説に寄らない説も多々
存在する。私から見れば法律の専門家と見える人も、作花氏とは
違った見解から著書を記している。従って、作花氏の説を受け入れ
るか否かをもって、法律の専門家の「踏み絵」とするABC氏の説は
受け入れられない。同時に、「法律の専門家」を自称する姿勢も
個人的には受け入れられない。

です。

# 私は宗教は嫌いです(^_^;;)
# ある書籍をもって聖書とし、そこに書かれていることは無条件に
# 信じる様、強制されるのは大嫌いです:-)

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