No. 1057/1090 Index Prev Next
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From: Ritter ABC 
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Subject: Re[2]: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Sat, 07 Oct 2000 13:46:51 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 120
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NNTP-Posting-Date: 7 Oct 2000 04:46:52 GMT
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In-Reply-To: < 8rhl7f$ldu$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp> 
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こんにちは。

"ueshiba"  さん wrote in
Message-ID: < 8rhl7f$ldu$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp> 

>  岩田さんが「著作権のノウハウ」を引用されたので、私は
>  加戸 守行「著作権法逐条講義」から・・・
>  
>  「私的使用のために作成した複製物につきましては、・・・、その
>  目的外使用を複製権侵害とみなすことにしております。個人的な
>  目的で作成したコピーをほかの目的に使えば、その段階で複製
>  行為があったものと評価するわけであります。」(改訂新版、p.181)
>  
>  なお、「・・・」とした部分は「第49条の規定がありまして」となってい
>  ますが、これで整合が取れていることは、2段下を参照。
>  
>  「・・・第30条の規定によって私的使用のために作成した複製物を
>  作権者のライセンスを得ないで他人に売ったりすれば第21条の
>  複製権侵害になるし、それを裁判所へ訴訟資料として提出すると
>  いう場合には、第30条の目的以外の目的のための使用ではあり
>  ますが、もう一度第21条にたち返ってみたときに第42条の規定に
>  よって作成すればその複製権は制限されますから、自由に作成
>  することができ、したがって適法になります。つまり、違法か適法
>  かという判断は、*目的外使用を*行った時点で、第21条の複製が
>  あったものと評価して、著作権制限規定に該当するか、ライセンス
>  を取っておればよろしいし、そうでない場合は著作権侵害になると
>  いうことであります。」 (同、p.263、49条の説明部分)

せっかく、高価な本を購入されたのですから、正確に読みましょう。

引用された上記の記述は、私が述べていることと全く同じであり、私が述べた
ことが正当であることを裏付けるものです。

・・・の部分に「第49条の規定がありまして、」という前提が付されているの
ですから、49条の定める要件を具備する場合には次のようになるとの説明で
あることは明らかです。そして、49条には、「公衆要件」が規定されている
のですから、私が述べているとおり、49条の要件をみたす場合には、頒布等
が複製とみなされる結果、複製権の侵害となると述べているのです。
条文どおりのことを説明しているだけです。

私的使用目的なくして複製物を貸与すれば公衆要件を充たしていなくともそれ
だけで複製権の侵害となると記載している法律書は見たことがありません。

>  そして、49条第1項第1号の説明で重要と思われるのは・・・
>  「まず、「頒布」というのは、・・・有償・無償を問わず複製物を*不特
>  定人又は特定多数人に*譲渡したり貸与したりする行為を指します
>  ので、自分用の複製物を他人に譲渡したり、盲人向け貸し出しテー
>  プを一般人に貸与したり・・・する行為は、著作権者の許諾を得ない
>  限り許されません。・・・」(同、p.264)

この部分も私が述べているとおりのことが記載されているのです。

ただし、ここでは、公衆を「不特定人又は特定多数人」とされているので、
「不特定多数人又は特定多数人」という説はとらないようですね。
2条5項の解説でもそのようになっています。
この点について説が分かれていることは十分分かっています。
しかし、どの説も公衆要件があることを前提としているのです。法律の条文
(49条)に明記されているのですから当然のことです。

なお、不特定人説をとっているので、「他人に譲渡」というのは、「不特定人
に譲渡」という理解の下に記載されているのではないかと思います。
また、「公衆」というのは、林修三ほか編「法令用語辞典」学用書房において
は、「一般人、すなわち特定の法律関係における当事者以外の不特定多数の者
をいう。」とされており、上記の記述の「一般人に貸与」というのは、「公衆
に貸与」の意味で使用されているのだと思います。


>  # 岩田さん、確かに「著作権法逐条講義」は最新版は1000ページ近
>  # くになっていて安くもないけれど、必読だと思いますよ。kameyama
>  # さんも、この議論が始まった最初の頃に、夙に勧めておられたし。

もちろん、この本も良い本だと思いますし、当初の立法に関与された方の解説
書であるということで資料としても貴重ですね。
しかし、審議会報告書の説とされているものの根拠をこの本に探そうとして購
入されるのであれば、全く、逆の結果になります。


>  # ついでに申しますと、佐々木さんの「30条に該当しなきゃ30条は
>  # 出てこないだけのこと。」って言葉も中々意味深なように・・・
>  
>  なお、上の観点からすると、「著作権法コンメンタール」(p.372)も同じ
>  ことを言っているのかな という気がします。
>  
>  「・・・ただし、本項(30条1項)に従って複製した複製物を、他人に
>  販売するなどその目的外に使用した場合には、複製権を侵害したも
>  のとみなされる(49条1項1号)・・・」。

これも、当然のことですね。


>  特に、
>  
>  「「法21条の複製を行ったものとみなす」とは、著作権制限規定に基
>  づいて適法に作成された著作物の複製物をその目的や制限を超え
>  て利用する場合には、その時点で第21条の複製があったものとみな
>  し、著作権者から許諾を受けているか、または他の著作権制限規定
>  の適用がある場合を除いて21条の複製権の侵害とみなす趣旨である。
>  」(p.501-502)

これも、当然のことですね。


>  ただ、この2つを書いた人は異なっており、一貫して読んでいいのか
>  どうか判断に迷いますし(困ったことに)、
>  後者、つまり、第49条の解説(ただし、引用したのとは異なる部分)に
>  ついては、夙に、H-OGURAさんから
>  「自分で編集した本の記述について異を唱えるのもどうかと思うので
>  すが(それぞれ執筆担当者の見解を尊重して、修正を迫ることはしな
>  かったものですから)が、・・・文言上無理だと思うのです。」
>  という投稿があったことはあるのですが・・・(これまた、困ったことに)

趣旨不明


法律論  大歓迎!

--
Ritter ABC  
 

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