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From: Ritter ABC 
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Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Sat, 30 Sep 2000 11:36:25 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 124
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こんにちは。

Hideaki Iwata  さん wrote:

>  (その説を信じろ、なんて無理強いは誰もしてませんよね:-)

単に言葉の問題かもしれませんが、法学部では、論文試験で、自分は何説を
「信じる」、などと書いたら落第するかもしれません。少なくとも、いい評価
はされないでしょう。

法律学は、結論もさることながら、その結論に導く理由が重視されるのです。
理由付けがされていなければ、法律論とはいえません。

普通、A説によればこうなる、B説によればこうなる、自分はこうこういう理
由でA説の方が理論的にも、また、結論の妥当性から見ても、より優れている
と考えるので、A説を採る、といった記述をするのですが、A説自体が、その
根拠を示していない場合には、評価・論述のしようがないでしょう。


>  著作権審議会の昭和56年報告書によれば、私的使用を目的として複製した
>  著作物を、私的使用目的以外に使用することは不法行為に当たる、と明記
>  されています。
>  
>  もっとも、著作権審議会の文面を読む限りは、49条を持ち出すのではなく、
>  30条の解釈に限定した主張の様に見えるので、石橋氏の主張とは少し異な
>  るかも知れませんが。

報告書の記載自体が私的使用目的以外の使用がすべて不法行為に当たると述べ
ているのかどうかについては、そうでもないという解釈も可能だということは
既に述べました。
しかし、いずれにしても、30条の解釈からどのようにしてその結論が示され
るかは述べられていません。


>  「fjで知り合ったばかりの二人」が「家庭内準拠」に含まれないことは、
>  ABC氏も既に認めています。

既に認めたというよりも、最初からそうのように主張しています。
だから、30条の問題ではなく、49条の問題なのです。
同条の公衆要件を充たすかどうかの問題なのです。

>  少なくとも、そういう説を国家行政組織法に基づいて文化庁(文部省)に
>  設置された著作権審議会が主張している、という事実は、十分に考慮すべ
>  き現実ではありませんか?
>  著作権審議会が我が国の著作権制度整備に大きな影響を与えているのは、
>  紛れもない現実です。

それは、作花氏が、
「権利者側が政府や一般社会に対する効果的な主張方法として意図的に言及す
る場合は別として」と述べておられるところからすると(作花文雄著・詳解著
作権法270頁)、委員会のメンバー構成からして、該当個所は、正に権利者
側が政府に働きかけるために、法律論を離れて政治的観点から述べられている
のではありませんか?
岩田さん御自身も、報告書では、いろんな妥協的な記述が見られると分析され
ているのではなかったでしょうか?

現行法制に関する部分では、目的外使用については、次のとおり、30条の説
明に続いて、49条しか挙げられていませんよ。

「なお、本条の規定によって適法に作成された録音物・録画物を、営業用など
私的使用の目的以外の目的のために、頒布したり、あるいはこれらの録音物・
録画物によって著作物を公衆に提示することは著作権者等の許諾が必要となる
ことに留意しなければならない(法第49条第1号、第102条第4項第1号)」

つまり、公衆要件があるということを明示していますよ。
これが、小委員会の示している現行著作権法の解釈ではありませんか?

ところで、岩田さんがよく引用される「田村善之著・著作権法概説」169頁
には、30条の解説として次のとおり記載されていますよ。

「私的使用目的は、複製時点に存すれば足りるが、作成時点で私的使用目的が
あったとしても、結果的に私的使用を超えた範囲内で当該複製物が利用される
場合には、30条1項の趣旨が潜脱されることになりかねない。そこで、30
条1項に従って作成された複製物、翻案物であっても、それを頒布したり、公
衆に提示したものは、複製ないし翻案を行ったものとみなされる(49条1項
1号、2項1号)」

この記述が、目的外使用が30条の趣旨に反することから直ちに違法となるも
のではないということを当然の前提としているは明らかです。

これは、私が最初から述べていたこと、そのものではないですか。


一体、岩田さんは、この著書をいつからお持ちなんですか?
この部分を読まないで、私の見解をあのように批判されたのですか?
著作権に関する本を20冊も読まれたのなら、少なくとも一つくらいは自説と
同趣旨の本が見つけられるのではありませんか。
自説の根拠として挙げられた本自体がむしろ私が述べていることと同じことを
述べているのをどのように説明されるのですか?

>  # たかだか審議会の小委員会が言ったこと、なんて軽く捕らえちゃあ駄目
>  # ですよ。審議会制度をきちんと勉強しないと。

審議会というのは、文化庁長官の諮問機関ではないのですか。
しかも、各界の代表者により、大所高所からの高度な政策決定、政治的な決定
をすることを重要な任務としているのではありませんか。

文化庁長官が政策決定、政治判断をするに当たって、その答申を最大限尊重し
なければならないのは当然であるとしても、その答申の中心点(問題の答申は、
私的使用目的による複製の規制)とは直接関係のない、私的使用目的により複
製された後の複製物の使用に関する記述がどうして重要な意味を持つのですか
?
しかも、報告書においては、現行法制の説明としては、公衆要件を定めている
49条しか記載されていないのですよ。

それは、中立委員として参加していたと思われる法律家達や中立的立場から立
法作業を行うべき文化庁の事務当局の法的意見がそうであったからと見ること
はできませんか?
私には、作花氏の前記記述がそのような立法担当者としての経験から、経済的
利害を背景とした種々の意見に対し多少批判的な観点から意見を述べておられ
るように思えてなりません。

著作権問題は、いろんな業界の利害の渦巻くなかで、いろんな態様で議論され
ているように思われます。

そして、ここでは、今、法律論をしているのですよ。


法律論  大歓迎!

--
Ritter ABC  
 

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