No. 979/1090 Index Prev Next
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From: "ISHIBASHI" 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Sat, 30 Sep 2000 14:11:37 +0900
Organization: BIGLOBE dial-up user
Lines: 81
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Nakagawa wrote in message
< 8r29p9$54s$1@pin2.tky.plala.or.jp> ...
> ISHIBASHIさんのお考えでは、「母集団を考えろ」
> そして、母集団が公衆ならば行為を公衆に向けたもと認める、で
> すね。

そうですね。
とりあえず「母集団説」とでも名付けておきましょう。

> 一つだけお尋ねしたいのは、ISHIBASHIさんは、
> ご自分の解釈は、立法者が予定したものだと思われますか。
> それとも立法者が予定したものではないけれど、
> 次第に解釈が変化してきた結果とお考えになりますか?

私は、立法者が予定したものだと思ってました。

> もし前者だとお考えならば、
> 私との考えのズレは、きわめて大きいように思います。
> それは、上のような条文解釈を予定していながら、
> 著作権法に今ある条文の形でしか、
> それを表現できなかったと考えるのは
> 立法者の表現能力、言語感覚、語彙知識を、
> あまりにも低く見ることになると思います。

なるほど。
日本語として「複製物を頒布し」とか「公衆に貸与する」という言
葉を読んだ場合、「母集団説」には同意しがたいという感想を持た
れるお気持ちは、たしかに私にも分かります。

ところで、例えば特許法29条では、「公に知られた発明」「公に
実施された発明」「頒布された刊行物に記載された発明」は特許を
受けることができない、と規定されていますが、日本語としてこれ
らを読んでみても、Nakagawa さんは同じような感想を持たれるで
しょうか? 

でも、この3つの文言は、現実には、たった一人に知られたり、
たった一人に実施されたり、たった一人に刊行物が譲渡貸与された
りした場合であっても適用可能な、「母集団説」と同じような考え
方に基づいて特許法上解釈されています。その解釈は多くの判例に
支持され、確固とした通説になっております。もちろん、時代の推
移によって解釈が次第に変化したのではなく、当初からの立法者の
意図がそうであったという解釈です。

ですから、法律上の文言を解釈する上での「母集団説」のような考
え方は、私があみ出した珍説ではない、という程度のことはご理解
戴けるのではないでしょうか。

でも、もちろん特許法と著作権法は性質の異なる別個の法律ですか
ら、特許法がこうだから著作権法もこう解釈しろ、などと言ってる
わけではありません。上記はあくまで、立法者の表現能力を低く見
ている訳ではないと言いたいが為の私の弁明です。

で、わたくし事で恐縮ですが、私は、特許法等の工業所有権を勉強
して、それが終了してから著作権法を勉強し始めたので、どうして
も特許法的な考え方に引きずられ、著作権法における「公衆に貸与
する」の言葉も「母集団説」を当然の前提として解釈してしまった
のだと思います。この点が、私と Nakagawa さんとの考え方の間に
大きなズレが生じた原因かもしれませんね。

ここで、他の法律を私の頭から外して、あらためて著作権法独自の
制度趣旨から考えてみます。立法者は、著作権者の利益と他の人々
の自由使用の公正なバランスを保ちながら著作権の効力を規定する
意図を持っていたと思います。とすると、やはり、貸与の回数で制
限するよりも、「母集団説」的な考え方の方が私には納得できるよ
うな気がします。実際、著作物の中には、安価なものから非常に高
価なもの迄あるわけですから、1回限りの譲渡貸与であっても著作
権者に大きな損失が生じる可能性はあります。その場合、どのよう
な線引きで公正なバランスをとるべきか…。やはり「母集団説」的
な考え方に基づいて、「公衆に向けた」譲渡貸与を禁止する方が
スッキリするような気がします。

なお本件に関しましては、今後、私の方でも判例や解説書等の資料
を探していくつもりです。何か見つかりましたら、このグループで
あらためて報告したいと考えております。


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ISHIBASHI
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