No. 1034/1090 Index Prev Next
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From: Ritter ABC
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Subject: Re[2]: Re[2]: Re[2]: 30条と49条 ( 罰則関係)
Date: Wed, 04 Oct 2000 22:11:50 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 63
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NNTP-Posting-Date: 4 Oct 2000 13:11:54 GMT
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In-Reply-To: < m3itr8yhzn.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>
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こんにちは。
Hideaki Iwata さん wrote in
Message-ID: < m3itr8yhzn.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>
> なるほど。ABC氏は fair use と「権利濫用」との間には排他的概念
> が成立する、という理解を田村先生の記述からしている訳ですね。
そういう風にも表現できるでしょうが、両概念は異質であると言った方が分か
りやすいでしょうね。
制定法主義をとり、かつ、個別制限規定を設けている著作権法の下で、
fair use を抗弁として主張するということは、50条の次に、「この節に規
定する場合のほか、公正な利用と認められる場合には、著作権の目的となって
いる著作物を無償で利用することができる。」という補完的な条文があると主
張しているのと同じことになります。
そこで、私が前に述べたことが関係して来るのです。
つまり、法は、すでに21条以下と30条以下の条文で著作者の権利とする部
分と一般利用者の自由利用に残す部分とを切り分けているので、条文がないに
もかかわらず、そのような条文があるとして著作権を制限することはできない
という結論が導き出されるのです。
これに対し、権利濫用は、民法に根拠規定がありますし、上記のような切り分
けを前提とした上、著作者の権利行使と認められる場合であっても、それが権
利の濫用と認められる場合には、その権利行使は許されないという結論を導き
出すことができるので、制定法主義に反することがないのです。
しかし、権利の濫用というのは、例えば、権利者が不当な目的をもって権利行
使をしているような極めて例外的な場合しか認められないので、その適用場面
が非常に少なくなると言えます。そのため、仮に、fair use の抗弁を認めた
とすれば自由利用が可能な場合でも、権利の濫用の抗弁が認められないことが
ほとんどでしょう。
そこで、田村先生は、権利濫用理論を使用して妥当な結論を導き出すという方
法により人の行動の自由を万全に確保することはできないから、一般条項の導
入をも含めて、制限規定の在り方を検討する必要があると指摘されているのだ
と思います。
> 一方の私の思いは、
>
> fair useって主張も裁判例では認められていないし、権利濫用って手
> も現状では認められないのに、解釈論としてまだ「権利濫用」を論じ
> る余地がある、ってのは、これ如何に?
そこが私が最初に誤解があるのではと述べたところだと思います。
田村先生の記述では、fair use の抗弁と表示されていて、それが権利の濫用
の抗弁と別個のものであることを前提としています。
そして、そもそも我が国では、fair use の抗弁そのものが成り立たないと述
べているわけです。そこでは、権利濫用のことは述べていません。
他方、権利の濫用を論ずる余地はあるとしているわけです。
なお、権利の濫用に当たらないとした裁判例も、権利濫用の抗弁というのが著
作権について成り立たないとしているものではなく、その事案では、権利の濫
用に当たるというほどの事情がないということで抗弁を排斥していると思いま
す。
法律論 大歓迎!
--
Ritter ABC
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