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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: 21 Sep 2000 14:04:49 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 60
Message-ID: < m3em2e2v4e.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 
References: < m3pum22c0g.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp>  < SEO.00Sep21121537@atlas.rc.m-kagaku.co.jp> 
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ひで@和大、です。

seo@atlas.rc.m-kagaku.co.jp (Yuzo SEO) writes:
>  私は斎藤博先生の著作権法の講義を受けたことがありますが、49 条に関して、
>  ・著作権の制限規定を満たして作成された複製物が、
>  ・その後、目的外に使用された場合には、
>  ・(頒布などの行為ではなく) 複製行為そのものを権利侵害とみなす
>  という規定であると理解しました。

それはまずい理解だと考えます。少なくとも49条に限定して言えば、
頒布行為(公衆への提示を含む、以下同じ)に及んだ者が複製行為を
したと「みなす」、という、いわゆる「みなし条項」ですから、上記
で述べられている「30条の三条件に合致した状況下で複製された著作
物の目的外使用」を不法行為と考えるか否か?って問題とは切り離す
べきではありませんか?

# 岩田が唱える「中間層存在否定説」(岩田説に名前を付けてみまし
# た:-)に従えば、瀬尾氏の理解が成立するんですけどね:-)
# まだ仮説だから.....:-)

# でも本当に斉藤先生がそう教えていらっしゃるのならば、実は斉藤
# 先生も中間層存在否定説の信者なのかも知れない(^_^;;)

つまり、49条適用ケースにおける主体と客体ってのが30条におけるそれ
と決定的に違っているので(正式には主体だけか:-)、49条を上記の
様に理解するのは間違いと言わざる得ないでしょうね。

# 49条が存在する意義として、便宜的に上記の様な説明をすることは
# 妥当かも知れませんが、それが最終的な理解となるのはちょっと問
# 題でしょう。主体が異なる、ってのは法律論上決定的な違いに
# なっちゃいますからね:-)

>  1. 49 条は、著作権の制限規定を結果的に満足しなくなった場合に、これを複
>     製権の侵害とみなす規定であり、この条項にいう「公衆」は、「著作権の
>     制限規定に記述された特定の複製物使用者以外の者」を指すと解すべき。

いわゆる「中間層存在否定説」ですね:-)
でも、この説の証明には、私はまだ成功していない:-)

>  2. 30 条に従って作成された複製物が、その後目的外に使用された場合は、
>     49 条により複製権の侵害とみなされるが、119 条の但し書きにより刑事罰
>     を受けることはない。

これは、亀山氏も御指摘していますが、通説としては間違いなんだそう
です。
私もそう理解していた時があったんですが(ひょっとすると斉藤先生の
著書が原因かあ?斉藤先生が書かれた本も持っていたはずなんだけど、
今、見つからない....本の山に埋もれている....研究室を整理しないと
駄目だなあ....)、通説では「公衆の利用に供することを目的に設置さ
れた自動複製機器を用いた場合」だけなんだそうです。

ただ、条文を読む限りにおいてはこの様に理解することはちょっと無理
筋なんで、こういった通説が成立する可能性がより高次な法律論から
見て妥当なのか?って判断は私には付きません。

# なんたって法律の専門教育なんてほとんど受けてないからなあ。
# 質問する項目予定表に入れておいて、今度法律の先生と酒を飲む時に
# 尋ねてみよう:-)

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