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From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: 26 Sep 2000 02:03:27 GMT
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Lines: 113
Message-ID: < 21733.969933845@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
References: < 8qooh6$5p$1@neelix.mmtr.or.jp> 
Reply-To: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
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河野 真治@琉球大情報工学です。

In article < 8qooh6$5p$1@neelix.mmtr.or.jp>  , 
	"Kouichi Niimi"  writes 
> で、「映画の著作物」と「それ以外の著作物」に分けた場合、前者の
> 複製物は「有償・無償を問わず権利者に無許諾では頒布できない」、
> 後者の複製物は「営利を目的とせず、かつ料金を受けない場合であ
> れば貸与は認められる」(38条の4項)という差があると理解して宜し
> いのでしょうか。

この頒布ってのは、本来は、映画館で上映するためにフィルムの複
製を作って配るってのを指すんですよね。で、それを、無制限に拡
大解釈している(ゲームソフトの頒布とか...)のが現状でしょう。

最近はそうでもないんだけど、昔は、
    本や映画の複製コスト > >  販売コスト
だったのだけど、今は、
    本の複製コスト   ≒ 販売コスト
    映画の複製コスト < <  販売コスト
になってしまったわけだよね。だから「複製を制限する」ってのが
意味がでてきたわけで、それで頒布権を拡大していきたいってこと
なんでしょう。そういう意味で、このあたりは、今でも「常識的扱
い」ってのががんがん変わっているところなのでしょう。

38条の4項は、明らかに図書館とかを指しているわけで、図書館の
ビデオライブラリとかを社会的にどう容認するのかは、まだ自明
とは言えないと思います。このあたりの「特定のものを意識した
条文」を、単なる逐語的解釈で新しいものに適用していくわけにも
いかないのだと思いますね。

> 私はどこで間違っているのでしょうか?

僕は、この一連の議論で、一番間違っていたのは、

    「fj経由のビデオ貸し借り問題は、法律解釈で解決される」
    「そして、fj経由のビデオ貸し借りは自明に犯罪である」

ってものだったと思います。この一連のスレッドで、明らかになっ
たのは、「fj経由のビデオ貸し借りは自明に犯罪である」とは言え
ないってことです。実は、重要なのは、

    「fj経由のビデオ貸し借りに関する良識的判断」

を得ることだったんじゃないの? 犯罪だからしない、犯罪でないか
らする、なんていう単純なものではなかったってことだと僕は思い
ます。

新美氏は、単に法律を引用するだけで、それが解決されると思って
いたようだけど、君の合意案には、「fj経由のビデオ貸し借りに関
する良識的判断」をするだけの十分な情報がないと思います。

結局、「私的使用のための複製の貸借に関しては許諾が必要だ」
ってのは、法律的には嘘だったってことなんでしょ?

In article < 8put7q$tp1$1@neelix.mmtr.or.jp> , "Kouichi Niimi" writes:
= 1. 原則
=  1) TV番組を家庭で録画する行為は、TV番組の複製に他ならない
= ため、私的使用目的でない場合は権利者の許諾が必要である。
=  2) 一般的にTV番組は、権利者と放送局とが別々の場合が多く、
= また権利者が単数であることがほとんど無い事から、権利者に許
= 諾を得るのは容易ではない。ただその場合でも窓口は放送局であ
= る場合が多いし、権利一切を放送局が所持している場合もあるか
= ら確認すべきである。
= 
= 2. TV番組の録画
=  1) TV番組を録画する行為は、TV番組の複製を作成することであ
= る。したがって、本来権利者に無断で行うことは許されていないが、
= 私的使用目的である場合はそれが許されている。(ビデオ等のカタ
= ログに記されている「あなたが録画した…」はその事を指している)
=  2) 1)の理由により、TV番組を録画したビデオテープの扱いは録画
= した本人、もしくはその家庭内ないしはそれに準ずる範囲の使用に
= 限られる。なお後者の場合は、原則的にはかなり狭い範囲となる
= べきであるが、弾力的な判断も許されるかもしれない。(権利者の
= 判断次第ではあるが、実家の親に送るくらいの範囲くらいなら許さ
= れるのではないか、と私は判断している)
=  3) TV番組を録画したビデオテープを、2)で示す範囲以外の者に
= 貸す行為は、貸した側が「私的使用目的以外で使用したとみなさ
= れる」ため、注意が必要である。
= 
= 3. TVを見逃した場合
=  1) 再放送がある場合があるため、まず放送局に問合わせてみる
= べきである。ただ再放送があるかどうかは、権利者と放送局との
= 契約次第であり、1回もない場合もある事は覚悟しておく必要があ
= る。(生放送であることに意味のある番組(年末年始の「行く年来る
= 年」等)では無い場合が多い)
=  2) 放送局によってはライブラリとして視聴させてくれる場合もある
= から、その問合わせも有効であろう。ただし、そんなにすぐにライ
= ブラリ入る訳では無いこともまた事実である。
=  3) 全国的では無い様だが、公共のライブラリも存在している様で
= ある。そこに問合わせるのも有効だと思われる。
=  4) 有名な番組であれば、パッケージソフト化される可能性もある。
= それを待って購入、もしくはレンタルショップにて借りてくる事も選
= 択肢に入れておくべきであろう。
=  5) 1)〜4)が期待できない場合、権利者に許諾を得たうえで、録画
= した人に複製・貸借を依頼することもできる。ただ最近の番組の常
= として、権利者が単数でない場合も多く、その場合すべての権利
= 者の許諾を得るのは困難であろう。なお過去に、放送局が全ての
= 権利を所持しており許諾が降りた事例、もあるようである。
=  6) 上記の全ての可能性が無い場合、諦めるしかないのが現状で
= あるが、自身の欲求を満たすより、権利者の権利を守る事を優先
= すべきである、と私は考える。
=  7) また録画した人に見せてもらう、という事も考えられるが、これ
= に関してはまだ私の中で意見がまとまっていないので保留する。
= 
= 4. その他
=  1) ラジオ番組に関しても同様の判断で良いのか?
= 
= --- ここまで ---


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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
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