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From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
Newsgroups: fj.rec.sf
Subject: イリーガル・エイリアン __
ソウヤー
References:
Mime-Version: 1.0
Content-Type: Text/Plain; charset=ISO-2022-JP
Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
Reply-to: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp
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Date: Fri, 03 Jan 2003 18:37:37 +0900
Message-ID: < 18100.1041586657@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>
Sender: kono@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp
河野 真治@琉球大情報工学です。
お正月は別なのを読んでいたんだけど、帰りの飛行機で、こっちの
方を先に読み終ってしまいました。スティングの曲に Leagal Alian
ってのがあるので、タイトルは、そこからひろってきたのかも知れ
ないです。
ソウヤーって、なんか「軽い」んだよね。「ターミナル・エキスペ
リメント」「フレーム・シフト」なんかは地獄のように重いテーマ
なはずなんだけど、なんか、そこの方に「しょーもない軽さ」が見
えちゃう。
これは、まぁ、地球に来た宇宙人がお気軽なファースト・コンタク
トの後で殺人を犯してしまうっていう、そもそも軽いテーマなので、
軽いこと軽いこと。終り方も、なんかまるでアシモフでも読んでい
るかのような終り方。そういうのを期待していると、ばっちり、そ
う決まるって感じです。この軽さって、きっと、アメリカの読者向
けの専用サービスなんだろうな。
昔は「宇宙人はみんな人と同じような形になる」なんてのを信じて
いました。が、地球の生命の多様さだけでもこれほどなのに、
そんなことあるわけないよな。一方で、イルカとコミュニケーション
も出来ないんだから、実は、宇宙人とのファースト・コンタクトも
そんなにうまくいくはずない... けど、「宇宙船の中で生肉食う」
ような宇宙人とアメリカ人となら、うまくいくかも知れないね。
「訪れた異国で、部下が犯罪をおかしてしまった」こういう状況だ
と、普通は外交特権みたいなのを持ち出すような気がする。その方
が簡単かな。トクソ人側、地球人側双方とも。もともと、法律って
「慣習」の集大成みたいなものだから、宇宙人に当てはめるって変
だよね。なんとなく、人を殺したゴリラを裁判にかけるような感じ
もしないでもない。
アメリカの裁判制度の話は、映画とかでも良く見るけど、この話にも
さんざんでてくる陪審員ってのは、アメリカ人にとっても、不可解な
ものなのかも知れないね。
この本も「宇宙人にユーモアを期待する」話がちょっとでてくるん
だけど、ユーモアってのは、僕は「猫が自分の獲物で遊ぶ」ような
ものだと感じる。テキサス訛を笑い飛ばすみたいな残酷さを彼らは
ユーモアと思っているみたいだけど、自分達の残酷さの自覚が足り
ないとしか思えないです。
この話のもう一つの側面は、終りの方にちょっとだけしか出て来ない
わけだけど...
眠っている間に侵略されちゃうかも知れないから先に侵略するって
のは、 侵略する側の論理としては、ちょっと、安直すぎる気がす
る。でもさ、これは、アメリカ人にとっては「正当な論理」なんで
しょうね。もちろん、侵略される側だから、文句を言っているんで
しょうけど。実際、ソウヤーは正当だと思っているわけだし。
「お前は家族が(ベトナムがアメリカに上陸して)殺されるような状
況なのに、軍に志願しないのか?」みたいな論法を「非常に説得力
のある議論」とみなす人達に取っては、そうなんだろうなぁ。
「滅びの美」みたいな概念って西洋人には存在しないのか? この本
の安直な終り方には、ソウヤーには、そんなものは存在しないんだ
っていう確信を感じさせるものがありますね。
ワイヤ1本切るだけなんですか? もちろん、わざとそんな風にして
いるんだよね? とでも思ってやろう...
---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
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