情報処理学会 第85回全国大会 1日目
IPSJ全国大会が今日から3日間の日程で始まってます。といいつつ遠隔参加なので脳内がいまいち盛り上がってない部分もありますが、他大学らの話を具体的に聞ける場としてはやっぱり面白い。現地参加できるならそれが良いんだけどね。
ここ数年は「発表は原稿あるから」という理由で通常セッションを見送り、後から見返すのが難しいイベント会場を覗きに行くことが多くなってました。が、今回は並んでるテーマ的に研究発表の方が面白そうだったのでそちらに参戦。といっても時間間違えてたので途中から。。
午前中は学生セッション[1ZJ会場]。気になった発表は2件。
- 1ZJ-03社会人のIT人材における若手とベテランの思考差異の分析。
- ジグソー・テキストでプロダクトバックログを並び替える課題を、若手社員とベテラン社員にトライさせ、その差異を分析するらしい。操作時間、操作回数、作業中の発話内容や役割。
- 若手とベテランの差異というよりも、年代層や個人属性(得意不得意、それまでの異なる経験)の差異みたいなところが大きかったりしないかな。思考差異から支援に繋げるというより、全体のやり取りそのものの分析で「何が寄与したか」を分析する方がより面白くなりそう。そこに繋げる前段階という気はする。
- 1ZJ-05児童のメンタルマップの解析
- 過去事例として手書き地図の描画範囲に基づく発達分析がある。これに対して、内容に基づく発達分析をしたいという話らしい。ランドマークをどこに、どの役割として書いたのかに着目。そのために手書き地図+道順説明(言葉で経路の説明)を導入。
- 大人のメンタルマップを正しいとしているようだけど、「正しいメンタルマップ」はあるのかな? 大多数的な正しさはあるかもだけど、それ以上ではないような。また、発達度合いを観察するということが主題とすると、正解らしきものが想定されるタスクではない方が観察しやすかったりしないかな。具体的なタスクはよくわからないけど。着目点を説明させてる(これによるバイアスは入るだろうけど、それ以上に色んな要素が噛み合ってたアウトプットを観察できる)点が面白い。
午後は宮良さん発表もあるということで、学生セッション[2W会場](3月2日(木) 12:40〜15:10)自然言語処理(対話)へ。
- 2W-01形容詞と数値情報を用いた規模に関する知識の獲得手法の改良
- 数値情報 + 書き手の考え(
150cm**しか**ない
とか)で対象概念に対する平均的な数値を求めて、知識利用するという話。平均値のような単一の統計量ではなく、分布として捉えるようにすると細かい制御しやすくなるんだろうな。応用の幅が広そうで楽しみ。
- 数値情報 + 書き手の考え(
- 2W-05漸進的係り受け解析におけるBERTを用いた未入力文節との構文的関係の同定
- この一つ前の発表もそうなんだけど、「文章が揃っていない段階、例えばリアルタイムに文字起こしするように少しずつ分節が追加されていく状況で、まだ係り受け先が存在しないということを積極的に利用する」ことを漸進的係り受け解析と呼んでいて、その狙い自体が面白い。
- だけど、実際の処理としてはテキストデータしか使っていないらしく、勿体ない感。
- 2W-07ユーザの発話を取り込むペルソナ対話エージェントの対話性能評価
- 文章でペルソナを用意することでより一貫性のある対話応答したいというのが出発点。PERSONA-CHAT datasetをベースにやると、予め用意されてるドメインについてはそれなりに一貫性が増すが、外れた部分ではがたがたになる。それを改善したいというのが今回の目的で、そのために「発話しながらペルソナ追加」をしてみたという話。
- 追加方法や追加した設定の利用方法(あるユーザに対してのみ使うとか、あるタイミングでのみ使うとか)だけでも応用範囲広そう。ただしそもそも「何を追加すべきか」が難しそうではある。