No. 906/1090 Index Prev Next
Path: ie.u-ryukyu.ac.jp!u-ryukyu.ac.jp!news1.oix.u-ryukyu.ac.jp!newshost.ryukyu.ad.jp!karei.center.oitaweb.ad.jp!newsfeed7.infoweb.ne.jp!newsgate1.web.ad.jp!newsfeed.mesh.ad.jp!newsfeed.kddnet.ad.jp!nf.asahi-net.or.jp!Q.T.Honey!news.join.ad.jp!wnoc-tyo-news!yilnws!relay-yamaha-to-plala!news.plala.or.jp!not-for-mail
From: "Nakagawa" 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Mon, 25 Sep 2000 21:34:15 +0900
Organization: PLALA
Lines: 174
Message-ID: < 8qngek$5mj$1@pin2.tky.plala.or.jp> 
References: < 8qij04$b44$1@pin2.tky.plala.or.jp>  < 20000924211721BCS9& 1F5htb@news.nifty.com> 
NNTP-Posting-Host: c147141.ap.plala.or.jp
Mime-Version: 1.0
Content-Type: text/plain;
	charset=" iso-2022-jp" 
Content-Transfer-Encoding: 7bit
X-Trace: pin2.tky.plala.or.jp 969884948 5843 210.150.147.141 (25 Sep 2000 12:29:08 GMT)
X-Complaints-To: abuse@plala.or.jp
NNTP-Posting-Date: 25 Sep 2000 12:29:08 GMT
X-Newsreader: Microsoft Outlook Express 4.72.3155.0
X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V4.72.3155.0
Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:11908

中川@つくば です

Richter ABC さん wrote in message
< 20000924211721BCS9& 1F5htb@news.nifty.com> ...
> こんにちは。
> 
>"Nakagawa"  さん wrote:
> 
> >  ここでは、以前に他の投稿者へのフォローとして質問していたもののうち
> >  未だ納得のいかない点について、教えていただければと思います。
> 
> 御指摘の問題については、私の方にお教えするだけの能力がありません。
> むしろ、こちらが御意見をうかがいたいと思っている問題です。
> 
> というのは、法律解釈というよりも健全な良識に基づく価値判断にかかるとこ
> ろが大きいからです。

大変な宿題を頂いてしまいました。

> >  「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」が
> >  何を具体的に指すのかについて、解説書などでさまざまな表現があって、
> >  それがまた議論の紛糾の元になるのが常ですが、
> >  解説書などで挙げられている、「少数の特定の親友」「小研究グループ」
> >  などは、上記法律文章の解釈として、自然なものなのでしょうか?
> 
> 家庭内に準ずる範囲内の意義ですね。
> これは、文理のみから言えば、準ずる対象である「家庭内」の特徴をどのよう
> に捉えるか、なぜ、ここで法が家庭内という要件を挙げたのかをどのように考
> えるかだと思います。一つは、人数的に少ないこと、一つは、緊密な人的関係
> にあること、私的な関係であること、などでしょうか。

私なりに考えてみました。

家庭内を空間的規定と考え、準ずる範囲に例えば車中を入れるのは、
それが「個人的」と並置されていることから、無理だと思います。

従って、あくまで人間関係に関する言葉でしょう。

家庭の特徴として3つを考えました。

一つは、その中では所有の関係があいまいになること、貸借関係
(どっちが借り手でどっちが貸し手か)があいまいになることであって、
それが故に私的利用の境界線を家庭内部に引くのが困難になることです。

二つ目は、およそどの著作物とも独立に、最初から構成されていることです。
その中では、著作物への好き嫌いはいろいろあり、
仮に著作物の複製が一人からもう一人に渡っても、
それが著作物の販売数の減少に結びつくとは一般的には言えず、
むしろ、お互い融通するのを前提に、
広範な著作物を買うことすら考えられます。

最後に、家庭は、構成員の誰にとっても同じ家庭であり、
何度複製が繰り返されても、それが広まることは考えられません。

これを元にして家庭に準ずるものを考えると、
たとえば賄いつき下宿の大家さん一家と、仲のの良い下宿人、とか
ある家族と、その家族の近所に住む知人で、
その知人とは、断りなしに家を出入りしても良いほどの仲である、とか
とにかく、家庭を包含する関係しか思いつけませんでした。

ところが条文では「家庭内その他それに準ずる限られた範囲」となっていて、
「家庭」と「それに準ずる範囲」は包含関係にないようです。

ということで、私なりの解釈は頓挫しています。

一方、通説で述べられている一条件である「緊密な人間関係」は
そもそも家庭とは異なる集団の人間関係を、
家庭になぞらえて、準ずるものとして表現しているので違和感を覚えます。

むろん、信者一同寝起きを共にする宗教団体、とか、
人里離れた現場に滞在していて、
生活上密接な繋がりを持たざるを得ない作業員集団、とか
寮生活の仲間、とか、いろいろ具体例はありますが、
共通して言えるのは、ある期間に限定すると、
一個人が属する「家庭内その他それに準ずる限られた範囲」は一つです。
多めに見積もって、郷里を加算しても二つまでです。

通説の「緊密な人間関係」集団の個数は、
そのように限定されているのでしょうか?

逆に、そのような個数限定を設けず、
各人が心理的に「緊密な人間関係」を持っていると確信する、
そのような集団を全部認めると、
電子メール、ウェブなどの、個人の通信手段の各段の向上によって、
一個人が多数の集団に属するのがごく当然になってきます。
(現在はそうとも言い切れませんが、将来確実にそうなります)

技術の進歩により、
多重に複製を繰り返しても品質が維持できるようになると、
「家庭に準ずる範囲」集団を渡り歩くことにより、
私的複製が頒布と同じ効力を持つようになるのではないでしょうか?

> > >  その時に、他だ貸すのはOK、ダビングしてはダメというのは、
> >  複製物の物としての価値(生テープの値段、
> >  録画機器の原価償却、電気代、セッティングの手間賃)が
> >  著しく減少した現在にあっては、本当に理解しがたいものです。
> 
> これは、複製費用の問題ではないように思います。

私が問題にしたかったのは、人にテレビの録画ビデオを貸すとき、
無料放送であるためにオリジナル複製物の原価が極めて安く、
しかも実費であるため、
その複製物の複製物を作ることの著作権的意味が、分かり難い事、
複製物の貸与は良くて、
複製物をダビングして貸与するのはダメで、
複製物を貸与された人がダビングするのは良い、
と法律が区別することの意味が到底理解できないであろう事です。
私も条文上は理解できても、それに常識を合わられる自信はありません。

それとは別に、複製費用の激減は、
無目的もしくは不定目的の録画を激増させています。
後で見るかもしれない、見なくても何か役立つかもしれない、
それだけの理由で、テレビを録画できるのです。

> テープの場合、そのような複製が行われると、テープの販売をしても購入者が
> 少なくなってしまうということがありますから、そちらの観点から考えるべき
> ではないでしょうか。
> テレビからの録画ビデオであっても、映画の録画であれば問題は多いように思
> います。

もちろんその通りで、それであるからこそ、
テレビ録画の貸し借りという、一般的な問題に話を拡散させたくなくて、
ISHIBASHIさんに聞いたときにも、
再放送も、ビデオ化もないものと限定致しました。

テレビの場合であれば、映画の録画の貸し借りは、勿論、
著作権上問題が多いと、私も思いますが、
放送事業にとって、映画の放送は決して第一使命ではなく、
第一使命でない番組によって、
それ以外の番組の著作権問題が引きずられている現状について、
放送事業に携わるかたがたには、
もう一度よく考えていただくことをお願いしたいと思います。

# このニュースグループの購読者に、
# 放送事業関係者はいらっしゃらないのでしょうか?
# 匿名でも、ご意見をお伺いしたいと思います。

> >  また仮に何らかの理由によって、ビデオ販売、再放送などの、
> >  私的複製により影響をこうむるものがなくてもなお、
> >  著作権者には、私的複製による損害が生じるとしても、
> >  著作権者の権利と利用者の権利の平衡点は、
> >  適当な対価のもとに著作物を手に入れる事ができる場合とは
> >  一律に論ずる事は出来ないのではないかと思います。
> 
> これは、難しい問題ですね。
> しかし、法は、一応30条以下で必要な制限はしているはずです。
> 
> 具体的にどのような必要がある場合かは分かりませんが、対価を支払っても入
> 手できないということのみでは無理だと思います。
> 
> それが問題となるのは、著作物だけではないと思いますが。。。

ただ、現在問題になっている場合は、
現に手に入れる方法が存在する場合です。
それを阻んでいるのは著作権問題だけなのです。

著作権がらみのものでは、絶版の書籍や、
ビデオ化されず上映もされていない映画も同じ問題を抱えていますが、
敢えて言うならばそれら全部が問題にされるべきだと思います。

かつて、絶版の書籍の再版が出来ないものかと、
出版社の人に話しても、それが如何に困難かを、
延々と聞かされるだけでしたが、
現在の技術発展は、小規模な著作物頒布を、余程容易にしています。

あらゆる著作物に対して、
著作権者が著作物の継続的提供を努力するように促すのが最善で、
テレビの場合、あらゆる放送に対して事後に申し込めば、複製許諾か、
適当な対価で複製を売るか、代わりの既販ビデオを紹介するようになれば、
問題は殆ど解決するのでしょうが、それを行わない場合には、
金銭供託有りにしろ無しにしろ、私的複製の権利を大幅に拡大する、
そういう規定が法律にあっても良いのではないかと思います。


Next
Continue < 8qnvmp$i9d$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>
< 20000926193421GOLvljLF4Ra@news.nifty.com>
< 8qqcku$n82$1@pin2.tky.plala.or.jp>