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From: Richter ABC
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Sun, 24 Sep 2000 21:17:21 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 134
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こんにちは。
"Nakagawa" さん wrote:
> ここでは、以前に他の投稿者へのフォローとして質問していたもののうち
> 未だ納得のいかない点について、教えていただければと思います。
御指摘の問題については、私の方にお教えするだけの能力がありません。
むしろ、こちらが御意見をうかがいたいと思っている問題です。
というのは、法律解釈というよりも健全な良識に基づく価値判断にかかるとこ
ろが大きいからです。
それと別のところで時間を使ってしまったので、今回は、簡単にコメントする
だけで御容赦下さい。
> 「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」が
> 何を具体的に指すのかについて、解説書などでさまざまな表現があって、
> それがまた議論の紛糾の元になるのが常ですが、
> 解説書などで挙げられている、「少数の特定の親友」「小研究グループ」
> などは、上記法律文章の解釈として、自然なものなのでしょうか?
家庭内に準ずる範囲内の意義ですね。
これは、文理のみから言えば、準ずる対象である「家庭内」の特徴をどのよう
に捉えるか、なぜ、ここで法が家庭内という要件を挙げたのかをどのように考
えるかだと思います。一つは、人数的に少ないこと、一つは、緊密な人的関係
にあること、私的な関係であること、などでしょうか。
そうすると、それらと類似した性質をもった小集団であればよいということに
なり、上の例などは、一律には決められませんが、該当する場合もあるといっ
ても良いのではないでしょうか。
> 通常fjでは、上記法律文章は、法律は意外と窮屈であるという例として
> 語られていて、上記法律文章の日常的解釈と比べて、
> (人によっては、少なくとも私にとっては)不自然に広いという点は、
> 注目される事が少ないと思われますが、
> それが実に複製権だけに関する文言であって、
> 複製後の複製物の使用全般を規制するものではないとすると、
> むしろ大変に広い点が気になります。
私も、文言からは非常に狭いと思っています。
> 例えば「小研究グループ」の一言は、
> かつて(昭和40年代初期)学生が貧しい事が多く、書籍が高いため、
> 書籍の青焼きコピーが存在していたことの正当化のようにも見れますが
> そうだとしたら、時代の変遷とともに静かに消え行くべき解釈でしょう。
これは、準ずる範囲内とは言えない場合が多いのではないでしょうか。
これが一般的に入ると考えておられるので広いという印象を持たれるのでは?
ただし、これは、場合によっては、個人的使用の複合という考え方もできそう
に思います。
> 次に分からないのは複製権の独占の対価です。
>
> 他の投稿で私は、
> 少なくとも形式的には複製権侵害となる行為で、
> その行為が著作権者に何の損害も与えない場合は、
> 果たして法律条問題ある行為をしたと言えるのか、ということを、
> 「再放送の予定も、ビデオ化の予定もないTV番組の録画を、
> 他人から借りて見せてもらった場合」を例にして、
> ISHIBASHIさんに質問致しました。
>
> もっとも、上記例を確実に複製権侵害のものにするためには、
> ダビングしてもらうの一項目が必要でした。
>
> ISHBASHIさんの説明と、他の人の投稿内容を総合すると、
> 現実問題として紛争が具体化するとはとても思えませんが、
> 現行の著作権法は、
> ビデオ販売、再放送など、複製権独占によって守るべき
> 経済的実体を何ら持たない著作物に対しても、
> 利用者に複製の制限を課するものなのでしょうか?
> 侵害という言葉は、具体的被害を想定していると思うのですが
> それがない場合にも、法律上は侵害と扱われるのですか?
具体的被害というのが何を意味しているのか良く理解できないのですが、
複製行為について言えば、法定の除外事由のない複製行為があれば複製権の侵
害に当たることになると思います。
そして、差止請求権が発生します。それが原則です。
しかし、何の損失もないのに、その相手に対して社会的に是認できないような
特殊な意図をもって差止請求権を行使しているというような場合には、権利の
濫用ということも有り得ると思います。
単に経済的利益がないということのみで権利濫用となるか。
現在は、無理だと思いますが、この部分は、これからの社会意識の変化によっ
て変わる可能性があるように思います。
> その時に、他だ貸すのはOK、ダビングしてはダメというのは、
> 複製物の物としての価値(生テープの値段、
> 録画機器の原価償却、電気代、セッティングの手間賃)が
> 著しく減少した現在にあっては、本当に理解しがたいものです。
これは、複製費用の問題ではないように思います。
テープの場合、そのような複製が行われると、テープの販売をしても購入者が
少なくなってしまうということがありますから、そちらの観点から考えるべき
ではないでしょうか。
テレビからの録画ビデオであっても、映画の録画であれば問題は多いように思
います。
また、そうでなくとも、テレビを実際に見る人が少なくなってしまうかもしれ
ないし、広告がカットされることもあるしと、いろいろ問題がありそうです。
> また仮に何らかの理由によって、ビデオ販売、再放送などの、
> 私的複製により影響をこうむるものがなくてもなお、
> 著作権者には、私的複製による損害が生じるとしても、
> 著作権者の権利と利用者の権利の平衡点は、
> 適当な対価のもとに著作物を手に入れる事ができる場合とは
> 一律に論ずる事は出来ないのではないかと思います。
これは、難しい問題ですね。
しかし、法は、一応30条以下で必要な制限はしているはずです。
具体的にどのような必要がある場合かは分かりませんが、対価を支払っても入
手できないということのみでは無理だと思います。
それが問題となるのは、著作物だけではないと思いますが。。。
30条以下に定めるもの以外でそのような必要性がある場合には、権利濫用な
どの一般論で妥当な解決を図るしかないように思います。
もっとも、いわゆる、フェアユースという米国の考え方をその権利濫用論の中
に持ち込むことは可能かもしれません。そのままという訳には行かないように
思いますが。。。
それでは。
法律論 大歓迎!
Richter ABC
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