情報処理学会 第85回全国大会 2日目

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大会2日目の中日です。といいつつ、明日は病院予約を変更できなかったので個人的には実質的な最終日。うちの学生が発表するセッションには参加したいところだけど、難しいかなぁ。

  • 一般セッション[4F会場](3月3日(金) 9:30〜11:30)データサイエンス・AI
    • 4F-01 シラバス情報による科目間類似度を用いた授業理解度向上に関する一考察
      • シラバス類似度を使う事例自体は多数あるが、受講生の授業理解度向上に役立てようとする視点が新しいらしい(そうなの?)。
      • コサイン類似度求める部分まではごく普通の流れ。これはITに慣れていない教員含めて簡単に利用できる実行環境を用意するため。という説明だったのだけど、そこはUIの問題であって中身は独立した話なのでは。応用部分で必要十分な精度出てるならそれで良い話ではある。
      • ぐ、理解度向上に役立てる部分についてはアイデア話すだけか。しかも特段新しい話もない気がする。あえて隠してるのかな。個人的には期待してた発表だけに、落差が大きい。
    • 4F-03 STEM教育における初年次教育を支援するWebアプリケーションの開発
      • 知識レベルや得意不得意異るバラエティのある学生らに対して、個別支援できるようにしたいという話。他発表でもそうだけど、Streamlitでインタラクティブな教材使って共有という話があちこちで耳にするな。
      • 「AI基礎」。諸学年向けにデモ+演習ぐらいの内容。Streamlit + Markdownで作成。文章要約、CNN、単語ベクトルの演算。
      • 「データサイエンス基礎1」。クロス集計、散布図、相関係数、行列、線形単回帰分析。授業でのデモ自体はWebアプリ。演習はExcel。
      • 「基礎物理」。スマホの加速度データの解析を通して力学の理解を深める。アプリで加速度データの描画、ノイズ除去、数値積分、速度・位置・軌道の描画。
      • いろんな科目でインタラクティブなビューを用意することで興味をもたせる部分を強化できているように見える。「高校に合わせた数式表現」は、確かに大変そう。
  • どうする情報科教育!~情報ⅠⅡ,高大接続から考える~
    • イベント企画。大学で専門科目(1年次のプログラミング1,2)を担当してる割に高校の情報1についての情報をほとんど持ち合わせていなくて、大学入試センターの試作問題を眺めた程度なので、情報収集のため参加。
    • 高校側のパネリストは東京都立六本木高等学校の千葉先生、世田谷学園中学校・高等学校の神藤先生。大学側は電気通信大学の成見先生。
    • 高校によっては生徒の前提知識差が大きく(四則演算からやるとか)、教科書ベースでやるけども分かってる前提ではやらず、まずイメージを持たせ、具体化して演習し、それを何度も繰り返すみたいな話が多かったかな。真逆に感じるパターンでは「読んで分かることはなるべく時間かけたくない」みたいな話も。このあたりは教育するならどこでもある話で、IT活用して個々人にカスタマイズした教育したいみたいな方向だよな。
    • 個人的に意識したこと無い点としては、、、
      • そもそも進学しない生徒どうするか問題があるらしい。必修だからやるけども、同じ内容で良いのか疑問ということなのかな。
      • 入試のような選抜で、項目応答理論に基づいたCBTのように「同じ問題が出ると限らないし、違う日にやる人もいる」みたいなやり方に嫌な感情があるのではという話題。高校先生側としては(楽だから)やりたい。生徒側の意見としては尋ねたこともないので分からない。
      • 情報1の教科書めっちゃボリュームある問題。全てをやることが望ましいが、削らざるを得ない状況があるときに、何を削ればよいか悩ましいという話。この点については「情報1の教科書全12冊の索引を確認するとたかだかキーワードは39個しかない。これをベースとし、話題を広げる。可能な範囲で応用問題に触れる、というスタンスはどうか」という提案が。
      • そもそも高校1年生だけで終わると、卒業時(入試時)には忘れてるのでは問題。については、話題広がらず。
      • 情報2をどうするか問題。教科書参照した大学関係者の1意見としては、現場よりの話が多いのであまり必要性を感じない(興味のある生徒がやる分には構わないが、入試に設定するとか前提知識として求めるとかはしない)という話が。文科省の高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)を軽く眺める限りでは、ちょっととっちらかってる感じではある。一方で「コミュニケーションとコンテンツ」みたいな話を大学でやるかというとやらないしな。著作権みたいな話込みでどこかでやるべき話かもしれない。3章以降は情報1の補強みたいな位置づけなのかもしれないが、情報1同様に盛り込みすぎ感がある。
    • 文部科学省による政策動向
      • 悪意を持って解釈すると、お金のかからない範囲で一緒に頑張ろうという感じがする。そうは言っていないし、義務教育含めて情報をどう扱うべきかを国策として一緒に頑張ろうという強い思いがあるのも分かるけども。
      • 情報2までやるのが当然という雰囲気作りをして、その上で情報1までを手堅く抑えたいらしい。情報1でも多すぎると思うんだけどなぁ。他教科と融合して少しずつ情報を組み合わせ、融合では提供しがたい部分だけ絞って情報1にするのは難しすぎるのかな。