個別ゼミ3週目終了

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個別ゼミは先週まででB4の二人は終わって、今週から院生の出番。特に今回出番の学生は毎回ゼミ時に綺麗に報告書を作ってくるタイプで、それを踏襲して個別ゼミでも同じように準備してきてました。流石。夏休み〜先週まででデータセット増強してて、そのデータで同じアプローチで学習&テスト。交叉検定した結果こんな感じで、これまでのデータセットを比較するとあーだこーだ、という流れが整っててとても分かりやすいです。データセットは詳細度に応じて2段階あるのでまだ泥臭い作業が残ってますが、今後アプローチを改善するための指標としては十分整ってきたかな。(こういう流れだと実名出して良いんじゃないかと思いつつ微妙に悩むな。内容ももっと具体的に書いた方が読む方も面白いんじゃないかと思いつつ、具体的な内容は学生が卒研ノートに書いた方がとも思ってるからあれでこれ)

認知学会が出版してる学会誌「認知科学」の2012年9月号では「ヒューマン・ロボット・ラーニング」を特集していました。写真の通り「誌上討論」になっていて、石黒先生による主張を通して徳永先生が突っ込み、それを受けてさらに石黒先生が回答するという「討論」形式になっているのは面白い。ちなみに2011年度までの過去ログ(雑誌内容)は公開されてるようなので、タイトル眺めるなりキーワード検索するなりここ1,2年分眺めてみたりすると面白いかも。他学会でも勿論OK。>学生の皆さん

個人的に予想できなかった話題としては、三宅先生による「建設的相互作用」という観点でロボットを用いた学習研究への取り組み。一部抜粋すると以下のようになります。

出典: 三宅なほみ, “人ロボット共生学:実践的な学習研究にロボットを導入して、何ができるか”, Cognitive Studies, 19(3), 292-301. (Sep. 2012)

建設的相互作用は、簡単に言えば、二人が同じ問題を解く時、解き方を提供する「課題遂行者」と、それを俯瞰する「モニター」とにやくわりがわかれてやり取りする時に起きる。課題遂行者は、相手が即納得するものではないので自分の考えを見直すことになり、モニターは相手の提案を自分の考えを見直すことになり、モニターは相手の提案と自分の考えを結びつけなくてはならないので視野の拡張を迫られる。この考えの見直しと視野の拡張を各参加者が交互に経験しつつ、それぞれの「考え」を言語によって表現することによって、参加者それぞれの考えは、相互作用の前後で変わる。この変化は大抵の場合、適用範囲が広くなったり、説明が精緻化したり、表現されるものごとの関係が緻密になったりする形で現れる。

これ、まんまペアプロだと思いますが、「建設的相互作用」はいつでも効果的に行える訳ではない。そこでロボットを通して協調的な学びの生成過程を検討し、建設的相互作用がうまく起きる条件を洗い出していってるらしい。経験則的な側面が強いと思いますが、こういうところを一つずつ仮説立てて検証していってるのは凄いな。