情報処理学会第76回全国大会2日目

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ホテルに帰って慶留間くんのチェックが終了。ということで中日が終わりました。今日は気温も高めで昼は10度越え。歩くには程よい時期なんですが、明日の予報は午後から雨らしい。いや、雨の中歩くのも嫌いじゃないけど、出張(仕事)だと雨降らないに越したことはないし。

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2日目はイベント企画*2件、学生セッション*1件(平良くん発表のみ)に参加しつつ企業展示を眺めてました。招待講演も眺める予定だったんですが、展示眺めてたら満席に。しくしく。同じくタイミング悪く会場に入れなかった遠藤先生を発見し、空き時間にお茶しながら情報交換待機してました。

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晩ご飯は「肉が食べたい」というリクエストから紅虎餃子房に辿り着いたのですが、メニュー眺めてたら餃子以外にも目移りしてしまい結果的には「普通の餃子」を頼み忘れてしまうという大失態に。お腹具合的にはまだ入るということで2回目の注文に入りましたが、外れが無くて良いお店だ。長考厳選して注文したのでまだ頼みきれてないメニューが盛りだくさんという点では、明日もまた行くという可能性が否定できない。。(他の中華屋さんと比べて美味しいのかは良く分からないけど、十分旨かった)

以下、2日目の参加メモです。

<目次>


イベント企画: 「学会へ行こう!若者の夢を実現できる場所」-学会が若者にできること、若者が学会にできること-

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オープニング by 黒橋先生
若手って?
 「今日は」自分が若いと思っている人ではない
 日本学術会議若手科学者定義:30〜45歳(若手)
 大学院生〜ポスドク研究員:20〜30歳程度(本当の若手)

若手研究者の抱える問題・立場
 キャリアトラックの不透明性
  大学教員の任期付き雇用の増加
  男女共同参画・共働き環境を前提とした新たなワークライフバランス
 個人主義的→社会に対する活動
 分野依存→科学者コミュニティ全体
  産業界、行政、NPOなどとの交流

情報処理学会 若手研究者の会のミッション
 研究会の分野を越えた若手研究者の運営強化(動画配信・アーカイブ化の強化)
 新たな研究分野や新たな研究会の運営などの提案(学生運営委員制度の導入)
 内外の求めに応じた若手研究者の意見の集約
 若手研究者の活動向上に向けた取り組みの検討・提案
 その他、学会理事会、委員会等との連携など

講演(1)「学生時代の研究からナビタイムの事業化」 大西 啓介(株)ナビタイムジャパン 代表取締役社長)
当時の学会発表を振り返って
 論文で書いたことは将来の起業に役立つ
 プレゼンテーション自体は様々な場面で役立つ
講演(2)「学会とは誰のためのものか?」 中島 秀之(公立はこだて未来大学 学長)
インターネット発達により学会の在り様が変わりつつ在る
 どう変われば良いかはあまり自明でない
  naltoma: いろんな物が金銭的には低コストでやれるようになってきたので、金銭集めてやるものに専念すべき?
  naltoma: 公開先がバラバラになっているものを収集・整理・提供?
  naltoma: Google Scholar より洗練したもの?プロフェッショナルな情報編纂集団?
  naltoma: ある種のマッチング・調整?(産学官/大学間協定/インターン等より気軽で、双方の希望にあうようなマッチング実現)

昔の学会の機能
 論文発表:査読機能(質保証)、一方で商業誌(Nature/Sience等)に負けていないか?
  査読は無料じゃない
   投稿者に払ってもらうのも一案だが、個人的には好みではない。
   将来はマイクロペイメント?
 情報提供:解説/全国大会/セミナー
  編集諸々の作業はボランティア
  別の側面
   個人的に言っても相手にして貰えなくても、学会を通すとOKな場合も
 研究会運営
  最早「学会の下に研究会がある」という位置付けは機能しない。逆の方向。
 IFIP(加盟学会は各国に1つだけ)

医師会
 医者の同業者組合(会員でないと開業できない)
 歯医者さんでも年次総会に出ている
 →このモデルを参考にする?

現在の情報処理学会
 楕円の二焦点モデル
  研究・教育
  実務
 電子出版化
  来年度から学会誌のみ紙として残る
 情報教育
  J07
  大学入試試験「情報」(計画中)
 資格(ライセンス)
  高度IT人材資格「認定情報技術者」(計画中)
  CI: 情報処理技術者試験(IPA)
 オピニオンリーダー

今後の学会
 ビジネスモデル(どう集金するか)
  学会員のメリットは何か?
  研究成果のオープン化と(オンライン化した)論文誌の関係
 論文査読制度
 出版
  プロフェッショナル編集者
 研究会
  (中島の)上下反転モデル(研究会が中心で各学会がそれを助ける)
 ライセンス(同業者組合化)
  床屋でも国家資格が必要なのに、銀行システムや交通関係システムのコーディングは無資格で良い(のはおかしい)
 国際化
 広報(e.g., オピニオンリーダー)

「学会へ行こう!若者の夢を実現できる場所」: パネル討論

若手へのメッセージ
大学での研究だけで終わらせず、世の中に役立つように。
手作りで国際会議も開催できる時代。自由な発想でやるのが良いのでは。
IPSJに限らずIEEE CSも会員減少問題があるらしい。
 ICTは世界的に成長しているが、中心学会は会員数を増やせていない(国毎に事情は異なる)。
  e.g., inpact factorが高くない学会には参加しない。
 伝統的な自然科学との発表形式の違い
  計算機科学では査読付き論文は終わった成果であって、カンファレンス等での活動が重要視。
  必ずしも学会に参加しなくても問題無いという状況。
 学会という組織に人を留めるという考え方から離れて、人の流動的なダイナミクスを認識して考えるべき。
学会/会議様々だが何でも利用できるものは利用しよう。
 若手はこれからどんどんマイノリティに
  マイノリティでいる怖さ:マジョリティが評価されてくれる所に合わせないと上がれないという思い
数年後の学会の在り方について危惧している。
 本当の若手の人からすると自分のことで手一杯でそんなこと考えていられない。
 マジョリティ/マイノリティもそうだが、どこに帰属してるか、どの立場に立っているか。
  e.g., どこで論文発表するのか、どこで仕事をしているのか
少子高齢化はあるにしても若手が少ないのでは。
 熱気や権威に対する挑戦とかが学会から消えてしまうと魅力が失われる。
 学生をどうやればより盛り上げることができるか。
  naltoma: 別部屋で開催中のハッカソン未踏と様々な攻めのプロジェクトがある中で、目標/やり方の異なるイベントを企画できるか次第では?(学会としてはそれらを金銭面的に後押しするだけでも良いのでは)
会場アンケートより: 学者集団、固い、閾が高い、若者にとってはハードルが高い
 A1: 若い時は「学会に認めてもらう」というような意識があるかもしれないが、個人的には学会は「使うため」の場所だった。学生会員と呼ばれる数自体はそれほど減ってない。情報処理学会で減ってるのは「企業会員の中の若手の研究者(?)」。20代後半〜30代が国際的な所で活動するというのが第一にあり、表に立って一人で戦うのは大変なので同じ問題に対して取り組むためのコミュニティとしての場所として使う。
  naltoma: 詳細化・細分化していくテーマでどうコミュニティを担保する?
 A2: 学会活動は個人のモノなのか企業のモノなのか。殆どの組織が個人のモノだと思っている。企業では自費で有給休暇取って、ということもある。学会投稿料を個人で払ってるとか。一方で組織の評価では論文数が出てくる。それならば公的なモノ、社会のためのモノという認識を広めていくべき。
 A3: 企業会員数が減ってるようだが、学生も卒業後に辞めるケースが少なくないらしい。卒業したての研究者が一般会員になろうという魅力が無いと状況は改善できない。何も分からないまま幹事を努めて得られた経験等、学会活動に関わることで得られる経験を伝えられると少しは改善できる?
 A4: 若い人にとって学会の使い方、楽しみ方があるんじゃないか。閾が高いという気持ちは良く分かる。知らない人だらけで、厳しいコメントを貰う。同じ研究をしている人がいる。最終的には学会で知り合うということが個人にとって重要な価値になると感じる時期があるのでは。アカデミックな人たちは坊主捲りの坊主のような存在。普段話も出来ないような人と話が出来たり酒を飲めたりする、アカデミックという免罪符を通して経験できることがある。敷居が高いというのは正しくて、そこを上手く使うことについてアドバイスできると良いのでは。
 A5: 学生を終えた人への学会としてのメリットについて。宿泊合宿形式のワークショップがかなり上手くいっている。若手の発表ばかり。メンタリングサービス。厳しいコメントサービス。論文の書き方。CS領域の情報処理学会研究会でも似たようなことをやってる所はある。ただし実施コストは高い。
 A6: 企業に入って辞めてしまうのは今の世の中仕方が無いかもしれない。生活費とか削っていく世の中、特別のメリットが無い限り辞めてしまう。企業側の立場としては明確な理由が無いと学会には入れたくない。発表のための発表で終わっては駄目で、他の人に分かりやすい説明になるなり学会お墨付きになるなり何かしらの成果が必要。多くの人にメリットを感じられるようなことを提供できると良いと思うが、プログラム眺める限りではアカデミックにより過ぎていると感じる。企業側が参加しても良いと感じるようなセッションなりが増えてくると良いのでは
 A7: 企業の研究者だけではなく、実務者も沢山居る。研究発表ではないが実務に基づいた課題が多々ある。産学両方の立場から議論できることは面白い。しかし産(実務者?)はいまさら来るというモチベーションはそれほどでもない。研究者の数はそれほど減っていないのではないか。
  高度IT人材育成制度が来年度から始まる。それは実務者向けへの一つの道になると思う。
 A8: 研究していることを企業に入ってそのまま仕事にできないことについて。学生の頃はやったことをそのまま発表できること自体が面白い。企業側があまりメリットを見つけないからお金を出してくれないというのは、新卒会員とか金銭的サービスがあると良いのでは。
  そういう誘導は大切だと思うが、学会はそういうことをしなさすぎ。
会場アンケートより: 研究会が多すぎて分野横断型研究だと会費だけで大変
 A1: 研究会が主になるという方向なら、非常に活発で交流も強いのでそこを上手く活かす活動ができると良いだろう。一部にはポスドク後も5年間は学生会員費でOKということもあり、大変助かった。
 A2: 表の話、研究発表とか昼間の活動についての話が多い。裏っかわ、夜の話とかがもう少し表に来ても良いのでは。研究ダイレクトじゃない部分。海外カンファレンスに行く時、発表の有無で金銭補助が変わるケースもあるが、カンファレンスでは友達作りがメイン。発表より前の話。
 A3: 若い人に話を聞いて見ると、これから発表の人はそれでいっぱいいっぱい。終わった人は遊びにいっちゃう。海外カンファレンスだとドーナツとコーヒーや、ランチタイムが用意されていて、ちょっと覗いてみようとするとか。今回のイベント企画はドーナツとか準備しながらランチタイムにやるとか柔軟にやってみてはどうか。
 A4: 公式にはホゲホゲしてるという中でもっと面白いことをやってることも色々あるのでは。
組織として
世の中お金がつくかどうかは重要
 平たく言えば取り込んでもらう/取り込まれる
 個人だけではなくコミュニティをどう作るか、維持するか
学会を使えばできるよね、ということがある
 どこそこの社長に一個人として声かけるよりも学会として声かけるとか
学会は広報をもっとすべき
e.g., いろいろアワード出してることを知らなかった
 賞罰にも書けるというインセンティブ
囲碁では時々新聞に問題が出されてて「解けると*段相当」とか。
 発表する時は誰か一人が会員だったら良いとか、受賞するときに会員であれば良いとか。
 アメリカでの科学雑誌みたいな位置付けで、オモシロおかしく紹介するとかで国レベル向上とか。
個人ではなく組織に埋もれてしまう名前
成果に対するセキュリティ:組織外に出ても使えることを意識
 学会活動/研究発表を通して表に知らせておくことの大切さを、入った時に伝えるべき。

4P: 評判・感情・意味解析

4P-1 感情推定に基づくコンテンツ推薦システムに向けた小説文感情調査 ○平良浩嗣,當間愛晃(琉球大)
予稿の都合上、卒論前までの内容での発表。座長さんからの質問(何故先行研究の10感情を選択したのか)にはゼミでも突っ込んでたんですが、質問の意図を誤解してたのかうまく答えられてなかったな。

イベント企画: 企業で活用される自然言語処理技術

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講演(1)「ソーシャルメディアを活用するための言語処理技術」 平野 徹(日本電信電話(株) NTT メディアインテリジェンス研究所 研究主任)
(ブッキングで聞けず)
講演(2)「富士ゼロックスにおける自然言語処理技術の取り組み」 大熊 智子(富士ゼロックス(株) 研究技術開発本部コミュニケーション技術研究所 研究主査)
日報からの課題抽出
 必ずしも正解のある問題設定ではない
 「課題」を「望ましくない状況」と「望ましい状況」と設定。
  課題ならではの特徴的表現が利用できるケースも
   今回の例では社内用語も素性として利用
  naltoma: 抽出した理由を提供する技術が求められている?
講演(3)「ソーシャルメディアにおける自然言語処理の活用と課題」 橋本 泰一(グリー(株) WebGame 事業本部 エンジニア)
パトロール業務
 今後の予定
  文脈情報として発言場面や雰囲気、親密度も推定が必要では
  完全機械化するなら、人間の対応力への適応する力が必要

完全機械化されると例えば「書き込みが消された時の納得感」が無い
 naltoma: やっぱり理由提供?

講演(4)「ヤフーで活用されている自然言語処理技術」 山下 達雄(ヤフー(株) 事業戦略統括本部 Yahoo!JAPAN 研究所 上席研究員)
クラウドソーシング
 悪さするユーザへの対応
  代表的なプラクティスが整いつつある状況
   同じタスクを複数ユーザに割り振って平均取る
   bot対策タスクをランダムで混ぜる, etc.
講演(5)「言語処理に基づく商品情報の構造化」 新里 圭司(楽天(株) 楽天技術研究所 シニアサイエンティスト)
テキストデータからの構造化情報の自動化(研究レベル)
 教師なし学習でカテゴリも属性値も自動抽出を目指して研究中
  実サービス入りするにはどこかの時点で人手が入らざるを得ないとは考えている

企業で活用される自然言語処理技術: パネル討論

Q: NLPをより広く使ってもらうためには何が必要?
A1: 同じ組織内では同じ解析器を使って欲しい。
 設定ファイルを変更するだけで解析器を切り替えたりできるようなプラットフォームとしての用意。
A2: NLPだけでは解析困難なマイニング。
 例えばデータマイニング、ライフログ、音声とかを組み合わせた処理。
A3: ツールが古くなって来ている。
 古いものに固執するのではなく、皆で日々新しいモノを使ってシェアする。
A4: 御用聞きしている範囲ではPositive/Negative判定、デモグラフィック分析。
A5: ツールとしての公開はできないが、
 ツールを用いた解析結果としてのデータ提供という形で公開していきたい。
Q: 良く「100%の結果じゃないと駄目」と言われる。これにどう対応したら良いか?
A1: 人と競わせる。
A2: どの場面でどう使うか次第。精度の範疇で実現できそうなサービスを提案するとか。
 間違った結果を提示した際にそれを取り返すことを含めたトータルコストが重要。
A3: 開発が始まる前のハードルを下げる。
 最初からざっくばらんに話をする。
A4: 精度&再現率が重要なのではなく、
 その値が10%向上した際に何が出来るようになるのかまで落とし込んで考えること。
Q: NLPのデモは地味になりがちだが、どうしたら良い?
A1: UI研究者とかとコラボ。
A2: データ数万件とかでは既にビッグデータではなく、GB〜TBな時代。
 そのぐらいのスケール感を持って取り組まないと時代に取り残される危険性。
A3: NLP単体ではなく動画分析等、複数データを結びつける。
A4: 案外中身で難しいことをやってるんだということを見せることが受けることも。
Q: NLPの近未来(?)に実現できそうなサービスと言えば?
A1: 要約。日本語でも。
A2: Agentのような機能。音声や個人情報を含めた処理。
A3: テキスト以外の情報、個人情報を含めた処理。Hadoop等での分散処理フレームワーク。
A4: ライフログ。音声ログ検索。
A5: 情報抽出の高度化。
A6: 第2次マルチメディアブーム。