家政婦ロボットのいる風景から家政婦視点に
人工知能学会誌の表紙が、1月号は人間から見た視点(家政婦ロボのいる風景)が描かれていたのに対し、3月号(各月発行)では家政婦ロボットのカメラを通した視点で描かれてました。所々マーキングされてますね。って、実はロボット自身にはそんなマーキングは不要なので、Google Glassとかを使ってる人間視点という可能性もあるか。
学会誌としてはこれまでにないほど広く認知されましたが、結果的には良くある news value の一つに過ぎなくて過ぎればそれでおしまい(?)という感じがなんとも。意見出すのは良いですよ。自由にやってください。でもそれで「他の人の邪魔」するのは辞めようよ、互いに。子どもへの道徳教育とかいじめ問題とか言いながら、大の大人が貶めること自体を目的に手段を問わず騒いでるように見える(のもある)のは悲しい。
一方で、複雑系工学/人工知能といった分野に興味がある一人としては「そういう風に行動する一個人/社会性」という側面からは興味があります。シンプルな拡散モデルでシミュレーションできるとも思うが。
意外だったのは、今回の学会誌で「表紙問題における議論と論点の整理」と題して理工系な所だけじゃなく、文学部・生活環境学部からの報告が掲載されている(依頼した?)こと。どういう話が出てくるかというと、例えば
ノスタルジアはその心地良さによって、受容者に「異物」を飲み込ませるための重要な装置である。刷新された「人工知能」誌の表紙絵では、その「異物」が「未来イメージ」、「未知の科学技術」であり、学会はそれを、学会員に限定されぬ広範に存在する潜在的な読者が心地良く受容することを目指し、人間的なイメージを用いたわけだ。
(「人工知能」誌の表紙デザイン意見・議論に接して -視覚表象研究の視点から-, 池田忍, 山崎明子, 人工知能29巻2号 (2014年3月), pp.170 より抜粋)
という議論が出てきます。これは一例であって、全体としては視覚表象・フェミニズム・ノスタルジック・表紙という固有の場、といった4つの視点から議論されています。興味のある人は読んでみよう。