IDS2017 (International Design Symposium in Kyoto 2017)

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情報処理学会のために名古屋に来ている最中ですが、石田先生から声かけて頂けたこともあり、合間を縫って京大で開催中のIDS Kyoto 2017 (International Design Symposium)に参加してきました。基本的には「デザイン教育(京大の例)」に関する情報共有・討論を趣旨としたイベント。個人的には(1)そもそもデザイン教育におけるスキルマップorリスト的なものがあるのか、(2)それをどうカリキュラムに落とし込むのか、(3)どう評価するのか、あたりの問題意識を持って参加しましたが、割と近しい話が多かったかな。

1日目しか参加してませんが、大学毎の違いも見れて面白い。意外に感じた部分は、(a)「no credits (単位なし)」で実施してるところがちらほら目につくぐらいにはあったこと、(b)ドクターコースを想定しているケースが殆どのこと。特にドクターコース想定については、学部生では(達成させたい目標レベルからすると)辛く、修士でもまだ厳しい、修士レベルで一つの専門分野について身につけた後こそがデザイン教育学の本番だというスタンスらしい。既存のカリキュラムを刷新するのではなく、様々な形で埋め込みつつ、足りない分を新科目群として設置するような形でやれそうな気もするのですが、多分ネックになってるのは「評価」。一つ目のセッションが「Assessment of Learning Outcomes of Design Studies」と銘打っているぐらいには、評価問題が共通しがちらしい。

その他にも興味深かった話を列挙しておこう。

  • デザイン教育学が目指している「学生に身につけさせたい力」は、アンケートベースではあるけど一定のエビデンスを出せるぐらいには企業等が求めている力である。中でも「自らの専門領域を超えて協働できる突出した専門家(≒コラボできてリーダーシップのある専門家)」の育成が重要。
  • knowingだけではなくactingへ。general/domain theoriesを知るだけではなく、実際にアクションとして行動に移すことが重要。
  • 各分野における専門教育が先か、デザイン教育が先か。今は一つの柱としての専門教育が先であることを前提にしているが、一方で「異なる専門を学ぼうとしている人たちにおける共通話題」としてのコアを用意することでコラボが自然発生しやすくなる等の仕組みを強化できないだろうか。
  • 学生や地域社会が持つ知識・情報は切り離されたものではなく、各ドメインにおいて積み重ねられた歴史のあるモノ。差異があるのが当然で、それを踏まえてプログラムを設計する必要がある。
  • トラブル対応の側面もあるが、レビューや振り返り等様々なシーンを各専門家チームでサポートする環境が重要。現場に丸投げではダメだし、サポーターを一人に閉じてると広がりが狭まる。
  • 英語ネイティブでない環境でのワークも面白い。現地語だけで進めようとしがちだが、その中でどう現場を把握・仕切るかという体験はとても有意義ではないか。

直接的には関係ないのだけど、何かしらイベントがあると「学生にポスターセッションする場を並行して用意」する形で実施していることが多く、今回もデザインシンポジウムとは別にポスターセッションがありました。デザイン教育自体が「垣根を超えた協動」に重きをおいてるからということもあるかもしれませんが、門外漢でも話を聞こうとする人がとても多く、学生にとってもとても良い機会になってるように見えます。琉大x沖縄高専でのポスターもこんな風にやれると良さそう。