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From: Hideaki Iwata
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 法30条と49条の関係
Date: Thu, 24 Aug 2000 00:33:37 +0900
Organization: WAKWAK Internet service
Lines: 66
Distribution: fj
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ひで@自宅、です。
Richter ABC wrote:
> こんにちは。Hideaki Iwata さん、初めまして。
はじめまして。
> 上記の点も、岩田説では、「30条と49条に整合性がなければならない」という
> 前提そのものが法律解釈的に論証されていません。
しかし同時に、両者に整合性を見出す必要がない、という点も検証
されていないと考えますが如何でしょう?
大体、49条と30条の関係を考える場合、49条は30条がいうところの
「私的使用目的で複製された著作物」が、結果的に目的外使用された
場合、当該著作物は30条に基づく複製物とは見なさない(つまり目的外
使用である)、と宣言している条項だと私は認識しています。
これは47条の2と49条の関係でも一緒ですよね。
30条にしても47条の2にしても、複製行為の正当性(著作者の権利の
制限)を定義しているだけであり、権原者の権利が制限された上で
複製された著作物を、正当に利用する方法の一部を定義しているのが
49条だと理解しています。
従って、私的に言えば、両者が完全に整合している必要はない、です。
> 法律案は、法律の専門家が十分検討して作成します。政府提案のものであれば、当
> 該法令を所管する原局の専門家が作成し、内閣法制局(立法技術の専門家集団です。)
> の審査を経て確定されます。
>
> しかも、条文の一言一句に大変な時間をかけ、関係法令との整合性を十分検討しな
> がら立案、審査がされています。
>
> 法律の文言に立法ミスが絶無であるとまでは言えませんが、上記の条文が立法ミス
> であるという人は、法律家にはいないでしょう。
私は「立法ミス」があるとは言っていません。むしろ、立法ミスはない、
との立場に立っています。
ただ、技術は進歩します。著作権を含む知的所有権は無体財産であるが
故に、常に「技術の進歩」による影響を受ける、というのが私の持論です。
無体財産であるが故に、法律によって権原者の権利の範囲を定義せざる
得ない訳で、技術の進歩は法律の適用範囲を常に脅かす可能性があること
を立法者(つまり我々主権者)は認識すべきだ、という主張です。
つまり、立法時の概念が以降現在までの技術革新によってあやふやになって
いる、という主張です。だから、屋上屋で著作権法を改正するんじゃなくて、
抜本的な改革、つまり昭和45年の現行著作権法の成立と同程度の大規模な
改正を行う時期に差し掛かっているのではないか、という主義です。
公衆の概念は、昭和45年の現行著作権法の成立時から存在します。
敢えて言えば、旧著作権法にも登場しています。ただ、情報通信技術
の進歩の前では、立法時の「公衆」の概念が日々あいまいになっている
のではないか?というのが岩田説(というか岩田理論)の出発点と
なっています。
# そういう意味では、純粋な法律論ではなく、立法論というか
# 行政理論の話である、と言えるかも知れません。
> 法律論、大歓迎!
うーん、やっぱ純粋な著作権法論をする場(fj.sci.copyright)があった
方がいいのかなあ。でも、法律解釈論と立法論ってオーバーラップする
ところがありますからねえ。特に民事裁判などで自分の正当性を主張する
場合はね。もっとも、どちらが論理的かを判断するのは裁判官ですけど:-)
著作権法の論文を書くために数十の判決文に目を通した感想です:-)
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