No. 542/1090 Index Prev Next
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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: Re: Nスぺをダビングさせて下さい
Date: 23 Aug 2000 14:48:48 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 120
Message-ID: < m3og2ko7cv.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 
References: < 399425B5.7C0C7FA6@ma.kcom.ne.jp>  < 8nclh2$h2b$2@father.asahi-net.or.jp> 
NNTP-Posting-Host: dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp
X-Newsreader: Gnus v5.7/Emacs 20.4
Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:11540


ひで@和大&長らくの御無沙汰、です。
河野氏による毎度毎度の「意見表明」には付き合う気がありませんが....
まあ、fj.soc.copyright の風物史だと思えば腹も立ちません:-)

# あいも変わらず、ですからね(^_^;;)
# 5年前から変わってない:-)

# 昨年、河野氏と直接話す機会がありましたが、そのままの方でした:-)
# 向こうもそう思っただろうけどね(^_^;;)

In article < 399425B5.7C0C7FA6@ma.kcom.ne.jp> 
hi-ogura@ma.kcom.ne.jp writes:
> > 比較的素人の方々には誤解されがちなのですが、「家庭内その他こ
> > れに準ずる限られた範囲内において使用することを目的」として複
> > 製された複製物を、上記目的外に使用した場合に適用される条文は
> > 30条ではなく、49条1項1号です。
> > そこで禁止されるのは、上記目的以外の目的で、複製物を頒布(=
> > 公衆への譲渡又は貸与(映画の著作物の場合、公衆に提示すること
> > を目的として当該映画の著作物を譲渡又は貸与することを含む。))
> > し、又は当該複製物によって当該著作物を公衆に提示することに限
> > られます。

EH1T-KRD@j.asahi-net.or.jp
(Kuroda Toshio / 黒田 俊雄) writes:
>  確かに字面からはそうなるんですけど、なんで第30条1項と第49条1項1号で
>  範囲に食い違いがあるのか、どなたか説明できます?

私には「食い違い」が存在するとは思えないんですが.....
この問題は数年前にも当NewsGroupで議論になっていたと記憶します。
で、その時の議論の中で私が得た結論(議論の主題)は

法律における「公衆」と「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」
の定義に対する認識の差異

でした。
以下でもう少し詳しく説明します。

「前提」
著作権法(以下、法)二条5項では、「公衆」には特定かつ多数の者を
含む、と明記されています。
そこで、法律に基づく他者(社会)の構図を図示してみます。

       | 少数 | 多数
-------+------+------
特定   | (1)  | (2)
-------+------+------
不特定 | (3)  | (4)

まず、一般常識からして、(4)が「公衆」に含まれることはまず間違い
ないと考えます。次に、法二条より(2)も含まれます。
同時に、(1)が「公衆」に含まれないこともまた、共通認識として持ち
得ると考えます。ただ、条文を読む限り、(3)に対する言及は見当たり
ません。

「岩田説」
ここからは、私の法解釈です。
第一に、法においては、他者との関係は「家庭内その他これに準ずる限
られた範囲」と「公衆」の二値しか存在しない、という大前提を立てて
います。
従って、上記「少数」かつ「特定」とはすなわち、「家庭内その他
これに準ずる限られた範囲」と同値であり、(2)から(4)は全て「公衆」
に相当する、との結論に至る訳です。

# その前提は、「公衆」=「不特定」です。よって「公衆」と言った
# 時点で自動的に上記(3)は含まれます。

つまり、「特定」とは「家庭内その他これに準ずる」という人間関係
を意味し、「少数」とは解説書等で「家庭内その他これに準ずる範囲」
の数的限界として示されている「概ね二桁を超えない数」を意味する
と主張する説です。

この説に従えば、30条と49条に「食い違い」は生じないと考えます。

もちろん、これはあくまでも「説」であり、異なった説も当然存在
してます。しかし同時に、この説を否定する状況も現在のところ存在
しないと考えています。

代表的な他説は、「法においては公衆と家庭内その他これに準ずる
範囲以外にも人間関係が存在する」です。つまり、上記(1)の中でも
特に限られた範囲が「家庭内その他これに準ずる範囲」である、と
する説です。
また、上記(3)は「公衆」には含まれない、という説もあります。

# 参考までに言うと、両説ともそれを否定する材料は現行法では
# 見つかりません。

ただ、いずれの説においても、黒田氏がおっしゃる「法における
範囲の食い違い」が発生する可能性が生じます。

結局、岩田説の根本は、

「30条と49条に整合性を求めようとするならば、この説を取る以外
に合理的な説明は見い出せない」

です。

# だからといって岩田説が正しいと証明された訳じゃありませんけ
# どね。だって、現行法って他にも色々とおかしなところが一杯
# ありますからね:-)

>    くろだ%第49条自体の記述ミスなんじゃないかという気がしています

私はそれ以前に、法における「公衆」の定義のあいまいさがこの問題
を生んでいる、と考えています。

最後に、プログラムの著作物に関する私的使用目的の複製に関してで
すが、30条と49条の関係以前に、30条と47条の2との整合性の方が問題
だと考えるのは、私だけでしょうか?

私はむしろ、47条の2の存在自体が「屋上屋」なわが国の著作権法の
象徴だと感じています。

# 他にもそんなところは一杯あるんですよね。映画の著作権の存在
# にしてもそうだし(^_^;;)

やっぱ21世紀に向けて著作権法体系を抜本的に見直した方がいいと思う
んだけどなあ..........

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