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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 質問です……(長文注意)
Date: 13 Sep 2000 13:02:55 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 78
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ひで@和大、です。

北島 哲郎  writes:
>  こんにちわ。北島@東大ピアノの会です。

>   著作権法などで、刑事犯になるものも大半が親告罪である。これは、原著作
>  権者が「告訴しない権利」を「告訴する権利」と同じように持っていると考え
>  ることができる。このうえで、原著作権者が「自分の著作物で行った主張が破
>  壊されている」と感じた場合には告訴が行われる。

まず第一に考えなきゃあいけないのは、世の中の人間同士の争い
ってのは、法律的には刑事と民事に区分できる、という事実です。
親告罪って表現は、「罪」が付くことからも判る通り、「刑事」
の問題です。

諸説色々ありますが、簡単に言ってしまえば「刑事」とは「国家」
対「個人(法人を含む)」の対決であり、わが国では国家訴追主義
(刑事訴訟法247条)を採用しています。
だから、例えば著作権法の30条に違反した者に対し、公訴に至る為
には正当な告訴が必要である、と考えるのが「親告罪」です。
国家が勝手に公訴することはできない訳です。

# ただし、30条違反に関しては119条の規定により、刑事罰を与え
# ることは出来ませんので、刑事告訴自体が成立する可能性が低い
# ですけどね:-)

その一方で、民事における不法行為等に対する損害賠償請求訴訟
などは、原告と被告がいる訳です。つまり、自らが相手を特定し、
権利侵害を訴えない限り、民事訴訟は成立しない。

>   逆に見ると、他人の作品を下敷きにして自作を展開する場合は、相手の作品
>  世界を十分に生かした上で自分の作品を展開しなければならない。それができ
>  なければ、他人の作品を利用するのは控えたほうがいい。
>   これで、著作権法の立法趣旨を考えたうえでの自分なりの解釈ができている
>  と思うのですが、いかがでしょうか?

でね、

>   また、パロディーの同人ものに対しては、裁判によって得られる利益とその
>  苦労をはかりにかけて、黙認しているという会社が多数であるという話を聞い
>  たことがありますが、実際にそういうことなのでしょうか?
>   原著作権者は手間がかからなければ同人ものの一掃を図りたいのでしょうか?

著作者が専有している権利ってのが著作権法できちんと定められて
いる。詳しくは図書館で調べてね。
そういった権利を侵害する場合は、著作者に同意を得る、ってのが
筋道じゃないですかね?
侵害って言葉がキツイと感じるなら、

「他人が有している権利を使わせてもらう場合は、その所有者の許諾
を得ましょうよ」

でもいいですよ。

たとえばね、道にドアのロックもされず、イグニッションにキーが刺
さったままの車が止めてあったとする。で、回りには誰もいない。
外は暑い。自分はこれから遠くまで行かなきゃあいけない。
車に乗り込んでエンジン掛けて、目的地を往復して、ガソリンも満タン
にして10時間後にもとあった場所に返した。
これは法律上許されますか?

もちろん、持ち主に「貸してね」って断って、その承諾を得ていたら
許されるでしょうね。でも、持ち主に無断でこの様なことをすれば、
刑事・民事の両面で責任を追求されるでしょう?

それはなぜでしょうかね?
また、この場合と、貴殿が想定しているケースの共通点や相違点は
どこにあるでしょうかね?

まあ、そういったことも含め、ぜひ、著作権法の解説本を自らの
力で読んで勉強して下さい。

「ピアノの会」ってことですから、趣味なのか実益なのかは判りませ
んが、日常から著作物と親密に接する環境に居る訳ですよね。
ならばこそ、著作権についての知識を増すことは、日常生活でも有益
となると思いますよ。

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