No. 93/1090 Index Prev Next
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Subject: Re: 法律文書のホームページ公開は可能か
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From: cal@host.or.jp (SASAKI Masato)
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Date: Mon, 05 Jun 2000 01:36:56 +0900
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NNTP-Posting-Date: Mon, 05 Jun 2000 02:27:41 JST
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佐々木将人@函館 です。

> From:Mitsutaka Nakamura
> Date:2000/06/04 23:57:54
>Message-ID:< 8hdqr0$dtv$1@netnews.rim.or.jp> 
> 
> > それに反論して「多くの出願書類は著作物だ」
> > というのであれば

ですが、問題意識としては「特許の出願書類」として考えています。

ですんで

> 私も「特許等の出願書類は基本的に著作物ではないの」と
> 言っている次第です。

という主張を否定しているつもりです。

> > 「特許関連は学術」じゃあ理由になってないです。
> 
> 当然文脈上、「特許関連の出願書類」のつもりですが。
> 佐々木さんの出された4択から、その一つを答えただけですよ。

この議論の前提ですが
中村さんが基準にしている著作権法の解説書はなんですか?
私は以前岩田さんとの議論に使った半田先生の本ですが……。
別の先生のものですか?

> > 「特許の出願書類自体が学術である」まで言いきらないとだめです。
> 
> > > > ところで出願書類って
> > > > 「文学」?「学術」?「美術」?「音楽」?
> 
> って聞いておいて、どうしてそういう結論づけちゃうんでしょう。
> 変なとこで日本語に拘りますね:-)。

解説書読めば当然の議論のはずですが……。
(たいていの教科書では触れているはずだけど……。)

すなわち著作権法2条の「著作物」の定義は
1つは「創作性」すなわち「思想又は感情を創作的に表現したもの」
もう1つは「文芸・学術・美術または音楽の範囲に属するもの」
の2つの要件を満たすことを要求しています。
もっとも後者の要件は
「高度の芸術性・学術性をもたなきゃならないという意味ではない」
(ぶっちゃけって言えば「高尚なものでなくてもいい」し
 いわゆるアートなものでなくてもいい。)
とは解されていますが
いくらなんでも「文芸・学術・美術・音楽」の範囲に属さなければ
著作物にはならない点は一致しているはずです。
(その例として実用新案実施品について
 美術の範囲に属さず学術の範囲にも属さないから
 著作物にはあたらないとした
 昭和59年1月26日大阪地裁判決、
 判例時報1102号p132、判例タイムス536号p442
 ちなみに
 特許の対象になったものは著作物にはならないとした判例として
 平成9年12月25日名古屋高裁判決
 判例タイムス981号p263)

そして特許が学術に含まれるからというだけで
特許の出願書類が著作物になるというのであれば
そもそもここの例示で「学術」の他に「文芸・音楽・芸術」をあげる必要は
全くありません。
なぜなら文芸に関する学問として文学
音楽に関する学問として音楽学(って言うのか?)
芸術に関する学問として芸術学があり
これらの学問が全て学術である以上
「学術」だけあげればよいからです。

ですから
「プログラムが学術の範囲に属する著作物」であると言いきった
同日の別の大阪地裁判決のように
「特許の出願書類が学術の範囲に属する著作物」と言いきらないと
だめなのです。
その書面の内容が特許に関するもので
特許が学術に含まれる「だけ」では
「特許の出願書類が著作物である」ことにはならないのです。

で、著作権法も日本の法律であり
著作権法の解釈においては
他の法律と同様の技法が通用するはずなのですから
私の意見を否定し「多くの特許出願書類は著作物である」と
なお主張されるのであれば
以上のようなメタな議論ではなく
まず真っ先に私がその最大の根拠としている高松高裁判決(手紙の事例)の
分析をして私の主張をつぶしてもらえませんか?
私はこの事例で中村さんは
「この手紙には著作物性が認められるはずだ」という主張をなすものだと
確信しておりますので……。

多くの教科書が問題としており
その線に沿って私も問題にした2条の
「文芸・学術・美術または音楽の範囲に属するもの」
について
> 変なとこで日本語に拘りますね:-)。
というような発言がなされるようだと
そもそも著作権法の解釈を議論しているのか
(私はそのつもりです。)
そうではないのか
(解釈論ではないんだって話なら私は切り上げます。)
はっきりさせる必要があるからです。
そして解釈論であれば
多くの手紙がだめで多くの特許出願書類が認められるという
その違いを明示してほしいのです。
そして手紙は判決やその他解説の文献に具体的に示されているんで
具体的な特許出願書類を示して
その違いを明示するのが筋だと思います。
その作業は高松高裁判決の分析の中で明らかにされると確信しています。

もっと言うと私個人は
私が著作物性を否定するものについて肯定する議論の多くは
2条の著作物の要件に関する検討が甘いのではないかという疑念を
抱いています。
この点をきちんと詰めた上で結論が異なるのであれば
そもそも評価の差として議論を収束させることも問題がないのですが
甘い検討の上で通説判例とは違う評価基準を導き著作物性を認めるのであれば
それは採用できない議論だからです。

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cal@host.or.jp  佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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「まさと先輩!」って呼ばれてみたい!?
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