No. 958/1090 Index Prev Next
Path: ie.u-ryukyu.ac.jp!u-ryukyu.ac.jp!news1.oix.u-ryukyu.ac.jp!newshost.ryukyu.ad.jp!karei.center.oitaweb.ad.jp!newsfeed7.infoweb.ne.jp!newsgate1.web.ad.jp!newsfeed.mesh.ad.jp!not-for-mail
From: "ISHIBASHI" 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 (罰則関係)
Date: Fri, 29 Sep 2000 08:21:24 +0900
Organization: BIGLOBE dial-up user
Lines: 97
Message-ID: < 8r0jk3$4ia$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp> 
References: < 8qooh6$5p$1@neelix.mmtr.or.jp>  < 20000926205645'WzvQH4gCIi@news.nifty.com>  < 8qqedt$kb3$1@neelix.mmtr.or.jp>  < 8qv6nb$oeg$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>  < 8qvja7$inu$1@pin2.tky.plala.or.jp> 
NNTP-Posting-Host: ntk17ds07.tk1.mesh.ad.jp
Mime-Version: 1.0
Content-Type: text/plain;
	charset=" iso-2022-jp" 
Content-Transfer-Encoding: 7bit
X-Trace: bgsv5905.tk.mesh.ad.jp 970183108 4682 133.205.44.191 (28 Sep 2000 23:18:28 GMT)
X-Complaints-To: news@mesh.ad.jp
NNTP-Posting-Date: Thu, 28 Sep 2000 23:18:28 +0000 (UTC)
X-Newsreader: Microsoft Outlook Express 4.72.3155.0
X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V4.72.3155.0
Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:11961

ISHIBASHIです。

あらかじめ…
複数の方からフォロー戴きましたが、私の回答は一つにまとめた方
が良いかなと思いましたので、私の主張の理由付けを求められた
Nakagawa さんの投稿にのみフォロー致します。ご容赦下さい。

Nakagawa wrote in message
< 8qvja7$inu$1@pin2.tky.plala.or.jp> ...
> Ritter ABC さんの説明では、
> 「著作物の複製物を頒布し」に該当しませんが、
> 該当すると主張する理由付けはどのように
> 組み立てられるのでしょうか?

まず、本件のBの貸与行為が49条の「著作物の複製物を頒布し」
に該当するかどうかは、2条20号の「公衆に貸与する」に該当す
るかどうかで決まり、2条5号では「公衆には特定かつ多数の者を
含む」とされていますから、「公衆」の解釈において「特定」か
「不特定」かは問題とならず、唯一「多数」か「少数」かだけが問
題になると考えています。

で、私は、この点に関する判断については、次の二通りが可能だと
個人的に考えています。

(1) ひとつは、
Bは、一人(Aのみ)にしか貸与していない。したがって、一人は
「多数」でないことは明らかであるから「公衆に貸与する」に該当
しない。
つまり、Aだけではなく、現実にC、D、E、F…と多数の人に貸
与しないと、「公衆に貸与する」に該当しないという考え方です。
この考え方では、貸与する対象は「公衆」全体であり、人数から考
えると、「公衆」=貸してもらった人全員 という等式になりま
す。

(2) もうひとつは、
Bは、Aにしか貸与していない。しかし、Aは公衆の一員である。
したがって、公衆の一員に貸与するのであるから、「公衆に貸与す
る」に該当する。
つまり、Bが貸与したのはたまたまAであるが、Aと同様の投稿を
したならばBが貸与したであろうAと同レベルの人は、C、D、
E、F…と多数存在する。A、C、D、E、F…は「多数」である
から「公衆」と考えられる。そして、公衆の一員に貸与するという
事も、「公衆に貸与する」という表現に含めるという考え方です。
この考え方では、貸与する対象は「公衆」の一部又は全部であり、
人数から考えると、「公衆」> 貸してもらった人(公衆の一員)
という不等式になります。


で、私の考え方は(2)です。
私が、その考えに至ったのは、まず著作権法を勉強し始めの時に教
科書としたのが田村先生の「著作権法概説」でして、この本では、
113条の「頒布」の解説で「公衆への譲渡・貸与を要件とする
から、私的な譲渡・貸与は該当しない」という旨の説明がありま
す。さらに、113条とは別の「公衆」が要件となる条文の説明
で、同様に「公衆を要件とするから、私的な行為は該当しない」と
いう趣旨の説明が一箇所か二箇所有ったと記憶しています。

で、私の場合、かつて、(2)の解釈を前提に、著作権法の全条文
を読んで勉強し始めたのですが、(2)の解釈では不合理と思うよ
うな条文は有りませんでした。

なお、少人数への譲渡貸与の場合は、著作権者の利益の損失が僅か
であるという点から、(1)の解釈の方が妥当であるという見解も
有ると思います。しかし、(1)の解釈ですと、113条1項2項
の規定ぶりが不合理であると思います。113条1項2項には、著
作者人格権を侵害する行為によって作成された物の頒布についても
制限されています。しかし、著作者人格権の場合は、少数人への譲
渡貸与なら問題無いという性質のものでは無く、それよりも公衆の
一員に自由に譲渡貸与できるという状態自体が問題になるのではな
いでしょうか? あと、複製権について考えると、113条1項2
項は違法複製者の特定が困難である点にも鑑みて設けられた規定で
ある点も(2)の解釈の理由の一つになるかもしれません。

つまり、私が(2)の解釈をとる理由は、著作権法の全条文のう
ち、(2)ではなく(1)の解釈をとるべきと思われる条文がみ
あたらず、逆に(2)の方が妥当だと思われる条文(113条1
項2項、あと49条もか)が存在するからです。

ただし、この点に関しましては、他の方々の意見を広く拝聴したい
と思っております。私の解釈が誤っており、(1)の解釈が疑義の
無いほどに確実な通説ならば、例えば「Bさんは一つのビデオの貸
与は1回限りにして下さい。それならBさんの貸与行為は適法なの
で心配ありません(*)」ということになりますから、fj での合
意に向けて一歩前進したことになり、その意義は大きいであろうと
思っております。

(*)もちろん「映画の著作物の場合は頒布目的はダメ」という
説明も必要でしょうが。


*****************************
ISHIBASHI
m-ishibashi@mtb.biglobe.ne.jp
*****************************



Next
Continue < 39D46DCE.733E003A@nifty.com>
< 8r1tkq$dis$1@neelix.mmtr.or.jp>
< 39D4AB55.FF90A54D@nifty.com>
< 8r29p9$54s$1@pin2.tky.plala.or.jp>
< 8r3sgm$id9$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>