Presentation Patternsに学ぶプレゼン・ハックのススメ
妙なタイトルですが、「プレゼンテーションそのものの講義無いの?」とかいう話がたまに出るので、参考になる資料の紹介と、この資料を使った具体的な改善方法についての記事です。資料読んで自分で直せる人には必要ないですね!
<目次>
参考リンク一覧
- プレゼンテーション・パターン:創造的プレゼンテーションのパターン・ランゲージ
- プレゼンテーション・パターンの公式サイト。
- 『Presentation Patterns イラスト制作の軌跡』(Ver.α)
- プレゼンテーション・パターンに描かれているイラストがどのように出来上がっていったのかを、(恐らく当時の)コメント付きで眺めることができる「制作日記」みたいなもの。趣旨をどのように伝えるかについて、ブレストチックにネタ出しから始まり、様々なアイデアが一つに収束し、質を高めていく流れ(創造プロセスの記録)が見えて、楽しいです。
- プレパタ作成物語(連載まとめ)
- タイトルのままですが、イラストだけではなく、プレゼンテーション・パターン全体を作成していく過程を紹介した記事一覧。
少人数で始めるプレゼン・ハック
想定環境・事前準備編
- 人数を調整する
- 2〜5名程度。全員分の「発表+質疑応答+発表振り返り」の総合計時間が1,2時間で収まる程度がベター。長すぎるとだれるし。
- プレゼンテーション・パターンを1つ以上選択する
- 参加者は、発表者として強く意識したパターン(以下、「発表者パターン」)、聴講者としてチェックしたいパターン(同「聴講者パターン」)を各々1つずつ選ぼう。パターンが被っても異なっても良いですが、慣れるまでは1つずつに絞るのが吉。なお、聴講者パターンは参加者間で被らないように調整した方が良いかもしれませんが、mustではありません。
- 発表者パターンについて意識したことを文章化する
- パターン自体にいろんな補足説明が最初から書かれていますが、発表者として「そのパターンに気をつけることでプレゼンをどうデザインしたか」について自分の言葉で書こう。
- 聴講者メモを取りやすい環境を用意する
- ノートPC等でPDF閲覧しながらでも良いですが、画面小さくてメモる際に隠れてしまうようなら聴講者パターンを印刷するなど工夫しましょう。常にチラミできるように置けるとベター。また、ieの皆さんのように「息をするようにツイートする」人種なら、コメントを「#prepat01とかハッシュタグ付けてツイートする」とか、可能な限り思ったことは書き出せるように環境づくりをしましょう。(蛇足ですが、ハッシュタグ付けると「いろんな人の指摘・改善策」みたいなものが集約できて面白いかも)
大した事ないと思っても、それは貴方がそう思ってるだけで他の人から見ると心に響く言葉かもしれません。玉石混淆で構いませんので、書こう。 - どのような場で発表するかを共有する
- 事前に「どのような人向けに、どのぐらいの時間で話すか」についてメンバ間で共有しよう。ターゲットや持ち時間の想定ズレを防ぐだけでも有益なコメントを得られやすくなります。
- 必ず質問する
- 質問の練習を兼ねてますが、実は説明しようとすると詰まるぐらいの理解度で留まってる背景知識とかいろいろあるので、必ず質問し合おう。
- 必ず文章化する
- 指摘/コメントだけではなく、2週目以降では改善した点についても文書化(文章だけでも、イラスト等加味しても化)しよう。これだけでも「振り返り(=ハック)」しやすくなるぐらい、とても重要。
実践編
初めての発表では、発表者毎にStep1、Step2、Step3、Step5を繰り返します。
一度でも発表に対するコメントを貰った人は、上記にStep4を加えてやりましょう。
- Step1: 実際の発表スタイルと同様に発表
- 発表者は、指定された発表時間&スタイルで通しましょう。
聴講者は、各自の選択した聴講者パターンを意識し、気づいた点をメモりましょう。選択した聴講者パターン以外について気になることが出てきたら、それも取りあえず書き出しましょう。発表中は書き出すだけで、後で該当パターンがあるかチェックして補足するとベター。 - Step2: 実際の質疑応答スタイルと同様に質疑応答
- 既に何度も質疑応答やってるとか、質疑応答以前の問題で発表資料の改善に注力したいなどの特別な理由があれば省略して良いですが、可能な限り質疑応答までやろう。
- Step3: 聴講者による通常の指摘・コメント(未質問者全員)
- Step2で質問することができなかった人に、必ず質問をさせよう。互いに自分の言葉で喋る練習になります。全員が質問し終えたらStep3へ。
- Step4: 前回貰ったコメントがあれば、それに対する回答を示す(1,2分程度)
- 修正点が多数ある場合には、主観で構わないのでその中でも特に重要だと感じた修正点1つ程度について、コメントと共に修正前後のスライドを提示し、端的に説明しよう。ハック例を共有するのが目的なので、長くても数分程度。資料は、プレパタ作成物語のような「編集の奇跡」を残すつもりでちゃんと文書化しよう。(口頭説明だけで終えるようにしないようにしよう)
全ての修正点についてやろうとすると必要以上に労力がかかってしまうので、原則として1回の発表練習毎に1つ。発表練習を繰り返すことで奇跡として残すことを積み重ねると消化して血肉になりやすくなる(無意識で気をつけるレベルに昇華しやすくなる)し、後々振り返るための資料にもなるので1つは作って残すようにしよう。 - Step5: 聴講者パターンに根ざした指摘・コメント(発表者全員1回ずつ)
- 指摘項目は多数あるかもしれませんが、共有した時間を効率良く使うために一人1件に絞って指摘・コメント(≒ハック)しましょう。一度にハックしまくっても消化不良になるので、1人1件に絞ろう。話せなかった分は、後で書き出した一覧を発表者に渡せば良いです。
全員の発表練習が終わったら、その時間内に指摘できなかったことを個別に話合うなりメモを渡すなりして発表者がハックしやすくなるように工夫してみよう。ハック例を研究室内外で蓄積してクックブックorレシピ化するだけでも質を高めやすくなるかも。