(不定期コラム) 失敗しても構わないから体験し、次に活かそう
プロジェクトデザイン1やプロジェクトデザイン2の発表会が終了しましたが、この講義では「失敗しても良いからそこから学ぼう」。
発表会は成果をみるために課しています。今ではプロジェクト型の実習や演習が珍しくないですが、講義自体の達成目標は先ほどのリンク先にあるものを掲げています。しかしこれらの目標は建前であって、個人的には違うと考えています。どういうことかというと、
- (少なくとも昔は)高校までそもそも主体性を持った活動は推奨されておらず、指示したことを(強制)させていた。自主的に視野を広げることをしていない大多数の新入生は視野が狭いのが当然。
- そんな背景で急に「自由に自主的に動け」と言われても自由度が高すぎて上手く動けない学生が少なくない。(大学進学自体、成績的に入れそうだから選んだという学生が少なくない。講義を欠席する/課題をしない等含めて自主性に委ねられる部分が大きくなるため、動機が薄い学生は楽な方向に進みがち)
- 新規性とか言われても「巨人の肩の上に立つ」ことはイメージできないから思いつきで行動しがち。そもそも過去の事例を探すことや、探し方を相談することも、どこまでどのぐらい手間暇書けてやるべきかからして自主性に任されているため、グループ内で「やる気のある人/そうでもない人」とか対立構造が生じやすい。
ということで、結果として多くのグループで「自由な環境で自主性に任されたグループワーク」が強制されている。少なくともそういう環境でどのように自分が行動すべきかを考えざるを得ない状況になっており、これ自体が(就職する前の)一種の社会勉強の場になっているという考え方です。学生の間なので失敗してもらって構いません。だけど、何故失敗したのか振り返ったり、次はどうしてるかを検討してみるといった行動に繋げないと「体験するだけ」で、殆ど意味が無い講義になりそうです。
実際問題として、発表されるテーマの多くは新規性/有効性/社会性等が求められている割にはそれらの達成度は低いし、実際問題として「え、それのどこが新しいの?」と思えるような内容ばかりです。とはいえ、初学者の人にそれらを専門家レベルで求めること自体がおかしいし、そこへの手助けはPMとして院生が付いているとはいえその院生自体がマネージャとして勉強中のことでもあるし、何よりもっと金額的にも人的にも時間的にもコストをかけたプロジェクトですら失敗例が多数あることを踏まえると(専門家レベルを求めるのは)酷でしょう。言い換えると、そういうレベルは求めることが主題ではない(質については失敗して構わないから行動して学んでくれ)という解釈です。少なくとも私は。
折角高い授業料払ってるのだから、何かしら自分が成長するように行動しよう。プロジェクトデザインに関しては、上記では「失敗しても良いからそこから学ぼう」みたいなことを長々と書いていますが、それ以外でも構いません。同じことを体験しつつもそこから何を学ぶかも含めて多種多様な考え方があります。少なくとも、失敗を恐れずに体験しよう。そして体験したままにするのではなく、そこから何かを学ぶ努力をしよう。このことはリスクテイカーになろうという話を、e13の皆さんには初めて合った日にもやりました。体験しないと損するけど、体験しただけで済ますのも損します。何かしら体験して、そこから学ぼう。