情報処理学会第76回全国大会1日目

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数千人が参加してるだろうと思われる規模(単純計算で「30セッション*10件*5回=1500件」の発表)ですが、受付はスムーズに1分で終了。領収書は後日郵送になるらしい。それはちょっと困る(事務処理的に)。電子掲示板で流れてましたが、iOS/Androidな専用アプリも配布しているらしく「IPSJ76」あたりで検索すると予稿を見れるっぽいです(期間中限定かな?)。

東京電機大学に来るのは恐らく初めて。複数のビルが密集してて渡り廊下で入り組む形で並んでますが、どのビルもうまくガラス張りを利用して開放感があるので思ったほど息が詰まるような感じではないです。琉大工学部隣に立ててる最中のビルはどうなることやら。

学会予稿集はDVDでの配布。良くある光景ですが、今回から持ち込んでるPCがRetina(光学ドライブ無し)なのを失念してて会場で読めず。事前にダウンロードしてたプログラムPDFだけしか見れないな。しくしく。学会によってはUSBメモリで準備してくれることもあるんですが、今回は無いらしい。一方で情報処理学会の場合は、会場で配るなりするための予稿印刷物が用意されてるんだけど、これがいい加減なくならないのは謎。

「Twitter」を含むタイトルが21件。「ツイート」を含むタイトル9件。「マイクロブログ」を含むタイトル3件(内1件はセッション名で、9件の発表で構成)。ということで少なくともタイトル+セッション名だけで眺めてもTwitter関連を対象とした研究発表が40件弱あるらしい。初めて学会参加する人は、こういう興味のあるキーワードで見つけたタイトルを並べて眺めるだけでも面白いんじゃないかと。勿論一つの学会に限定せずより広範囲で調べてより高い視点で鳥瞰するも良し。逆に一つの事例を掘り下げて理解度を高めるも良し。情報処理学会全国大会時の注意点としては、予稿自体は2ページしか無いので単体では詳細が不明という点。詳細知りたいなら直接コンタクト取る/前後で長文の論文出してないかチェックする等のフォローが必要。

午前中は堀川くんが発表する1P 情報抽出なセッションへ。午後は食事で遠出したこともあるけど招待講演が面白く成さそうだったのでスルーしてイベント企画人間を超えたコンピュータ将棋はどこへ向かうかへ参加。

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お昼は久島くんに連れられて土手の伊勢屋へ。久しぶりに美味しい天ぷら食べれてご満悦。隣の人とあれこれ話が盛り上がったのだけど「これが下町」らしい。帰り際に吉原情報を伝授してたのが一番笑えました。

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晩ご飯はカレー・バー(Curry Bar GAKU)へ。学生がパンフレット見た時点ではカレー屋さんだと思ってたんですが、バーらしい。カレーは飲み物なのを地でいってる店があるとは(いや、普通にアルコールメインっぽかったけど)。

以下、参加メモ。

<目次>


1P: 情報抽出

1P-2 文書内に潜在する事象の関係抽出に基づく俯瞰分析への取り組み ○澤村 瞳,小林一郎(お茶の水女子大)
HDP-LDAで構築した文書トピックを俯瞰しやすくたいという話で、ラベル生成/説明文生成みたいな話に近い。タイトル的には「事象の関係抽出」に的を絞ろうとしているのだけど、発表を聴く限りではそのあたりは良く分からず。LDAベースのトピックを説明するという問題設定自体がおかしい気がしなくもない(文書要約と本質的な違いは何だろう?)。
1P-3 文章からの存在物と存在場所の抽出 ○菊池春香,徳久雅人,村田真樹,村上仁一(鳥取大)
SVMで固有表現抽出しようとしているのは分かるんですが、ドメイン特化し過ぎの割にはそこに特化したメリットが出せてないように見える点が気がかり。汎用性を追求したいのか特化手法を目指してるのかが良く分からない。
1P-4 Twitter からの談話同定のための身内的表現の抽出方法の検討 ○堀川敦弘,當間愛晃,赤嶺有平,山田孝治,遠藤聡志(琉球大)
うちの堀川くんの発表で、学外発表3回目&修論としてまとめ終えた後だけあって論点もストーリーも明確。質問コメントも適切な(予想できる範疇の)フィードバックを貰えてました。一度査読付き論文としてまとめても良いかもしれないけど、それにしては中途半端なんだよな。
1P-5 自然言語テキストから効率よく注視語を抽出するための注視関数の提案 ○齋木貴博,鈴木 寿(中大)
一般的な機械学習だと事例/適切に作られたコーパスが大量に必要なのでそこを楽したいよね、というスタンスで「注視関数」を提案しているらしい。そこは理解できるのだけど、注視語が何なのか最後まで良く分からず。
1P-6 時系列テキストデータからの議論構造の可視化 ○平岡美那子,大澤幸生(東大)
時系列議論構造の可視化ということで面白そうだったんですが、個人的には期待はずれ。時計秒針のように360度で時系列を表現するのは良いけど、これだけだと議論構造はさっぱり分からない。一方で今回の可視化にもメリットはありそうなんだけどそこはまだ詰め切れてないか。
1P-7 シリーズ型質問に回答する質問応答システム Metis ○濱田大和,太田雄介,松村冬子,原田 実(青学大)
「日本の首都は何処ですか?」「東京」「そこに済む人口はどのぐらいですか?」のように前の質問から続いている質問を想定したタスク(NTCIRのどれかっぽい)を想定したアップデート話。
1P-9 新聞記事からの発言・行動履歴情報の抽出とその閲覧 ○南雲旭人,山田剛一,絹川博之(電機大)
「ある政治家がどういう政治家をしているか」みちあなものを簡単に閲覧できるシステムを想定しているようだけど、目新しさが良く分からず。中途半端に発言や行動だけを抽出している分、かえって分かり難いサマリになってるような気がする。
1P-10 時系列的話題追跡のためのツイートの特徴語を用いた探索的閲覧支援 システムの開発 ○糸川翔太,白松 俊,大囿忠親,新谷虎松(名工大)
daily, weekly, monthly といったいくつかの期間毎の話題誤検出をまとめただけ?っぽいのだけど、何か変わってることやってたのかな。

イベント企画: 人間を超えたコンピュータ将棋はどこへ向かうか

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企画説明 by 松原先生
実力はプロ棋士のトップレベル相当。
コンピュータが新しい手を創造できるようになっている(GPS新手、ポナンザ新手)。
対決から協調へ。
この場で対戦してもらうのも良かったが、今回は時間の都合上事前に勝負してもらった。
講演(1)「アドバンスド将棋の実戦棋譜と人間の思考過程」 伊藤 毅志(電気通信大学 情報理工学研究科 助教)
普通のチェスではなく、コンピュータの利用も認めるアドバンスドチェスや、フリースタイルも生まれて来た。
将棋も近い将来トッププロを越えることはほぼ確実。
新しい手を生み出すレベルになっている。
将棋で、コンピュータは全ての面で人間を上回れるのか? 人間が得意とする側面はまだあるのか? 言い換えると、コンピュータだけでも人間だけでも到達し得ないより高いレベルというのは存在するか? その「より高いレベル」へは双方の協力で近づけるのか?
もしコンピュータが人間を完全に凌駕するなら、その先には何がある?
講演(2)「対コンピュータ戦における人間の心理」 古作 登(大阪商業大学 アミューズメント産業研究所 主任研究員)
最強コンピュータ将棋と人間が戦うイメージ
 コンピュータ感情を持たず目的に向かって淡々と行動
 「対コンピュータ戦略」はもはや必須
  矢倉単純棒銀
  入玉データが薄いのを狙う
  引き分け狙い(コンピュータにはそういう発想は無い)
  前例の全くない序盤戦略
講演(3)「コンピュータとプロ棋士」 飯田 弘之(北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授)
コンピュータ vs プロ棋士
 Q1: Possible to build a strong computer? If so, how?
 A: Search + Scoring + HPC + Modeling
 Q2: Are there any computer’s weak points?
 A: Maybe yes. But, it is hard to anticipate.
 Q3: How can we realize a seesaw game between Man vs Machine?
 A: Maybe yes. Choose appropriate spec, forexample.
 Q4: Can computer measure human strength?
 A: Yes, definitely.

公式
 (1) SHOGI – CHESS = DO
  チェスはスポーツ、買ったか負けたかで終わる。
  将棋は道。スポーツの側面もあるが、道としての側面もある。
   コンピュータがどういう時に負けるか、投了するか。
 (2) MAN – MACHINE = OM
  DeepBlueは強いけど対戦してもあまり面白くない。
  対人間の場合は結構面白い。
  これは心理的な面をモデリングできていない、緊迫感がでて来ない。
  情動/エンターテイメント

パネル討論&会場質問: 「これからの将棋とコンピュータについて考える」

これからの将棋
例えば:アドバンスド将棋, 接待将棋, 将棋の指導と普及。
本気で勝負するなら: 7番勝負全体で勝ち越せば良いというプランニング。
X Day
 オセロの悲劇
接待将棋
相手モデルの研究
 相手に気がつかれない程度のミスを測定する/モデリングする技術
 ゲームAI
 まだまだ十分に相手モデルを理解してプレイ出来ているとは思えない
  人間とコンピュータとのコミュニケーションで何が欠けているのか
   コンピュータは人間のことを理解してくれていない
   人間同士は共通体験/共通モデルのお陰で会話が成り立つ(身体性の問題?)
相手の良さを引き出す
 どういう形でやったら相手が気持ち良く打てるか、どう勝って/成長してもらうか
 目標がないと指導方法がなかなかでて来ない
将棋の指導と普及
奨励会に入れるぐらい強いのに実際に並べたことが無い
 麻雀で点数計算できないとか積めないけど強いとか
人間がコンピュータをセコンドとして採用してパフォーマンソを高める
 事例:コンピュータ2台+人間1名。2手から1手を人間が選択するだけで強くなる。
  チェス世界ではどのぐらい強くなるかの公式がもう出来ている。
 2800点ぐらいのレーティングが3000点は有意に越えてる実感がある。
  使い方次第ではあるかもしれないが保険的/指導的な使い方として使っても7割以上
  一時的に勝率が上がるなら、教育的効果も期待できるのでは。
Q: 将棋のルールについて。より人間が長持ちするルールの改変はあり得るか。あるとしたらどういう改変か。
A: 思考の世界の物理として加速度、情報加速度が重要。2階微分した値の大きさが大きければ良いという訳ではなく、特定の範囲(0.07~0.08)に収まるゲームが千年以上長続きしている。高度になると手数が延びる=均衡状態が続く。そうなると刺激を求めだす。将棋の場合は持ち駒を使うということでDの値をその範疇に収めることに成功している。
Comment: チェスの世界はコンピュータが勝っても業界としてはそのまま。コンピュータチェスの業界は減っている。チェスからゲーム(ICGA)に変遷。
Q: X Dayが終わったらどうなる?
A: 認知科学。コンピュータ将棋の研究だけではレーティングみたいなもので棋力を測っていて、人間界棋力をベースにせざるを得ない。トップが3500だとすると、そこに達するのが目標でそこを越えた後はこれ以外の所にモチベーションが求められる。
A: 歴史的な側面。研究としては囲碁とか。
A: ボードゲームでプロが存在するゲームは少ない。公平性を満たす/人の知的満足度を満たすとかは将棋/囲碁で終わり。AI技術を伸ばすためのターゲットとしては、ルールをトーナメント直前に与える。そこから学習を始める/目標を設定するとかして競う。MarioAIもその流れではある。無限にターゲットがあり、終わらない。